Yahoo!ニュース

カタルーニャの独立投票と、スコットランド、EU(欧州連合)の関係

今井佐緒里欧州/EU・国際関係の研究者、ジャーナリスト、編集者、作家
(写真:ロイター/アフロ)

現在、カタルーニャ地方が独立に向けて、大きな動きを見せています。

独立投票をするのは、これで2度目です。

どうしてこうなったのか。スコットランドやEUとの関連はどうなのか。

以前書いた記事ですが、以下にアップロードしたいと思います。

2014年に書いたもので、スコットランド独立投票(同年9月18日)の投票前、これからユンケル欧州委員会委員長が就任しようとするときのものです(就任は同年11月1日)。

ヨーロッパ全体の流れは、ぜひこれを読んでいただきたいです。

以下の記事に出てくるカタルーニャ独立投票は、前回の1回目を指します。

まずは今までの経緯を知っていただき、追って「なぜ今、こうなった?」という続きの記事をアップしたいと思います。

ユンケル新委員長の誕生と、スコットランド独立問題、EUの行方

欧州連合(EU)では、バローゾ欧州委員会委員長にかわって、ジャン=クロード・ユンケル(ユンカー)委員長が誕生する。

ユンケルは、前ルクセンブルクの首相。19年弱も首相をつとめ、通貨危機の際は、ユーロ使用国の財務大臣でつくるユーログループの座長もつとめた人物だ。中道右派に属する。

彼の就任は、どのようにEUに影響を与えるだろうか。

まず考えられるのは、英国の動向に与える影響である。

ご存知かもしれないが、与党・保守党のキャメロン首相は、もし次の選挙で保守党が勝利を得たのなら、英国がEUに残るかどうかの国民投票をすると発表している。

これは、欧州議会選挙で、独立党UKIPが第一党になる前の話なので、保守党が勝利したら確実に実現されるものと思われる。

そんなキャメロン首相は、ユンケルの就任に、猛反対していた。

スウェーデン、オランダが同調すると初期は報道されていた。3国の首相にメルケル首相も加えて、スウェーデンで一緒にボートに乗って過ごした「プチサミット」を演出して、反ユンケル・キャンペーンを広げていた 。

しかし結局、メルケル首相はただプチサミットに出席しただけで、ユンケル支持は変わらなかった。スウェーデンもオランダも、「実は中立だ」と言いだしたかと思うと、最終的にユンカー支持にまわってしまった。英国はEUの中で完全に孤立して、浮いてしまった。(結果的にハンガリーも英国と一緒に反対票に投じた 26票 vs 2票。ちなみにハンガリーの政権は親ロシアとみなされています)。

なぜキャメロン首相は、これほどユンケルに反対したのか。

彼は改革にふさわしくない古い人間だと攻撃された。確かに、首相在任期間が驚くほど長かった。しかも、違法盗聴疑惑のスキャンダルもあって、首相を辞任せざるをえなかった人物である。新鮮味はない。

加えて、英国国内の事情が大きかった。EUからの離脱を主張する独立党(UKIP)が、欧州議会選挙で第一党になってしまい、保守党と政権を守るために、独立党に負けじとEUを批判する必用があった。

しかし、英国ではEU批判と個人攻撃に集中し、「なぜそんなにヨーロッパという舞台で孤立するまで反対するのか」に対して冷静ではなかった印象だ。パパラッチまで登場して、彼の私生活の欠点をかぎまわっていた。

筆者はずっと、スコットランド独立問題と関係があるのではないかと思っていた。日々観察していたところ、7月2日、スコットランドの新聞「ザ・スコッツマン」ネット版に興味深い記事が登場した。

スコットランド選出の欧州議員で、スコットランド国民党のメンバーAlyn Smithが、BBC ラジオ・スコットランドのGood Morning Scotlandに出演して語ったという。

