人気ドラマの第7シリーズとなる『ドクターX~外科医・大門未知子~』で、才色兼備の研修医を演じている宮本茉由。『CanCam』モデルから女優デビューして3年。前クールでの『ボイスⅡ 110番緊急指令室』の毅然とした副室長役に続くレギュラーで、配信中のスピンオフではメインキャスト。遅めのデビューから演技にどう取り組んできたか聞いた。

デビュー作では撮影の帰りに泣いてました

――宮本さんは女優デビューして3年になりますが、もともとはモデル志望だったんですよね。

宮本 はい。女優は肩書きを背負うにはすごく遠い気がして、自分にできるはずがないという感覚でした。

――女優デビュー作のドラマ『リーガルV』に出演した際は、どんな心境で?

宮本 現場では全部が初めてで、休憩中もどこにいたらいいかわからなくて。先輩たちが演技をされていらっしゃるのに座るのもどうかと思って、隅のほうでずっと立っていました。

――最初は演技で歯がゆい思いもしました?

宮本 思い通りにいかなくて、泣いて帰ったりもしました。涙を流したほうがいいシーンで、うまく涙が出なくて、帰りの電車で悔し泣きして「なんで今泣けるんだろう?」となったり。そういうことがいっぱいありました。

――自分でオンエアを観ると?

宮本 台詞があるのは1シーンくらいで、「わっ、本当にテレビに出てる!」みたいな素人目線になっていました(笑)。

「カッコ良かった」というコメントが自信に

――演技の面白みややり甲斐は、どれくらいで感じるようになりました?

宮本 最近ですかね。最初は現場にいさせてもらっている感じで、「皆さんのお邪魔にならないように」という気持ちが強くて。それが少しずつ「このシーンをどうしたら面白くできるか」とお芝居に向き合えるようになって、楽しさも感じてきました。

――そのきっかけになった作品もあるんですか?

宮本 『ボイスⅡ』はそうでした。長台詞を話したり、私が演じた役にスポットが当たる場面があって、ちょっと自信に繋がりました。

――緊急指令室の副室長役で、真木よう子さんが演じた室長に代わって指揮を執ったりもしました。

宮本 私は観てくださった方の感想を気にするほうで、SNSで“ボイスⅡ”を調べてました。自分の役に「カッコ良かった」というコメントがあると嬉しかったです。

――たぶん宮本さんだと「きれい」みたいな誉め言葉は、聞き慣れているでしょうけど。

宮本 そんなことはないですけど、外見より「一緒にいて楽しい」とか、中身を誉められたほうが嬉しいですね。

動作や表情ひとつひとつの意味を考えて

――これまでの作品で監督に言われたりして、演技の指標になったようなことはありますか?

宮本 『リーガルV』のときの監督さんは印象深いです。すごく厳しい方で、現場で泣きそうになるのを我慢して帰りに泣いたりしていましたけど、いつも的確な指導をしてくださいました。私は目の前のことと自分の台詞に精いっぱいで、たとえば何かモノを持ったとき、監督に「なぜそれを持っているの?」と聞かれると、答えられなかったんです。「意味がなかったら持たないでしょう?」と言われて、その通りだと思いました。台詞だけでなく、動作や表情や目の動きまで、すべてに意味を持たないといけない。当たり前のことかもしれませんけど、私はそこで初めて学びました。

――秘書役で言えば、テーブルにコップを置くような、ちょっとした動きでも?

宮本 そうですね。他の現場でも、何か渡されたりしたら「なぜこれを自分が持つのか?」と考えて、お芝居するようになりました。

韓国ドラマの演技を勉強してます

――他には演技力向上のために、どんな努力をしていますか?

宮本 毎日必ず映画かドラマは観ています。趣味として好きなこともありますけど、いろいろな作品を観て、女優さんの言い方や表情をマネしたりしています。

――どんな作品が参考になりました?

宮本 最近は韓国ドラマが面白くて。今までずっと、話題になった作品も全然観てなかったので、5年前とか10年前のドラマも観ています。『まぶしくて-私たちの輝く時間-』は2回くらい展開が変わるところがあってビックリするし、ふたつのストーリーが流れる脚本も面白くて。おばあさん役で出演されていた韓国では有名なキム・ヘジャさんの演技も、すごく勉強になりました。私が観た中では一番のドラマでしたね。

――韓国ドラマには日本人と違う演じ方がありますよね。

宮本 韓国の映画やドラマはアジアだけでなく世界中で話題になって、評価されているじゃないですか。『イカゲーム』もそうですよね。そんな韓国の芸能界で活躍している女優さんは、どんな演技をしているのか。そういう目で観ています。

――そして自分の演技に取り入れようと?

