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「ボンボン」昔懐かしの甘味、新世代に再び、はありうるか?

坂口孝則コメンテーター。調達コンサル、サプライチェーン講師、講演家
(写真:イメージマート)

かつて昭和の時代に子供たちに愛されたお菓子「ボンボン」が、令和の時代になって意外な形で再び脚光を浴びています。この小さなキャンディが、なぜ今、若者たちの間で争奪戦の対象となり、フリマサイトで1万円もの高値で取引されるのか?その現象を深掘りし、調達・サプライチェーンの専門家としてどのような視点からこのトレンドを捉えるべきかを考察します。

ブームの背景

1980年代から1990年代にかけて、ボンボンはそのユニークな形状と多様な味で多くの子供たちに愛されました。しかし、時代が変わり消費者の好みも多様化する中で、徐々に市場から姿を消していきました。それがなぜか令和に入り、SNSやインターネットの力を借りて若者たちの間で「レトロなお菓子」として注目されるようになり、突如としてその需要が急増しました。この現象は、昔のものへの新しい関心と、限定された商品への熱狂が交差することで説明できるかもしれません。

調達・サプライチェーンの課題と対策

突然の需要増によって、ボンボンの生産・供給は明らかにそのペースを維持できていません。このような場合、調達担当者は原材料の確保から生産計画の見直し、そして流通の効率化まで、多岐にわたる課題に迅速に対応する必要があります。また、フリーマーケットサイトでの高額転売を防ぐために、公式な販売チャンネルを通じて供給量を増やすという戦略も考えられます。

持続可能な供給網の構築

一時的なブームによる「買い占め」や「転売」は市場に歪みを生じさせるため、これを機にボンボンの生産・供給網を持続可能なものに再構築するチャンスです。具体的には、原材料の調達先を多角化し、生産設備の拡充、在庫管理の最適化を図ることで、需給バランスを安定させることが求められます。

新たな市場の開拓

ボンボンの人気再燃は、単に過去の商品が再び注目されたということ以上の意味を持ちます。この機会に、ボンボンを現代のトレンドに合わせてリニューアルすることで、より広い市場を開拓することも可能です。例えば、オーガニック素材を使用した健康志向のボンボンや、コラボレーションによる限定フレーバーの導入などが考えられます。

まとめ

ボンボン菓子の争奪戦は、単なる一過性のブームではなく、消費者行動の変化、市場需要の急変への対応、そして新たな商品開発への可能性を示しています。調達・サプライチェーンの専門家としては、これらの動向を敏感に捉え、柔軟かつ迅速に対応することが求められるでしょう。今回の現象から学ぶべきは、過去に根差した商品が新たな価値を生み出す可能性を秘めているということです。そして、それを支える強固なサプライチェーンが企業の持続的成長を支える基盤となることは間違いありません。

コメンテーター。調達コンサル、サプライチェーン講師、講演家

テレビ・ラジオコメンテーター(レギュラーは日テレ「スッキリ!!」等)。大学卒業後、電機メーカー、自動車メーカーで調達・購買業務、原価企画に従事。その後、コンサルタントとしてサプライチェーン革新や小売業改革などに携わる。現在は未来調達研究所株式会社取締役。調達・購買業務コンサルタント、サプライチェーン学講師、講演家。製品原価・コスト分野の専門家。「ほんとうの調達・購買・資材理論」主宰。『調達・購買の教科書』(日刊工業新聞社)、『調達力・購買力の基礎を身につける本』(日刊工業新聞社)、『牛丼一杯の儲けは9円』(幻冬舎新書)、『モチベーションで仕事はできない』(ベスト新書)など著書27作

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