Yahoo!ニュース

正統派アイドルだから歌えた恋と青春。超ときめき宣伝部が真価発揮に「ブリッコはしてません(笑)」

斉藤貴志芸能ライター/編集者
撮影/河野英喜

ここ数年のアイドルシーンで、目覚ましい躍進を遂げている超ときめき宣伝部。横浜アリーナでの27・28日のワンマンライブを前に、アルバム『ときめく恋と青春』がリリースされる。タイトル通り、清々しい恋と青春のときめきに溢れ、正統派アイドル路線を進む彼女たちだから歌えた世界観が尊い1枚だ。

がむしゃらだった毎日を思い出しました

――去年の「ときクリ」(クリスマスライブ)で、遥香さんが『Dear friend』について「涙ぐまなかったことがない」と話していました。『ときめく恋と青春』でも、そういうふうに心を打たれる新曲はありましたか?

辻野かなみ 『君と過ごす日々』ですね。私たちの旅はまだ続きますけど、ちょっと過去を振り返れる曲になっていて。とき宣の初期、がむしゃらに毎日レッスンして、土・日にフリーライブをやっていた頃を思い出します。

――もう9年くらい前ですね。

辻野 <数えきれない奇跡の中で 僕ら出会ったんだね>という歌詞もあって、たくさんアイドルさんがいる中で、宣伝部員さん(ファン)が私たちを見つけてくれて出会えたのは、本当に奇跡だと感じてウルッときます。

坂井仁香 『君と過ごす日々』には<楽しかったな 夢を語り合ってた>とありますけど、私たちも9年前に結成して大変なこともあった中で、「いつか日本武道館に立てたらいいね」とか話していました。それはあの頃にしかない過去で、良い思い出になっています。今まで歩いてきた道が全部大切なものだったと、この曲を聴いて改めて思いました。

菅田愛貴 私も『君と過ごす日々』が好きです。みんなの歌声を聴いて、本当にいいなと思います。ライブが楽しみ。

坂井 レコーディングのときから、ライブで歌ったらよりエモいだろうなと思っていました。

――この歌詞の、終わりの時が近付いてる<君>って、どんな相手をイメージしました?

坂井 私は自分ととき宣という関係で考えていたから、「えっ、解散なの⁉」と思ったんです(笑)。でも、これは未来で過去を振り返った青春ソングと聞いて、なるほどなと。今は宣伝部員さんと私たちで結び付けています。

左から辻野かなみ、杏ジュリア、坂井仁香、小泉遥香、菅田愛貴、吉川ひより(撮影/河野英喜)
左から辻野かなみ、杏ジュリア、坂井仁香、小泉遥香、菅田愛貴、吉川ひより(撮影/河野英喜)

夢の先にもまだまだ行くんだと熱くなります

――他の皆さんが胸を打たれたのはどの辺の曲ですか?

杏ジュリア 『夢がとまらない!』の歌詞のひとつひとつに、今のとき宣が詰まっているなと思いました。横浜アリーナに向けて頑張っているところですけど、その先も私たちの夢は止まらない。そこからまだまだ行くんだと、すごく熱くなる曲です。

小泉遥香 私は『Sora』が好きです。くじけそうになったときに支えてくれる人のありがたさ、1人じゃないことの大切さが歌詞に書かれていて。初めて聴いたときからグッと来て、ライブでもウルウルしながら歌っています。

吉川ひより 『最上級にかわいいの!』は私の大好きなシンガーソングライターのコレサワさんに楽曲提供していただきました。前にラジオでお会いしたとき、直接「とき宣に曲を作ってください」とお願いしたことも、もしかしたら今回のご縁に繋がったのかも、です。

――失恋ソングだけど明るい曲ですよね。

吉川 君に振られたおかげで今の私は最上級にかわいいの! という。私はコレサワさんのセンチメンタルな曲が好きですけど、とき宣が歌わせてもらうとなると、こんなポジティブな曲が出来上がるんだなと思いました。失恋してどん底な子の味方になる曲で、みんなが前向きになってもらえたら嬉しいです。

吉川ひより(よしかわ・ひより) 2001年8月12日生まれ、千葉県出身(エイベックス提供)
吉川ひより(よしかわ・ひより) 2001年8月12日生まれ、千葉県出身(エイベックス提供)

お花畑で叫んでいる妖精になったつもりで

――アルバムはタイトル通り、恋と青春のときめきが満載ですが、神聖かまってちゃん・の子さん提供の『大、大、大すきっ!』は、皆さんの代表曲『すきっ!』がグレードアップされた感じでしょうか?

