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ラブコメで光る桜井日奈子が『マイルノビッチ』に主演 「素はおちゃらけタイプでウケると快感です(笑)」

斉藤貴志芸能ライター/編集者
配信中の『マイルノビッチ』に主演している桜井日奈子(撮影/河野英喜)

「毒キノコ」と呼ばれる冴えない女子高生が、学校イチのイケメンのメイク術で大変身――。大ヒットマンガをドラマ化したHuluオリジナル『マイルノビッチ』に、桜井日奈子が神尾楓珠とW主演している。ラブコメ作品のヒロイン役が多い桜井の、清楚な優等生イメージと裏腹の振り切った演技は見もの。もともと本人の素はこっち寄りなのだとか。

恋に奥手な学生時代を過ごしたのは重なります

高校時代に“岡山の奇跡”と呼ばれた美少女ぶりが注目されて、デビューした桜井日奈子。数々の作品に出演してきた中でも、映画『ママレード・ボーイ』や『ういらぶ。』など少女マンガ原作のラブコメでのヒロイン役は大きな反響を呼んできた。

――日奈子さんにとって少女マンガ原作のラブコメは、得意感しかないですか?

桜井 得意というわけではないですけど、今までそういう作品が多くて、自分の身になっているので、今回の『マイルノビッチ』も張り切ってやらせていただきました。

――もともと好きなジャンルでした?

桜井 少女マンガはそんなに読まずに育ちました。兄と弟がいて、自分もずっとバスケをやっていたこともあって、少年マンガのほうを読んでいて。恋愛というカテゴリーには、あまり興味を持たずに生きてきました(笑)。でも、少女マンガのヒロインはたいてい恋を知らなかったり、奥手だったりするじゃないですか。そういう点では、私も同じような学生時代を送ってきたと思います。

――ラブコメを撮るときのスイッチみたいなものはありますか?

桜井 マンガを実写化するときに、原作を読み込む人と意識せずにやる人と分かれると思いますけど、私はしっかり読む派です。撮影する前に「このシーンは原作のここが元なんだ」と復習して、マンガを読み返したりもします。

――演技的にもラブコメならではのことはありますか?

桜井 原作の中に答えがあると思っているので、探り探りでなく、振り切って演じられます。そういう意味でイメージはしやすいです。

撮影/河野英喜
撮影/河野英喜

想像を超えるくらい振り切ってやろうと

――マンガのキャラクターのように振り切ることは、もはやハードルではなくて?

桜井 どう振り切っても、あとは監督の演出次第なところもあるので、注文をいただいたら「想像を超えてやるぞ!」くらいの勢いで行きます。まいるちゃんなら、“毒キノコ”と呼ばれて気持ち悪がられている女の子が、メイクしてもらうことできれいになっていく、その振り幅について演出がありました。本番でやってみたことが現場でウケたときは、やっぱり快感があります(笑)。狙いすぎないようにしつつ、期待には応えたいという感じです。

――笑いが取れると嬉しい、ということですか?

桜井 そうですね。今回の『マイルノビッチ』のドラマは、よりコメディ要素が強めなんです。だから、振り切ってやらせていただきました。

――日奈子さんはお笑いは好きなんですよね?

桜井 大好きです。自分ももともと、おちゃらけたりおどけたりするタイプだったと思います。でも、女優として表に出るときはちゃんとしないといけないし、ふざけたりすると「えっ?」という反応をされがちなんです。

――日奈子さんは文武両道の優等生なイメージがありますから。

桜井 そう言われると嬉しいですけど、実はそうでもないので(笑)。実際の自分と女優として表に出る自分のギャップはずっと感じてきて、今も慣れていません。だから、そのギャップを埋めていく作業より、コメディ的な演技をするほうが楽なんです。

撮影/河野英喜
撮影/河野英喜

外見のコンプレックスは私にもあります

桜井が“国宝級イケメン”神尾楓珠とW主演する『マイルノビッチ』。地味でモテない超ネガティブ女子高生・木下まいる(桜井)は、学校創立以来のイケメン・熊田天佑(神尾)に「ブスを言い訳に使うな!」と言われて一念発起。神的メイク術を持つ彼の教えを乞いながら、驚くほどきれいになっていき、学園生活は激変する。

――まいるを演じるに当たって、どんなことから考えました?

桜井 少女マンガ原作という括りの中でも、『マイルノビッチ』はちょっと特殊なところがあって。普通ヒロインの女の子は1人の男の子にずっと想いを寄せて、それが実るか実らないか……というお話が多いと思うんです。でも、まいるはいろいろな男の子と恋をして、最終的に運命の人と出会えるか……という。ひとつの作品の中で観る方がいろいろな恋を楽しめるので、そのワクワク感、ドキドキ感を表現したいと思いました。

――序盤で「ブス」と呼ばれるまいるを、きれいな日奈子さんが演じるのは難しかったのでは?

桜井 そんなことないです。この業界って目を奪われるくらいきれいな人がゴロゴロいて、自分をもっと磨かなきゃいけないと思うから、振り切って「ブスだね」と言われるほうが気は楽です(笑)。メイクをしてなくてボサボサのカツラで猫背にしてみたり、極端に人と接してない子のオドオドした目の動きは、意識して演じました。

――まいるは「ブスなのは私のせいじゃない!」と叫んだりもしますが、そういう気持ちは、やはり日奈子さんには想像しにくかったのではないでしょうか?