宮本 でも、難しいですね。激しい演技をされたりもするので。それが面白くて、自分にも取り入れようとしていますけど、反映できているのかわかりません。そのうち出てくるかもしれないです(笑)。

――以前はゾンビものがお好きとのことでした。

宮本 今も好きですけど、もう洋画も邦画もゾンビものやホラーは観尽くしてしまった感じがします(笑)。

手術の糸結びは気持ち良くて(笑)

――『ドクターX』で研修医の虻川リサを演じるに当たって、手術シーンのための糸結びの練習もしたとか。

宮本 たくさんしました。監修の先生に「すごく上手」と誉めていただいたんです。縫うのも速いと言われて、もう嬉しくて。友だちに「ケガしたら縫ってあげるからおいで」と言ってます(笑)。

――もともと手先が器用とか、裁縫が得意とか?

宮本 裁縫はそんなに好きでないですけど、糸結び用の皮膚の代わりになるキットにプツッと入れてキュッと締まっていくのが、すごく気持ちいいんです(笑)。ストレス発散になって、趣味にできるくらい楽しかったです。

――医学的なことを調べたりもしました?

宮本 スピンオフの『ドクターエッグス』のほうで、自分が診療する患者さんの病気のことは、わかってないといけないので調べました。本編でも、毎回カンファレンスに出てくる題材の病気の概要は調べます。それを説明する先輩方は大変そうだなと思います。

――劇中のリサは、その先輩医師たちをいなす感じですね。

宮本 そうですね。男社会の中で唯一の女性研修医ながら、冷静な目でみんなを見ています。加地先生(勝村政信)を無視するシーンもあって、本当は心が痛いんですけど(笑)、そこも勝村さんが面白くしてくださるので、逆に笑わないようにもしています。小ネタを教えていただいたりもしました。

――台本にないことをブッ込んだんですか?

宮本 はい。7話で、勝村さんに「こうやると面白いよ」と教わったことをやってみました。使われるかわからなくても、成功すると楽しいですね(笑)。

役柄のまま研修医3人で仲良くなれました

――リサのキャラクターはスピンオフの『ドクターエッグス』のほうで、存分に発揮されています。

宮本 初めてひとつの役をここまで細かく追求したかもしれません。自分と違う誰かの人生を歩む楽しさを実感して、役に愛着も沸きました。研修医役の3人は年齢もキャリアも違いますけど、役柄のまま仲間のようになれて、ちゃんと入り込んで作品を作れたのが嬉しかったです。

――撮り始めの頃、3人でいたときに、宮本さんが「趣味は何ですか?」とお見合いみたいなことを聞いたとか(笑)。

宮本 そうなんです。台本を読んだら、3人がタメ口で肘を突き合ったりしていて、男性2人はたぶん自然と仲良くなるじゃないですか。私も仲良くならないとやりにくいけど、最近の男子に何を話したらいいのかわからなくて。会ってまだ3日目くらいに、どうしようかと思って、「ご趣味は?」と聞いたら、「えっ?」みたいな空気になりました(笑)。変な人と思われたらイヤだから、「実は仲良くなりたくて……」と言ったら、「そういうことだったんですね」と、趣味のことを話してくれました(笑)。

――結果的には狙い通りに。

宮本 そうですね。3人でずっと一緒にいる関係性を作れて、チームワークも良くなって、すごくスムーズに撮影ができました。

強気でやさしいことをどう言うか

――リサは『ドクターX』ではクールですけど、『ドクターエッグス』では弾けたりもしていました。

宮本 インの前にはすごく悩みました。リサは台詞の言い回しは少しキツいんです。でも、言ってることはやさしかったりするので、どういうスタンスでいけばいいのか。やさしく言ってしまうとリサじゃないし、キツく言いすぎてもただの強い子になってしまう。撮影1日目で役のイメージは決まるから、いろいろ考えたんです。そしたら、監督に「いいね」と言っていただいたので、そのままでやりました。

――結局、どんな方向にしたんですか?

宮本 本編では強い感じに見えると思うので、それだけでない普通の女の子の部分というか、本当に仲の良い人たちといるときのリサを見せたかったんです。性格的にハッキリした子だから、別に2人に嫉妬はしてなくて。強気だけど、ちゃんと2人のことを考えているし、医者の心もある。そういうところが出るようにしました。

自分の負けず嫌いはゲームで出るくらい(笑)

――『ドクターエッグス』の撮影で、特に印象に残っていることはありますか?