坂井 タイトルや歌詞だけを見ると、ブリブリラブリーな感じですよね。でも、オケは切なくなっていて、レコーディングでは「田舎に住んでいる純粋な女の子をイメージして歌ってほしい」と言われました。それまでデレデレ甘々に歌うつもりだったのが、一気に方向性が変わりました。

――確かに、ピュアな想いが伝わります。

坂井 恋の曲ではあるけど、頑張って恋を叶えようとする女の子の青春物語でもあるのかなと。<1人きりで僕らはいつも悩んでいる>とか意外と現実味もあって、いろいろな物語性を感じられるのが楽しいです。

――その「田舎に住んでいる女の子をイメージして」というディレクションは、皆さん受けたんですか?

菅田 私も言われました。<こっちにおーいで、もっとって>とかのパートで「お花畑で呼んでいる妖精になったつもりで」と。

――愛貴さんにピッタリでしたね。

菅田 レコーディングではいつも緊張して、ガチガチになってしまうんですけど、この『大、大、大すきっ!』は気持ちがほぐれて、わりといつもの自分で歌えたかなと思います。

――ただ、仁香さんも愛貴さんも実際には田舎に住んでいません。演じるような感覚でしたか?

坂井 アニメや映画に出てくる風景を想像して、入り込みました。田んぼしかないところで、セーラー服で髪がストレートな女の子のイメージで、真っすぐな気持ちで。この曲では全然ブリッコして歌っていません(笑)。

坂井仁香(さかい・ひとか) 2001年7月25日生まれ、神奈川県出身(エイベックス提供)
坂井仁香(さかい・ひとか) 2001年7月25日生まれ、神奈川県出身(エイベックス提供)

気持ちが高まって全力で「大すきっ!」を伝えて

――この曲では、皆さんそれぞれ<だいすきっ!>と言ってますよね。

吉川 宣伝部員さんとメンバーへの「大すきっ!」に、支えてくれている周りの皆さんへの「ありがとう!」も込めています。

辻野 <だいすきっ! だいすきっ!! だいすきっ!!!>と!マークが増えるのに合わせて、どんどん想いを強くしていきました。宣伝部員さんのことを考えながら気持ちが高まって、全力で大すきを伝えています。

菅田 ライブで宣伝部員さんと<だいすきっ!>と呼び掛け合えたら、すごくいいなと考えていました。

坂井 オチサビ前の<だーいすきっ!>は耳元でささやく感じの告白系で行きました。

 私はこういう明るい曲だと、いつも「口角を上げて」と言われます。声が落ち着いているので、ちょっと暗く聞こえてしまうみたいで。明るく楽しく<だいすきっ!>が伝わるように頑張りました。

小泉 私はあまり胸キュン台詞のパートが来ないんですけど、この曲では頭の上でひよこちゃんやお花がクルクルしているのを思い浮かべて、歌っていました(笑)。

吉川 「大すきっ!」って言葉はポジティブで誰も傷つかないから、たくさん伝えていいと思うんです。曲を通しても普段でも、素直に「大すきっ!」を伝えられる人でいたいです。

杏ジュリア(あん・じゅりあ) 2004年1月15日生まれ、東京都出身(エイベックス提供)
杏ジュリア(あん・じゅりあ) 2004年1月15日生まれ、東京都出身(エイベックス提供)

強い女性に見えて愛されるか不安なのかなと

――限定収録の『ラミラミ』と『ユラグラブ』はちょっと毛色が違って、大人寄りな感じですかね。『ラミラミ』だと<そんな撒き餌じゃ釣れない>と歌っていたり。

菅田 すごく大人とは捉えなかったんですけど、クールで女王様みたいな要素を感じました。新しいとき宣が見られると思います。

 <望んだものは手に入れる主義>とか、どうやったらカッコよく歌えるか考えました。サビには勢いがあって、行進しているような振付も入ってます。

吉川 ダンスも含め、とても好きな曲です。<愛の採点してあげる>とか<不合格!>とか、女の子はこれくらい強気で、自分の価値を下げない恋愛をしてほしい(笑)。だけど、この人は過去に裏切られたり、信じることが怖くなる経験をしたんだと考えたら、真っすぐに恋をするからこそのバリアにも思いました。同じくらい真っすぐな人に本当の愛を教えてもらえたら、きっと幸せになれるだろうなと。