「わが党の視点から見ると、私達はユンケル氏とは仕事ができる」

「彼は、独立について、とても微妙なことを言った。ちっとも惜しくない前任者とは違う」。

「彼は、独立のプロセスはEUの関知するところではない、どのような民主主義の投票も尊重するべきだと言ったのだ」。

もちろん、「ちっとも惜しくない前任者」とはバローゾ委員長のことである。

バローゾ委員長は、スコットランドやスペインのカタルーニャの分離の動きに冷淡だった。「もし彼らが分離独立しても、EU加盟は不可能だ」と明言していた。彼自身の哲学というよりは、28カ国も集まるEUをする上で必要な姿勢だったという印象だ。

ところが、新しい委員長、ユンケル氏は「連邦支持者」と言われる人物である。

ユンケル氏は、欧州統合の信念に、揺らぎがない。彼は、冷戦が終わってEUが生まれた1992年のマーストリヒト条約に財務大臣として関わった経験を持 つ。この経験を持つ現役政治家は、おそらく彼が最後ではないか(老けて見えるが59歳である)。

イングランド保守党の欧州議員Daniel Hannanは、前述のスミス氏の主張を拒絶している。

「スミス氏は、EU軍、EU警察、EU税、EU市民を信じている人物だ」

「彼が国家の独立というものを信じているのか、私は甚だ怪しいと思っている」

「スコットランドが独立するか否かに関わらず、ユンケルが彼の道をゆけば、欧州の国は独立していられないだろう。欧州合州国の一部にしかなれないだろう」

これに対しスミス氏は、ヒステリーなコメントと反論した。

それでは、スコットランド自治政府首相で、国民党党首であるサモンドは、どう反応しているのだろうか。

彼は6月下旬に、「ユンケルは、小さな国でもEUに影響を与えることができるという生きた証拠である」と発言した。「Better Together」キャンペーンのいう「大きな国こそがEUに影響を与えられる」という考えを葬るものだという。

「Better Together」とは、NO THANKSをスローガンに、スコットランドは英国に留まったほうが利益になるというキャンペーンの団体・活動のことだ。

また「スコットランドは、EUの一部になるだろうし、交渉ができるだろう。EUの国々は、スコットランドの民主主義と、人々の決断を認めるだろう」、「EUのほかの国が、われわれの行く末のじゃまをするだろうなんて考えは、ナンセンスである」と語った。

大枠で見れば、ロンドン政府、イングランドがEUを恐れるのは、当然かもしれない。英国そのものが、複数の「連合」をなしている。大きな連合EUが力をもつようになったら、より小さい「連合」王国は、解体してしまいそうになるのは、自明の理なのかもしれない。

●もう一つの独立投票、カタルーニャ地方

分離・独立が問題になっているのは、スコットランドだけではない。日本ではあまりに話題にならないが、スペインのカタルーニャ地方(中心都市バルセロナ)では、11月9日に、独立を問う住民投票が行われる。ただ、英国政府と異なり、スペイン政府は「憲法違反だ」と住民投票を却下した。

この動きとクリミアを一緒にする意見を聞くが、何が起きたか整理して検証してみよう。

ロシアにおいては、クリミアの独立を正当化するために、カタルーニャの独立投票の話を例にだしている。

一方、クリミアが独立宣言をしたとき、スペインの外務大臣ガルシア・マルガロは、「カタルーニャの独立投票は違法で、クリミアに明らかに匹敵するものだ」と発言して、カタルーニャの動きを非難した。

これに対し、カタルーニャ自治政府の長、Artur Masは、まっこうから反発している。「ロシアに関しては、シナリオの一部なのだろう」「しかし、スペインの外務大臣がこのような発言をしたのには、心底驚いた。クリミアとカタルーニャを一緒にするなんて、狂っている」と言う。「クリミアでは、圧力のもとで行われた。こちらは何の圧力もない。まったく平和な中で、真に民主主義の手続きによって選ばれた政府が存在するのだ。両者は、まったく何の関係もない」と答えている。

彼は、英国政府がスコットランドの住民投票を承認したのに、スペイン政府は拒絶したのはなぜだと思うかと問われて、「わが国は民主主義国家ではあるが、英国のほうがスペインよりも、より深い民主主義の意識があるからだと思う」と答えている。

クリミアは「力による現状変更」であり、国際社会では容認できないものであるだろう。でも、住民がロシアを支持したのに偽りはなかったようだし、民主主義的なポーズ・フリをするのには、そこそこ成功したといえる。だからこそ、このような摩擦が西欧で起きるのだ。

