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最後の一口まで、地球に優しい一歩は可能か?

坂口孝則コメンテーター。調達コンサル、サプライチェーン講師、講演家
コンビニこそ大量廃棄という批判があります(写真:アフロ)

この記事が話題です。

セブン―イレブン、おにぎりや弁当の「値引き」タイミングを本部が通知へ…食品ロス削減狙い

簡単にまとめると、このようになるでしょう。日本のコンビニエンスストア業界において、食品ロス削減への取り組みは次なる大きな課題となっています。

セブン―イレブン・ジャパンが発表した、消費期限が迫った食品の値引きを本部が推奨する新方針は、業界全体に大きな影響を与える可能性を秘めています、と。

施策の背景と具体的内容

これまでセブン―イレブンでは、期限が迫る食品の値引きは各加盟店に任されており、店舗によって対応が異なるという問題がありました。しかし、新しい政策では、全国の店舗で一律の値引きシステムを導入し、AI技術を活用して消費期限の近い商品を効率的に管理します。具体的には、値下げのタイミングや割引率をシステムが自動で計算し、店舗へ通知。これにより、人的ミスによる食品廃棄のリスクを大幅に削減し、食品ロスの削減を実現します。

調達・サプライチェーンからの解釈

セブン―イレブンの新たな値引きシステム導入により、サプライチェーン全体の効率化が期待されます。データに基づいた値引きの自動化は、在庫過剰を未然に防ぎつつ、消費者への利便性を向上させることができるのです。このようなシステムは、需要予測の精度を高め、サプライチェーンの可視化を促進し、最終的には持続可能な消費を推進するための重要なステップとなります。

持続可能な取り組みへの提案

食品ロスの削減は、ただ商品を割引するだけでは不十分です。消費者教育も同時に行うことが重要であり、期限間近商品の安全性と品質を理解し、消費者の購買行動を変えることが必要です。また、持続可能な包装材の使用や、食品廃棄物を利用した新たな商品開発など、さらに一歩進んだ取り組みが求められます。

VRとの融合

最も斬新な提案として、セブン―イレブンがVR(仮想現実)技術を利用したショッピング体験を導入することを考えてみましょう。

消費者はVRゴーグルを通じて、実店舗にいるかのように商品を選べ、期限間近の商品を購入することで、特別なポイントが付与されるシステムです。この方法で、消費者は物理的に店舗に足を運ばなくても、食品ロス削減に貢献することが可能となります。さらに、VRを通じて消費者に食品ロスの社会的影響を教育するコンテンツを提供することで、意識改革を促進することができるでしょう。

これらの取り組みは、小売業界だけでなく、テクノロジー業界との連携を強化し、より持続可能な消費者行動を促す一環として、業界全体に革命をもたらす可能性があります。セブン―イレブンのこの一連の取り組みが、食品ロス削減という社会的課題解決へのモデルケースとして機能することを期待しています。

コメンテーター。調達コンサル、サプライチェーン講師、講演家

テレビ・ラジオコメンテーター(レギュラーは日テレ「スッキリ!!」等)。大学卒業後、電機メーカー、自動車メーカーで調達・購買業務、原価企画に従事。その後、コンサルタントとしてサプライチェーン革新や小売業改革などに携わる。現在は未来調達研究所株式会社取締役。調達・購買業務コンサルタント、サプライチェーン学講師、講演家。製品原価・コスト分野の専門家。「ほんとうの調達・購買・資材理論」主宰。『調達・購買の教科書』(日刊工業新聞社)、『調達力・購買力の基礎を身につける本』(日刊工業新聞社)、『牛丼一杯の儲けは9円』(幻冬舎新書)、『モチベーションで仕事はできない』(ベスト新書)など著書27作

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