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チューブ型の調味料が異常に流行しているワケ

坂口孝則コメンテーター。調達コンサル、サプライチェーン講師、講演家
現在に大人気のチューブ型の調味料(提供:イメージマート)

・調味料のチューブ化

「チューブ調味料が大人気!」

と聞いて多くの人は納得できるだろう。マヨネーズやケチャップを統計から抜いても、年間50億円以上の市場規模だ。これは二桁パーセントの成長であり、食品業界では異例の分野といえる。

なるほど、現在では相当な数のチューブ調味料をスーパーマーケットで見ることができる。その種類は驚くほどだ。

きざみパクチー、きざみ青じそ、バジル、梅肉、紅生姜、大根おろし、かぼす、すだち、みょうが、福神漬、らっきょう……。つまりなんでもチューブ型になっている。

・チューブ調味料成長の理由

ヒットの背景はどう考えればいいだろうか。

まず、日本には流行の素地があった。チューブ型調味料という形態は、1970年からあり、日本の各メーカーは技術を磨いてきた。

そして、日本のトレンドとして「低価格、節約志向」があり、「単身・人数の少ない世帯の増加」がある。

さらに2020年から4年間は、コロナ禍だ。このコロナ禍では、外食から内食の流れが加速した。家で調理するのが一般的になった。このコロナ禍の調理では、次が重視された。

・小容量であること

・使いやすいこと

・ムダがないこと(紅生姜、みょうが、などは一度で使い切れない)

・面倒ではないこと(たとえば、大根おろしは食べたいが面倒なのでチューブ型が望まれる)

・時短につながること

・保存性があること

さらに、コロナ禍ではアウトドアブームがあった。そこでアウトドアでの調理でもチューブ型調味料が好まれた。これは衛生的である利点もあった。持ち運びも簡単だ。

・チューブ型調味料の魅力(+α)

また、チューブ型調味料は、”薬味”的に使われていた素材を”調味料”として使う潮流を生んだ。

 

また、コロナ禍では動画を見る習慣が一般化したが、同時に料理を”盛る”のも一般的となった。そこで、ちょっとした工夫で美味しくなるし、さらに外見的にも”スパイス”を加えるチューブ型調味料は最高だった。料理の見た目も最適化できるチューブ型調味料が望まれた。

YouTuberはコロナ禍で人気を博したが、調理界ではチューブ型調味料を愛用する人は”チューバー”と称された。

もちろん調理ブームといっても、私たちの自宅は狭いため、スパースを有効活用するためにチューブ型調味料が使われた側面もあった。

……と、もちろん上記はチューブ型調味料が流行した後付け(あとづけ)ではある。しかし、これだけ後付けできるチューブ型調味料はすごい。

調理の楽しみとして、スーパーマーケットでチューブ型調味料を確認してみてはどうだろうか。

コメンテーター。調達コンサル、サプライチェーン講師、講演家

テレビ・ラジオコメンテーター(レギュラーは日テレ「スッキリ!!」等)。大学卒業後、電機メーカー、自動車メーカーで調達・購買業務、原価企画に従事。その後、コンサルタントとしてサプライチェーン革新や小売業改革などに携わる。現在は未来調達研究所株式会社取締役。調達・購買業務コンサルタント、サプライチェーン学講師、講演家。製品原価・コスト分野の専門家。「ほんとうの調達・購買・資材理論」主宰。『調達・購買の教科書』(日刊工業新聞社)、『調達力・購買力の基礎を身につける本』(日刊工業新聞社)、『牛丼一杯の儲けは9円』(幻冬舎新書)、『モチベーションで仕事はできない』(ベスト新書)など著書27作

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