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マンション外廊下はもう古い。急増する「内廊下方式」のメリット

櫻井幸雄住宅評論家
内廊下はカーペット敷きで、メーターボックスも隠されてシックな空間となる。筆者撮影

 マンションやアパートなど集合住宅では、建物全体の入り口から、各住戸までの通路が必要。この通路は「共用廊下」と呼ばれ、各住戸内の室内廊下と区別される。

 集合住宅の共用廊下には、2つの方式がある。

 ひとつは、共用廊下を外部に露出させて設置するもので、これは「外廊下」方式と呼ばれる。現在も多くのマンションに採用されている方式なのだが、外廊下は天気のよい日は快適である一方、天気が崩れると雨や雪が吹き込み、強風に見舞われることもある。夏は暑く、冬は寒い。外廊下に設置されたエアコン室外機から熱風や冷風が吹き出すことも。さらに、高層のマンションでは「下をのぞき込むと怖い」という声もある。

以前からある外廊下方式。自然の風と光で、天気のよい日は快適だが。筆者撮影
以前からある外廊下方式。自然の風と光で、天気のよい日は快適だが。筆者撮影

 これに対し、天候に関係なく、いつも快適で、高層階でも怖さを感じないのが「内廊下」と呼ばれる方式。屋内に共用廊下を設置する方式で、冒頭にも出した写真(以下、参照)のようになる。その特徴を分かりやすくするため「ホテルのような内廊下」とも説明される。 

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 引き合いに出されるように、ホテルでは室内の廊下に面して客室のドアが並んでいる。カーペット敷きでBGMが流れていたりする快適空間だ。そのような共用廊下になっており、快適です、というわけだ。

芸能人が好む「内廊下で複数の出入り口付き」

 この、「ホテルのような内廊下」が、近年、都心マンションに目立つようになった。超高層でも、小規模でも、70平米で7000万円以上というような高級マンションでは内廊下が目立ち、外廊下のほうが少数派になってしまった。

 内廊下が支持される理由は、前述したとおり、共用廊下が快適になること。空調が行き届いた内廊下であれば、夏は涼しく、冬は暖かい。いかにも高級住宅に住んでいるようで、気分がよい。

 加えて、セキュリティ面の長所もある。

 外廊下方式の場合、「どの住戸に住んでいるか」「いつ帰ったか」「いつ外出するか」「誰と住んでいるか」などを外から観察されやすい。しかし、内廊下ならば、住戸への出入りを外から見られることがない。

 建物への出入り口が2つ以上あれば、さらにプライバシーを守ることができる。

 だから、パパラッチや“追っかけ”が心配な芸能人は、出入り口が2箇所以上で内廊下のマンションを好む。芸能人だけでなく、一般の人も、外廊下よりも内廊下のほうが安心と思う。今は、そういう時代なのだ。

内廊下の短所は、管理費が上がること

 内廊下方式には、別の長所もある。それは、内廊下の環境が室内と同様になることだ。

 外廊下の場合、各住戸の玄関部分は外気の影響を受けやすい。冬、外が寒いとき、玄関部分も寒々する。夏は、玄関部分がちょっと暑い、ということになりがち。玄関ドアの断熱性が高くても、開閉する度に外から空気が入ってくるために、外気温の影響を受けやすいのだ。

 その点、内廊下では、玄関ドアの外も空調が効いている。室内とほぼ同等の気温設定になるし、砂埃も入ってこない。

 快適で清潔なスペースだから、家族が全員帰宅した深夜、「玄関の靴を片付け、パパの趣味スペースとして活用する」なんてことも可能になる。

 と、ここまでは、内廊下の長所。一方で、内廊下には短所もある。

 それは、光熱費がかかること。建物内の閉ざされた空間なので、昼間でも照明が必要。空調を行う場合、エアコンの電気代が24時間かかる。この光熱費は管理費からまかなうので、外廊下方式に比べ、住人の負担が増すことになる。

 光熱費が高すぎることが問題になり、管理組合の話し合いで、空調のスイッチを切ってしまったケースもある。また、長時間の停電が発生した場合、内廊下の空調はもちろん、照明も切れてしまう可能性がある。

 電気を使った快適空間であるため、電気なし、費用負担なしでは維持できないわけだ。

 それでも、内廊下方式の人気は高く、「本来は外廊下方式」のマンションで、外廊下に壁を付けて、むりやり内廊下にしてしまうケースも生まれている。

 マンションの「内廊下方式」は、今後、ますます増えてゆくものと考えられる。

住宅評論家

年間200物件以上の物件取材を行い、全国の住宅事情に精通。正確な市況分析、わかりやすい解説で定評のある、住宅評論の第一人者。毎日新聞に連載コラムを持ち、テレビ出演も多い。著書多数。

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