辻野 カッコいい曲で、私も最初はすごく強い女性を思い浮かべたんですけど、本当はひと筋で愛してくれるか不安なだけなのかなと。最終的に必死に追い掛けてきてくれる姿を見て、ようやく振り向いているんですよね。この人なら恋愛を始めてもいいかもと、やっと思うようになって。だから、実は臆病で恋をするのが怖いのかなと、勝手に解釈をしました。

詞を昔より理解できるようになりました

――なるほど。そういうふうに詞を深く読み込んでいるんですね。

坂井 昔よりは理解できるようになりました。以前は「何だろう?」と思いながら歌っていたこともありましたけど、今はレコーディング前に結構考えています。

――大人になってきて、<オートクチュール身にまとっても>も実際にやっていたり?

辻野 オシャレな服、みたいなことですよね?

坂井 私は背中が開いた服で街を歩いたりしています。

菅田 普段は私服で会うので、ひとちゃんの背中を見ています。すごくきれいな背中です(笑)。

――『ユラグラブ』のほうは浮気された感じですかね。

吉川 とき宣の切ない失恋ソングは私の大好物です(笑)。この曲の2サビはあきちゃんからの私のパートで、2人は踊ってない構成が初めてで、とても気に入ってます。苦しくなるような歌詞ですけど、ライブで歌うと最高に楽しそうな気がしています。

辻野かなみ(つじの・かなみ) 1999年6月2日生まれ、埼玉県出身(エイベックス提供)
辻野かなみ(つじの・かなみ) 1999年6月2日生まれ、埼玉県出身(エイベックス提供)

武器は耳の良さで遠くの話も聞こえます

――『ラミラミ』には<余すことなく使うアタシの武器>とのフレーズもあります。皆さんが自分の武器だと思っているものは何ですか?

辻野 最近、ライブのロックオンフリータイム(撮影OK時間)で客席の2階や3階に行くとき、階段の上り下りが得意だと気づきました(笑)。なぜかすぐ行って、すぐ戻れるみたいで、武器かなと思います。あまり活かせる機会はないですけど(笑)。

菅田 私は階段でよくつまずきます。この前も駅の階段を上ろうとして、転びました(笑)。

坂井 あきちゃんは何もない道でも、隣りで歩いていたら急に私の顔の横からいなくなって。「あれ?」と思ったら、よろけて中腰くらいになっていて、「大丈夫?」という(笑)。

菅田 私の武器は、耳がすごくいいんです。立ち耳で前を向いているからか、遠くで誰かが話していても聞こえてくるので、便利です。

辻野 私も同じ。後ろとか違うところでしている話も聞こえます。

菅田 やっぱり立ち耳限定なのかもしれません。

――楽屋でのヒソヒソ話も筒抜けですか?

菅田 何となく「こういう話をしているんだ」とわかります。

坂井 「ときクリ」のサプライズのバースデーケーキの話も聞こえていた?

菅田 それは聞こえてなかった。

坂井 良かった(笑)。

菅田愛貴(すだ・あき) 2004年12月20生まれ、東京都出身(エイベックス提供)
菅田愛貴(すだ・あき) 2004年12月20生まれ、東京都出身(エイベックス提供)

好きになってもらいたい気持ちが強すぎて

 私は行動力が武器です。思い立ったら、すぐ行動。できるようになりたいことがあれば、即チャレンジ。最近だと、夜にゴルフの練習に行ったとき、終わって夜景を見たくなって、お母さんと横浜までドライブしました。

小泉 私は楽観的なところかな。基本、ネガティブになることがないので。たまに落ち込んでも、食べて解決します(笑)。

――遥香さんは落ち込んでも、落ち込んでなくても食べているのでは(笑)?

