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日本人は頑張らなくなった?~栄養ドリンクの売上から考察する

坂口孝則コメンテーター。調達コンサル、サプライチェーン講師、講演家
(写真:GYRO_PHOTOGRAPHY/イメージマート)

私はサプライチェーン業務に従業しています。そこで、ドラッグストアにおける栄養ドリンクの売れ行きについて調査してみました。

●2019年(2019年5月~2020年4月)

●2020年(2020年5月~2021年4月)

先日、2年間のデータが明らかになりました。調査したのはドラッグストア一店あたりで栄養ドリンクが売れた点数/月です。月間の平均(一ヶ月あたり一店舗で販売した数量を平均化)を計算しました。

2020年に新型コロナウイルが流行しました。それまでは「頑張って働け」という風潮でしたが、「体調が悪かったら仕事を休め」「不調なら頑張るな」と人々の意識が変化してきました。

さらに、職場に集う、他の社員からしても「無理してやってくるなよ」と体調不良の通勤社員に対して蔑視するようにさえなりました。すると必然的に、栄養ドリンクの購入機会も減ると予想できます。

結果から述べると、次の結果となりました。

●ドラッグストアにおける一店舗あたり栄養ドリンクの売上点数/月

POSデータより著者作成
POSデータより著者作成

(*計算式は次の通り、2019年(2019年5月~2020年4月)の場合は、Σ(2019年5月~2020年4月の一店舗あたり売上点数÷12ヶ月)。2020年(2020年5月~2021年4月)の場合はΣ(2020年5月~2021年4月の一店舗あたり売上点数÷12ヶ月)。

グラフの縦軸が0はじまりではないのはご容赦ください。

なお、もともと、栄養ドリンクは、冬場の風邪などの体調不良ではなく、夏(発汗の激しい7月から8月がピークとなります)に売上を伸ばし、次に寒い2月ころから売上点数が増加に転じます。しかし、2020年(2020年5月~2021年4月)は、その前年に比べて、ずっと低調が続いています。

なおグラフにはしていませんが、栄養ドリンクの平均売価としても下がっています。点数だけではなく、売価も芳しくありません。

もちろん、栄養ドリンクは仕事で頑張るため”だけ”に使うものではありません。ただ、コロナ禍は無関係ではないでしょう。「24時間戦えますか」というキャッチフレーズが有名になったのは1988年です。そこから30年以上が経ち、コロナ禍で日本人の意識が変わる兆しになったかもしれません。

コメンテーター。調達コンサル、サプライチェーン講師、講演家

テレビ・ラジオコメンテーター(レギュラーは日テレ「スッキリ!!」等)。大学卒業後、電機メーカー、自動車メーカーで調達・購買業務、原価企画に従事。その後、コンサルタントとしてサプライチェーン革新や小売業改革などに携わる。現在は未来調達研究所株式会社取締役。調達・購買業務コンサルタント、サプライチェーン学講師、講演家。製品原価・コスト分野の専門家。「ほんとうの調達・購買・資材理論」主宰。『調達・購買の教科書』(日刊工業新聞社)、『調達力・購買力の基礎を身につける本』(日刊工業新聞社)、『牛丼一杯の儲けは9円』(幻冬舎新書)、『モチベーションで仕事はできない』(ベスト新書)など著書27作

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