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衝撃! Amazonが水素調達を想定外に拡大

坂口孝則コメンテーター。調達コンサル、サプライチェーン講師、講演家
(提供:イメージマート)

日本メディアではほとんど報じられていない。しかし注目するべきニュースが入ってきた。

Amazonは、水素サプライヤとして有名なPlug Power Inc.から年間1万トンを超える水素を購入すると契約を締結した。Amazonは水素にも本気だ。この購入量では、年間最大800台の長距離トラックを動かせる。あるいは、3万台のフォークリフトを動かせる量なのだ。

Amazonはサプライチェーン関係のカーボンニュートラルではトップランナーだ。

さらに、この1万トンの量であってすら、序の口のようで、もっと拡大するらしい。両社はAmazonの配送の中心となるセンターに水素ステーションを増設する。

もっとも、このAmazonの水素への傾倒ぶりはいまにはじまったことではない。6年ほど前からAmazonは水素をもとにした電力を活用している。もちろん狙いはカーボンニュートラルへの寄与のためだ。

すでに米国でもっとも水素電力を活用する企業となっている。

なお日本企業は2050年までのカーボンニュートラルを宣言しているが、なぜ2050年かというと、とくに根拠はなく日本政府が宣言したからだとする企業が多い。追従しているわけだ。

しかしAmazonは2040年までのカーボンニュートラルを宣言している。そのためには「なんでもやる」姿勢だ。ちなみにウォルマートも2040年までのカーボンニュートラルを目指しているのは知られるところだ。

偶然ではあるが、このPlug Power Inc.はさきほど述べたウォルマートにも水素電力を供給している企業だ。配送だけではなく倉庫内での電力にも脱炭素の意味で貢献している。

日本企業が他社の動向を見ながら逡巡しているなか、世界のトップは誰もライバルがいないなかで独走している。

コメンテーター。調達コンサル、サプライチェーン講師、講演家

テレビ・ラジオコメンテーター(レギュラーは日テレ「スッキリ!!」等)。大学卒業後、電機メーカー、自動車メーカーで調達・購買業務、原価企画に従事。その後、コンサルタントとしてサプライチェーン革新や小売業改革などに携わる。現在は未来調達研究所株式会社取締役。調達・購買業務コンサルタント、サプライチェーン学講師、講演家。製品原価・コスト分野の専門家。「ほんとうの調達・購買・資材理論」主宰。『調達・購買の教科書』(日刊工業新聞社)、『調達力・購買力の基礎を身につける本』(日刊工業新聞社)、『牛丼一杯の儲けは9円』(幻冬舎新書)、『モチベーションで仕事はできない』(ベスト新書)など著書27作

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