今年の3月の頭、クリミアで住民投票を行うと宣言した数日前、英国人であるアシュトンEU外務担当大臣と、ロシアのラブロフ外相が、なぜかマドリッドを訪問した。このウクライナ危機の真っ最中の忙しいときに、何をしにマドリッドに行ったのだろうと筆者はいぶかっていた。ラブロフ外相は「ウクライナの状態は、伝染性がある」「ロシアは血の海をのぞんでいない」と声明を発表。

これで理解した。クリミア住民投票が発表される前の時点で、当然ロシア政府はこれからクリミアで国民投票を実施することを知っており、その前にスペインと英国で「あの地方はわが国ですよね連合」を組むために根回しをしにいったのだ、と思ったものだ。

●新しい時代のキーワード「連邦制」

欧州大陸には、漠然と「欧州が一つになってきている」という大きな雰囲気や気分が存在する。

ここで出てくるのが、「連邦制」というキーワードだ。

日本人がイメージするには、あえていうなら、ハプスブルク家のオーストリア帝国を想像すると、一応それなりに近い。

(欧州には革命で王政を否定した国が多いので、この例は却下されることも多い)

あるいは、アメリカ合州国(州のほう)のように、というべきか(こちらは公に論じられている。「ヨーロッパ合州国」と)。

「連邦」というイデオロギーを掲げて人々が動くというより、欧州連合の深化が進んで、連邦制の思想につながってもおかしくないような時代の気分、雰囲気がうまれ、それらによって人々が、おそらくほとんどは無意識に動いているというべきだろう。

主権をEUに譲渡した連邦制を主張する人もいるが、全体から見れば少数派である(世代の差が大きいと感じる)。大半は「欧州が連合をなすことは、結局は自分たち/自分の国の利益につながるのだ」という考えである。

確かに、前回の欧州議会選挙では、EU懐疑派や極右が台頭した。しかし、逆の言い方をするなら、そのような動きが現れるほど、EUの力や存在が大きくなり、深化が進んでいるといえる。大して重要でも強くもないものに、人々はいちいち反応しない。

スコットランドやカタルーニャの独立の最近の動きは、この空気・雰囲気と呼応しているだろう。

ウクライナ問題では、ロシアは「ウクライナを連邦制にする」という案を出していた。この案を、ロシアはしきりに発していた。ウクライナだけを見れば、東と西で文化が異なるので、悪い案ではないだろう。しかし、仮にアメリカとロシアが同意しても、問題発生の当事者であるEUが同意せず、実現しないのではないかと筆者は見ていた。西欧のどの国も、地方が独立の動きを見せている国は、苛立ちを隠さない。「連邦制」は、現在存在する国民国家の否定、第一次世界大戦のベルサイユ条約で出来上がった欧州の単位となる国民国家――の否定につながる。「連邦制」はたいへん敏感なテーマで、声高に論じられるのが避けられるテーマなのだ。

ところがユンケルが登場するにあたり、行き先はわからなくなってきた。確かに、彼は現実主義者だ。カタルーニャに関しては「もしスペインが独立を承認し、カタルーニャが加盟申請しても、簡単に解決できるものではない」と言った。「満場一致による承認が必用だ」とも言っている。それに、彼がどの程度リーダーシップをとるのかは、まだわからない。EUは大国の意向に左右される組織なのだ。しかし、長い目で見ると、今後の行く末は未知数である。

●広域グループをつくって、EUで政策実現

欧州では、「一国ではなくて、グループでまとまって政治を動す」「自国の外交政策を、EUをつかって広く実現する」という思想が、ものすごく顕著になっていると感じる。

欧州連合の建設で「グループは力である」「グループをつくることで平和を維持できる」ことを身をもって知ったのだろう。この小さくなる世界で外交の力を握るには、グループのリーダー的存在になることが必要である。逆にいうと、グループを自国が主導してつくれば、大きな力を得られることになる。

ウクライナ問題の発端は、東方パートナーシップというEUの政策だった。旧ソ連の共和国と協定を結び、民主主義を共有する仲間になること、貿易の障壁を減らすこと、軍事ではなく、政治と経済で安全保障につなげることが目的であった。

