施工不良で揺れるレオパレス、かつて存在した会員制度が不満だらけの建物を許した

(写真:アフロ)

 レオパレス21の施工不良問題が波紋を広げている。1996年から2001年までに施工した建物で、仕切り壁や外壁、天井部分に建築基準法に違反する施工不良などの問題が見つかったという。それは、レオパレス21が大きく業績を伸ばしていた時期に重なる。

 1980年代後半から2005年まで、レオパレス21の賃貸住宅は特殊な会員制度をとっていた。

 それは、敷金、礼金、仲介手数料が不要で、保証人もいらない。その代わり、入居者はレオパレス21の会員となり、会員カードを取得することを条件とするもの。会員カードには、クレジット機能が付き、会員になるためには審査が必要になる。この審査で、個人の信用度をはかって、部屋を貸す仕組み。だから、保証人が不要となっていた。

 会員になるためには、入会金と年会費が必要。その額は、私が取材した2003年当時で入会金15万円から20万円、年会費は2万数千円だった(北海道や一部地域はもう少し安かった)。

 入会金と年会費を払い続けることで、敷金・礼金は不要。レオパレス21の賃貸から他のレオパレス21物件に引っ越すときは、新たな入会金は不要。年会費を払い続けることで、賃貸暮らしを続けることができる、という制度だ。

 つまり、レオパレス21の賃貸物件を渡り歩いている限り、敷金・礼金を払うことはなくなる。その代わり、年会費を払い続けるというシステムである。

 入会金と年会費は、退会するときも返還されないため、レオパレスから他社の賃貸への変更がしにくくなっていた。

 これは、レオパレス21の賃貸物件に住み、居住性に不満が出たときに大きな問題となった。つまり、住み心地がわるいからといって、簡単には“抜ける”ことができないシステムができあがっていたわけだ。

 そして、実際にレオパレス21物件には、居住性の不満が多かった。

隣の「屁の音」で目が覚めた、という人も

 隣の音がよく聞こえる、狭いといった不満の声は以前から多く聞かれていた。なかでも、不満の声が大きかったのは、遮音性の問題。とにかく、隣の音が筒抜けになるというのだ。

 「隣に住んでいる人が朝必ず屁をこく。その音で、毎日目が覚めてしまう」という人も居た。それは、最悪の目覚めだろうと同情した。隣よりも上下の音のほうがよく聞こえる、という声もあった。

 今回、隣の住戸との壁や天井に不適切な施工が行われていた可能性が指摘されている。壁や天井部分の防火性能が劣れば、遮音性能も落ちる。つまり、隣や上下の音がよく聞こえることで、居住者は以前から施工不良を体感していたことになる。

 といっても、「隣の音がよく聞こえる」という問題は、賃貸住宅全般でよく起きるもの。賃貸から分譲に移り、最初に驚くのは「隣や上下の音が聞こえないこと」という人は多い。それだけ「音が筒抜けになる賃貸」が蔓延しているわけだ。

 だから、レオパレス21に住み、音の問題に悩まされた人は、「賃貸の集合住宅は、そんなもの」と諦めていた。実際には、音の問題だけでなく、延焼の危険性も高かったので、諦めてはいけなかったのだが……。

 レオパレス21は、敷金・礼金が必要という旧態依然とした日本の賃貸システムに一石を投じた変革者だった。有名タレントを次々に起用したCMも画期的だった。それだけに、今回の騒動に唖然としている人は少なくない。このような裏切りはして欲しくなかった。