宮本 蟻原(一ノ瀬颯)が走るのがすごく速くて、ついていくのが大変でした(笑)。一ノ瀬くんは若いし、スポーツもされている方なので。でも、追い付こうとするリサと源五郎(上川周作)の一生懸命さが映像に出ていたので、良かったです。

――リサと素の宮本さんの距離感はどんなものでした?

宮本 私は弟がいて、お姉ちゃんな感じはちょっと似ている気がしますけど、私はリサほどプライドは高くないと思います(笑)。でも、負けず嫌いなところは私にもあります。

――宮本さんの負けず嫌いはどんなところに出るんですか?

宮本 友だちとゲームをするときとか(笑)。自分たちでステージを作って、こっちからあっちにゴールしたらクリアというゲームで、相手をやっつけるために刃物が回る機械を置いたのに、自分がその機械でやられて悔しかったです(笑)。

10代は自由に過ごした分をこれから頑張らないと

――来年には主演映画『鳩のごとく 蛇のごとく 斜陽』が公開予定ですが、もう撮影したんですか?

宮本 コロナで延期になってしまって、来年には撮影できる予定です。ずっとドキドキが続いてますけど、作品にかけられる時間が増えたという意味ではありがたいです。もっと台本を読み込めますし、人物について詳しく調べられるので、『ドクターX』が終わったら、さらに勉強しようと思っています。

――女優を始めて3年で初主演が決まったのは順調かと思いますが、デビューが23歳とこの世界では遅いほうだったのを、ハンデに感じることもありますか?

宮本 モデルを始めた頃に、その洗礼は受けました。21歳で『CanCam』の専属モデルになったとき、周りの子たちはみんな14歳や15歳からモデルを始めていて、その世界ではもうベテランだったんですね。私も中学生から始めていたらどうなっていたかなと、考えたりもしました。それを母に話したら、「あなたはその時間を自由に楽しく過ごしていたんでしょう? 彼女たちはその時間に努力していたんだから、今があるのは当たり前。あなたは今から頑張る時間だと思えばいいのよ」と言われました。その通りだなと思って、年齢をあまりマイナスに考えなくなりました。

焦って心の余裕がなくならないように

――普通の学生生活を送っていたことが、女優としてプラスになった面もありませんか?

宮本 直接そう感じることはあまりないです。でも、そういう時間を過ごせていたのは、今の自分を作るうえで、たぶん貴重だったとは思います。

――とはいえ、女優の階段を早く駆け上がりたいとは思うのでは?

宮本 そう感じるときもありますけど、心に余裕がなくなって周りが見えなくなるのもイヤなので。あまり焦ってはいません。

――そこで負けず嫌いが出るわけでもなく?

宮本 そういう負けず嫌いはないんですよね。あまり人を羨ましいなとは思いません。私は早くデビューした人がしてきた苦労をまだしてないので、これからもっと頑張らないといけない思いのほうが強くて。

――苦労もドンと来いと。

宮本 苦労したのと同じ分の喜びがある気がします。ずっと幸せだと、幸せに思えない。辛いことや悲しいことがあるから、幸せを感じるわけで、たぶんその苦労は人生に必要なものかなと思います。

Profile

宮本茉由(みやもと・まゆ)

1995年5月9日生まれ、秋田県出身。

2016年に『第1回ミス美しい20代コンテスト』で審査員特別賞。2017年より『CanCam』で専属モデル。2018年にドラマ『リーガルV~元弁護士・小鳥遊翔子~』で女優デビュー。主な出演作は『トップナイフ-天才脳外科医の条件-』、『監察医 朝顔』、『ボイスⅡ 110番緊急指令室』など。『ドクターX~外科医・大門未知子~』(テレビ朝日系)に出演中。2022年公開予定の映画『鳩のごとく 蛇のごとく 斜陽』に主演。『STRIPE CLUB』とのコラボでプロデュースしたアパレルのアイテムが販売中。STRIPE CLUB 公式HP

『ドクターX~外科医・大門未知子~』

テレビ朝日系/木曜21:00~

公式HP

配信スピンオフドラマ

『ドクターエッグス~研修医・蟻原涼平~』

TELASA独占配信(前編・後編)

テレビ朝日提供
テレビ朝日提供