そもそも、こういうパートナーシップ協定とは、これからEUの加盟国の候補になることが前提となっている(候補になるためであり、加盟国になるにはまだまだものすごく道が遠い)。

この政策が現実のものとなったのは、フランスのサルコジ大統領が2008年に「地中海連合」をつくろうとしたことから始まっている。

そもそも、地中海には1995年、「バルセロナ・プロセス」という、地中海連合と似たようなEUの政策構想があった。カタルーニャ地方のバルセロナを中心都市としてアフリカなどの国々とパートナーシップを提携し、地中海地域の発展と安定をはかるというものだ。これもグループ化だった。(この動きが、カタルーニャ独立の方向に影響を与えたのは間違いない。さらなる調査を今後する予定)。

一方、ポーランドは、サルコジの「地中海連合」を、自らの望みをかなえる絶好の機会と考えたようだ。ポーランドはEUを使って、歴史への復讐を果たそうとしていたように見える。もともと、ポーランドは、現リトアニアを含む巨大な王国だった。(現ウクライナ領も入っていた)。いまはロシアブロックと「国境」(ウクライナとの国境のこと)を接しているが、これをもっと東にうつして、安全保障をはかることが大事であった。

「南の政策をするなら東の政策も認めるべきだ。南にばかりをつけるのは不公平である」とポーランドの首相は主張した。

ポーランドなど旧東側の国が主張しているだけなら、東方パートナーシップ政策はまだ実現しなかったかもしれない。ところが、スウェーデンが賛同したのである。ポーランドの主張は、スウェーデンの支持を得て、一気に力を増した。

なぜスウェーデンは賛同したのか。

スウェーデンは、バルト海周辺の地域で、ドイツのライバルである。この地域には「バルト海諸国理事会」というグループがある。ロシアも参加している。またグループである。このグループ内での主導権争いでもあったようだ。

東欧の雄と、北欧の雄の意見が一致したのだ。

この主張に、フランスが賛成したことで、EUは大きく動いた。

このように欧州は、自国だけではなく、グループで行動したうえで、外交政策をEUで実現・成功させようとするのが常態となっている感がある。

さらに、これらEUの動きはアメリカにも影響を与えているだろう。筆者は、TPPやTTIPの構想は欧州連合の動きと力の増大と関係があるのではないかと思っているのだが、この件に関してはまた別の機会に譲りたい。

●ポスト冷戦の終了後、問題は大ブリテン島から始まる

スコットランドの独立投票は、9月18日。いよいよ間近に迫ってきた。

スコットランドの歌手スーザン・ボイルは、「私はスコットランドを愛し、誇りに思っている。でも私はナショナリストではない」と言い、分離に反対している。ナショナリストという言葉は、独立を「自由を求める市民の意志」ととらえるときは良い意味で使われるのに、最近ではもっぱら悪い意味で使われる。

英国は「連合王国」である。もともと国民国家ではない。島というわかりやすい境界があるために、思想としては連邦に近い形で一つになっている。

見方によっては、英国はベルギーと同じとも言える。どちらの国も、複数の民族、複数の文化が集まって一つの国になっている国だ。EUという大きな枠組みを前に、地方独立、国の解体の話が出てきている点では、そっくりである。ただ、英国は英語という言語で統一されていること、コモンウエルス(英連邦)という一つの世界をもっている所が、ベルギーと異なる。

一方、ベルギー人には「支配者が変わったところで、我が民族グループは永遠に残る」というしたたかさがある。これは、征服はあってもすさまじい蛮行はあまりない西欧(あくまで相対的に)、かつ「大陸」ならではの感覚で、島国の英国とは異なる。どちらも王国である点が、たいへん興味深い。

キャメロン首相があれほど「連邦主義者」のユンケルに反対したのは、国の解体の危機につながるからだろう。ユンケルは、EUと欧州各国を知り尽くした大物だ。でも、あまりにも敏感なテーマで、表立っては叫べなかった。

