どうなるか、EU欧州議会のライエンを承認するかの採決

投票日の午前中、ストラスブールの欧州議会で演説するライエン氏。(写真:ロイター/アフロ)

7月16日の18時、日本時間で同日25時に、フォン デア ライエン氏に対する欧州議会の採決が行われる。

欧州連合(EU)のトップを決めるための、大事な採決だ。

本日の午前中、ライエン氏はストラスブールの欧州議会で、いっぱいの欧州議員を前に演説した。

また昨日月曜日には、主要会派(政党)に書簡を送り、自分が委員長になったらどういう政策を行うかを説明している。

主な内容は以下の通り。

・気候変動問題に関して、2030年までに1990年と比較して、排出を最低40%を削減する。目標値は50%に引き上げ、55%の削減の計画を立てる。これは反対を表明している緑の党系の会派を説得するためのもの。

・気候変動に関して、欧州投資銀行を使えるようにし、今後10年で1兆ユーロを動かしたい。

・2012年に欧州委員会によって最初に提案された「会社の取締役会における、男女のバランスに関するクォータ」を設定する。つまり、女性の比率の割当を決まりで定めること。立法化を目指すという報道も一部見られるが、実際はどうなのか、決まりの拘束力はどの程度か(法律のように義務なのか、努力目標なのか、罰則があるのかないのか)は不明。また、どの程度の割合か(5:5なのか6:4なのか)も不明。

・英国のEU離脱(ブレグジット)の延期要請を、正当な理由があれば支持する。英国のEU支持派議員には喜ばれていて、集票を望める。

・EUで庇護を求める人の権利を約束。入国管理に関しては、各国のさらなる負担を要請。東欧諸国に、さらなる移民受け入れを要請。

・経済危機に瀕している国々を助けるために、ヨーロッパの失業再保険制度、あるいはEUにおける多国籍企業の最低賃金と課税。

・欧州議会がイニシアチブをとることを完全に承認。

などがある。

欧州社会党がどう動くか

実際に、極右が集まる政党(会派)と極左が集まる政党からの支持は、まったく期待できない。

第一党の欧州人民党(グループ)は、ウエーバー候補を支持したドイツ人たちからは不満の声が聞こえるが、最終的には支持にまわるのではないかと言われている。

さらに、第三党の中道リベラルのグループ(マクロンの「共和国前進」党が中核)は、支持と言われる。

ということは、第二党で、内部で意見が分かれる中道左派が集まる「社会民主進歩同盟」(欧州社会党)の票の動向がポイントである。

もし否決されたら?

7月23日に、臨時にEU首脳会議が開かれるという。バカンスなどに行っている場合ではなく、夏中話し合いが必要になるかもしれない。

一体どうなるのかは、EU始まって以来の出来事になるので、未知数である。

もし否決されるなら、国単位のコントロールが効く状況ではなく、一層欧州議会の力が強くなった=EUの統合が深化したという見方もできる。

これは筆者の想像だが、そのような混乱する事態になったら「誰もが黙る大物」を連れてくる必要が出てくるのではないか。

もしドイツ人ということが動かない条件なら、フランク=ヴァルター・シュタインマイアーの名前が上がるのでは・・・と感じる。ドイツの大統領で、メルケル首相のもとで外務大臣を務めた経験がある。思想は左派で社会民主党に属するが、ここまで大物になると、ドイツ人右派でも黙るのではないか。

ただ、本人にやる気が全くないかもしれないのと、語学力が問題になるかもしれない。最近のEUトップは、英語・フランス語・ドイツ語を話すのが当たり前になっているためだ。特にフランスやラテン語圏からは、不満の声が上がるだろう。