小泉 まあ、そうですね(笑)。疲れたときは具を何も入れない辛ラーメンを食べて、画像をひとちゃんに送りつけています(笑)。

坂井 それが全然アイドルの写真じゃないんです(笑)。私はあざといところですかね。ロックオンフリータイムでも、誰よりもカメラに顔を近づけています。好きになってもらいたい気持ちが強すぎて、ウインクも舌も出しちゃいます(笑)。

――インドネシアのスープ店の店員さんにも、ウインクをしていたとか(笑)。

坂井 街じゅうでしています(笑)。この前、愛犬のレオくんのお散歩をしていたら、小学生の女の子に「お姉さん、マジかわいい」と話し掛けられて。ここは絶対に好きになってもらおうと「そうかな?」ってウインクとかしたら、イチゴの飴をくれました(笑)。

――ひよりさんは透明感のある美声ですが、扁桃腺摘出手術後のニューボイスは新たな武器になりそうですか?

吉川 ボイトレを再開して、いろいろ撮影もして、日に日に本当の姿を取り戻しています。ふざけたくてもふざけられなかったり、動きたくても動けなかった約1ヵ月は省エネひよりんでしたけど、今は120%ひよりんになりつつあって。とはいえ、ノドを安静にしていて、1ヵ月まったく歌わなかったのは、赤ちゃんのとき以来。横アリまでにしっかり整えたいです。

小泉遥香(こいずみ・はるか)  2001年1月5日生まれ、埼玉県出身(エイベックス提供)
小泉遥香(こいずみ・はるか)  2001年1月5日生まれ、埼玉県出身(エイベックス提供)

夢を一緒に叶えようとしてくれる絆は永遠です

――ジュリアさんが今月20歳になり、愛貴さんも10代ラストイヤー。それでも『夢がとまらない!』にあるように、<終わりのない青春>で行きますか?

辻野 私は友だちとクリスマスディズニーに行ったりして、青春しているなと思いました。高校時代の友だちと今でも仲が良くて、ずっと終わりのない感じがします。

吉川 とき宣でライブをしているときは青春ですね。アイドルをしているからこそ、この年齢になっても学生の頃と変わらない気持ちでいられます。メンバーとも中学生の頃から一緒に活動してきて、青春を続けられていて。年齢は関係なく、宣伝部員さんもたくさん巻き込んで、みんなで青春していきたいです。

坂井 とき宣を続けている限り、青春は終わりません。「ときクリ」でも思ったんです。メンバー全員で同じ夢に向かって、宣伝部員さんも一緒に叶えようとしてくれている。みんなが私たちを好きでいてくれて、私たちもみんなが大好き。この絆は誰よりも青春していて、永遠ですね。

撮影/河野英喜
撮影/河野英喜

超ときめき宣伝部

スターダストプロモーションに所属する10代の女性タレントで2015年4月に結成。「ときめく何かを宣伝するために今日も歌う」をコンセプトに活動。2016年11月にメジャーデビュー。2019年4月にavexからの1stシングル『ときめき宣伝部のVICTORY STORY/青春ハートシェイカー』をリリース。2020年4月より超ときめき宣伝部に改名。ラジオ『晴れ ときどき 超ときめき宣伝部』(ラジオ日本)、『超ときめきSTYLE』(ニッポン放送)に出演中。

公式HP

『ときめく恋と青春』

1月24日発売

超宣伝盤
超宣伝盤

超恋盤・超青春盤(2CD+Blu-ray) 15000円(税込) *mu-moショップ限定

恋盤・青春盤(CD+2DVD) 7000円(税込)

通常盤(CD) 3000円(税込)

超宣伝盤(CD) 2000円(税込)

芸能ライター/編集者

埼玉県朝霞市出身。オリコンで雑誌『weekly oricon』、『月刊De-view』編集部などを経てフリーライター&編集者に。女優、アイドル、声優のインタビューや評論をエンタメサイトや雑誌で執筆中。監修本に『アイドル冬の時代 今こそ振り返るその光と影』『女性声優アーティストディスクガイド』(シンコーミュージック刊)など。取材・執筆の『井上喜久子17才です「おいおい!」』、『勝平大百科 50キャラで見る僕の声優史』、『90歳現役声優 元気をつくる「声」の話』(イマジカインフォス刊)が発売中。

斉藤貴志の最近の記事