万が一スコットランドが独立しても、武力衝突は起きないだろう。なぜなら、独立の住民投票は、英国政府が承認したものだからだ。武力衝突などしたら、ヨーロッパ全部を敵にまわす。欧州連合は、28カ国もあって統一するのが難しいが、それでも平和の構築と民主主義という価値観だけはすべての国に共通しているのだ。それがヨーロッパである。

なぜロシアがウクライナに軍を送る武力介入をしなかったか。武力介入したら、ヨーロッパの敵になるからである。ヨーロッパから疎外されるからである。ロシア VSヨーロッパという構図になってしまうからだ。ロシアはヨーロッパでいたいのだ。プーチン大統領はウクライナ危機が起きてから一貫して、ヨーロッパ人として、ヨーロッパ人の価値観を無視していないと抗弁できないでもない、ぎりぎりの線で言動してきた。

プーチン大統領ですらできなかった「野蛮」を、英国がするとは全く思えない。

それでは、万が一スコットランドが独立したらどうなるのか、予測してみる。

EUは、スコットランドの加盟を認めるか否かで、大議論が起きるだろう。しかし、筆者は、EU加盟国は、英国の承認の上で投票を行い、完璧に民主的な手続きをふんで示されたスコットランド人の意志を、否定をすることはできないと思う。

それに、なぜマルタやルクセンブルクといった小国が加盟できてスコットランドができないのか。説得力がない。ただ、加盟国の正式候補に乗せる手続きだけはしても、トルコのようにずるずる長年お預けにすることは起こるかもしれない。

英国の国内のほうはどうか。蜂の巣をひっくり返したような大パニックになるのは当然である。もちろん、北アイルランドに飛び火するだろう。ウエールズも怪しい。国の解体を防ぐためには、スコットランドをひきとめる民主的な解決方法を考えなくてはならない。

現在、スコットランド自由民主党が提案している「連邦連合王国」という案がある。今はまだ有名ではないが、急に脚光を浴びるのではないだろうか。もともと、スコットランドは「元首はエリザベス2世女王で」「通貨はポンドで」と主張する「独立」である。イングランドとの決別という意味合いは薄く、「連邦連合王国」を拒否する論理的な根拠には乏しい。

ただ、エリザベス女王は、88歳である。統治は60年以上に及ぶ。もし問題の渦中に崩御でもしたら、予測は不可能になるかもしれない。かつてオーストリア=ハンガリー帝国は、約50年君臨したフランツ・ヨーゼフ皇帝が86歳で崩御したら、あっさり解体してしまった。チャールズ皇太子もカミラ夫人も、国民の人気はまるでない。ウイリアム王子に王位を譲渡などという話すら出てくるかもしれない。

そしてスコットランド独立投票の結果は、どちらに転んでも、英国がEUから離脱するか否かの問題を、直撃するだろう。

  •  * * * * * * * * * * * 

6月27日、ウクライナとモルドバとグルジアは、欧州連合と連合協定を結んだ。

ロシアは負けたのだ。

確かに、ウクライナは、まだ当分不安定だろう。 これらの国がEUやNATOに加盟することも当分ないだろう。

でも、旧ソ連の共和国が、西側に組み込まれていくことは間違いない。 これで冷戦後(ポスト冷戦)の時代は、世界の最先端では終わったのだ。 新しい時代がやってくる。

この新しい時代の一番最初の問題が、欧州大陸の向こう側、孤立を深める大ブリテン島から始まるのである。

欧州/EU・国際関係の研究者、ジャーナリスト、編集者、作家

フランス・パリ在住。追求するテーマは異文明の出会い、平等と自由。EU、国際社会や地政学、文化、各国社会等をテーマに執筆。ソルボンヌ(Paris 3)大学院国際関係・欧州研究学院修士号取得。日本EU学会、日仏政治学会会員。駐日EU代表部公式ウェブマガジン「EU MAG」執筆。前大使のインタビュー記事も担当(〜18年)。編著「ニッポンの評判 世界17カ国レポート」新潮社、欧州の章編著「世界で広がる脱原発」宝島社、他。Association de Presse France-Japon会員。仏の某省関連で働く。出版社の編集者出身。 早大卒。ご連絡 saorit2010あっとhotmail.fr

今井佐緒里の最近の記事