住宅市況にも新型コロナウィルスの影、中古売却には最悪のタイミング

新型コロナウィルスが、住宅市況に大きな影を落とすかもしれない。筆者撮影

 新型コロナウィルスは、感染の拡大だけでなく、感染拡大による経済や社会への影響を心配する段階に入った。このまま自粛を続けていたのでは、経済への影響が大きくなる一方である。

 住宅市況にも影を落としそうだ。

 といっても、住宅にはいろいろなジャンルがある。マンションと一戸建て、新築と中古、分譲と賃貸、実需と投資……ジャンルによって性格が異なり、利害も一致しないので、その影響を一概に語ることはできない。影響を大きく受けそうなジャンルと、影響が小さそうなジャンルについて解説したい。

新築分譲マンションは、一部を除き影響小か

 まず、新築分譲マンションは、一部物件を除き、影響は小さいと考えられる。

 理由は、現在、新築マンションは「ゆっくり販売」が常態化しているからだ。

 2015年以降、建物が完成してもなお販売を続け、完売まで2年、3年を要するマンションが増えている。それだけ時間をかければ、新型コロナウィルスの影響も小さくなるだろう。影響が小さくなれば、減少した購入検討者が戻ってくると考えられる。

 住宅は、人それぞれの買いどき、というものがある。経済や社会の状況がどうあろうと、「我が家にとっては、ちょうど今が買いどき」というタイミングがあるわけだ。

 今、マイホームの買いどきを迎えた家族は、新型コロナウィルスの影響で一時購入を見合わせるだろう。しかし、感染拡大が収まり、経済と社会が安定を取り戻した後に、マイホーム購入を再開する。この現象は、リーマンショックの後にも、東日本大震災の後にも起きた。

 だから、2年とか3年がかりで、マンション分譲を行えば、売れない時期の後に、売れる時期が戻ってくる。時間をかけて販売を行う新築マンションは市況回復を待つことができるので、影響は少ないと考えられるわけだ。

 ただし、新型コロナウィルスの影響で東京五輪の開催が延期された場合、五輪選手村利用のマンション「HARUMI FLAG」には、影響が出ると考えられる。それについては、開催延期が決まったときにレポートしたい。

短期間で売りたい中古住宅には影響大

 新築分譲マンションは、長期間かけて販売が行われるため、新型コロナウィルスの影響は小さい……ということは、短期間で売りたい住宅は、影響が大きいことになる。

 短期間で売りたい住宅の代表が、中古住宅である。

 「マイホームを中古として売りたい」と考える人は、2年、3年かけて買い手を探そうとは思わない。3ヶ月とか6ヶ月の短期間で売りたいと考えるので、タイミングによっては大きな影響を受けるだろう。つまり、希望価格では買い手が付かないのだ。

 だったら、今売るのを諦めればよい、といえる。もちろん、それができる人であれば仕切り直すだろう。市況がよくなるまで、売り控えをすればよいわけだ。しかし、どうしても今すぐ売らなければならない、という人は買い手が少ない時期でも、売却しなければならない。

 そして、買い手が少ない時期でも、思い切り値段を下げると、買い手が現れる。というのも、投資目的で住宅を買おうとする人たちは、このような時期、「お買い得物件」が出てくるのを待っているからだ。

 つまり、新型コロナウィルスの影響で、経済が低迷する時期、中古住宅を売るのは最悪のタイミングとなるのだが、一方で、買うのは最高のタイミングということになる。

新築物件が減り、賃貸が増える可能性も

 このほか、新型コロナウィルスの影響で、東京23区内では新築賃貸マンションが増える可能性もある。

 理由は、不動産会社が新規に建設する分譲マンションの数を減らす可能性が高いからだ。数を減らすが、入手している土地はあるので、建物は建設する。できあがったマンションを賃貸として活用することに方向転換するわけだ。

 現実的には、賃貸マンションとして適当と思われる土地の事業化を優先し、分譲マンションとして適当な土地は寝かせる。その結果、23区内では、当面、賃貸マンションが増える状況が生まれるわけだ。

 日本全体の人口が減るなか、東京23区内では人口が増えている。その状況下、「今、マイホームを買おう」とする人が減るし、購入できる物件も減る。

 となれば、賃貸需要が高まるので、新築賃貸マンションは借り手が増える。その新築賃貸は、土地が高い時期に仕入れ、高い建設費で建てているので、家賃は高い……分譲住宅の購入者が減れば、賃貸の家賃が上がる、という現象が起きそうなのである。

年間200物件以上の物件取材を行い、全国の住宅事情に精通。正確な市況分析、わかりやすい解説で定評のある、住宅評論の第一人者。毎日新聞に連載コラムを持ち、テレビ出演も多い。著書多数。

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