桜井 わからないことはないです。私も含めて世の中の人はみんな、外見に何かしらコンプレックスがあると思うので。

――日奈子さんにもあるんですか?

桜井 あります。もうちょっと顔が小さかったら、目が大きかったら、身長が高ければ……とか。ないものねだりだとは思いますけど、そういうコンプレックスって、周りからは共感してもらえなかったり、逆にそこが良いと言っていただけたりしますもんね。私はこのお仕事を始めたとき、自分の眉毛がイヤすぎて、前髪をすごく長くしていたんです。でも、最近「良い眉毛だね」と誉められて、今はこの眉毛を受け止めて生きています(笑)。

撮影/河野英喜
撮影/河野英喜

役になれば羞恥心はまったくありません

――1話から妄想して舞い上がってクルクル回ったりしていますが、コミカルなところは頑張ったわけですね。

桜井 頑張ったというより、楽しんだ感覚です。役として振り切るのに、羞恥心はまったくないので。桜井日奈子としてTikTokでいろいろやるのは恥ずかしさもありますけど、まいるとしてその場で演じるのは、全然ちゅうちょなかったです。ケガだけしないように気をつけて、クルクル回っていました(笑)。

――ラブコメのラブの部分では、1話から合コンの後で、他校の“彼氏にしたいNo.1”の成太朗(伊藤あさひ)に手を取られて走るシーンがありました。

桜井 コメディ要素が強い分、突然のキュンに胸を打たれるところですね。まいるとして、その場でキュンときてますけど、よく「ラブコメをやっていて本当に好きにならないの?」と聞かれるんです。そういうことは今までまったくありませんでした。ラブコメは何作やっても慣れなくて。撮影が終わって振り返ったとき、「ああ、いい思いをしたシーンだったな」となります(笑)。

――日奈子さんが合コンに行って、気になる男の子がいたら、どう攻めますか?

桜井 合コンはしたことなくて……。積極的に行きたいんですけど、私は口ベタで人見知りなので、向こうから声を掛けてもらえないかと、モジモジしちゃうかな(笑)。

――全然アピールしないんですか?

桜井 ちょっと目線を送ってみるとか、飲み物を空けたら注ぐとか、さり気なくやってみるかもしれません(笑)。

撮影/河野英喜
撮影/河野英喜

リアルの高校時代はもう遠い記憶です(笑)

――『マイルノビッチ』では、文化祭とか遊園地に行くとか、イベント的なシーンも多いようですね。

桜井 多いです。「青春だな」というシーンが詰まっています。私は高校2年から仕事をやっていて、3年の最後の文化祭を楽しめなくて。そのときはちょっと寂しい想いをしましたけど、今回の文化祭のシーンは楽しめて良かったです。

――撮影の合間とかに楽しいことをしたんですか?

桜井 大きい綿あめを作ってもらったり、スタッフさんにタロット占いをできる人がいて見てもらったり。あと、みんなで輪投げをやりました。私はバスケをやっていたので、入りにくいところにスパッとキメたら、すごく盛り上がってもらえて嬉しかったです。

――輪投げとバスケって関係ありますかね(笑)?

桜井 遠くから的に入れるのは、何でも得意です(笑)。

――バスケのシーンもありましたね。

桜井 あったんですけど、まいるちゃんはヘタくそな設定で、ヘタなりに打ったシュートが入っちゃうシーンだったんですね。でも、私はバスケを13年やってきたから、フォームが体に染み付いていて、「シュートした指先がすごくきれいだった」と言われました(笑)。

――女子高生役にはまだ違和感はありませんか?

桜井 めちゃめちゃあります(笑)。私は4月で24歳になるので、リアルに高校生だったのは6年前? 遠い記憶に感じます(笑)。「いつまで制服を着られるんだろう? もしかして今回が最後かな?」という気持ちはありました。

――演じるときは若さを意識して?

桜井 制服を着れば、周りが若くて学校で撮影していたりするので、「私は高校生」と言い聞かせなくても、自然にそうなれています。だから、周りに「もう厳しい」と言われなくて、お話が来る限りは、ずっと高校生役をやりたいです。でも、お母さん役とか今まで演じたことがない役も、これからはやっていきたいです。

撮影/河野英喜
撮影/河野英喜

大人のスイッチを入れる時期だと思ってます

――デビューして、もう5年が経ったんですよね。

桜井 あっという間でした。

――女優業は順調に来ているようで。

桜井 周りからは「順調ですね」と言っていただけますけど、私の中ではこの24歳からの5年が大切だと思っています。もう若くないので、そろそろ大人のスイッチを入れないといけない時期だなと。ずっとお芝居を続けていくために役の幅を広げたいし、意識も変えていきたいです。

――今までで実はしんどかった時期はありましたか?

桜井 ありました。どの現場も苦しくて、むしろ楽なことは何もなかった気がします。お芝居もそうですし、バラエティでコメントするときもひと言足りなかったり。いつも自分に満足できなくて、イヤになることもあります。でも、悩んでいたときに「自分に100%満足したらダメだよ」と言われたことがあって。苦しくても、それはそれでいいんだと思っています。

――最近はもう“岡山の奇跡”と呼ばれることはなくなってきました?

桜井 でも、世の中には私を知らない人が圧倒的に多いので、いまだにバラエティで「岡山の奇跡として世に出ました」みたいに紹介されます。やっぱり恥ずかしいし、「もう言わないで!」と思っちゃいます(笑)。

――あのキャッチフレーズは重荷にはなっていたんですか?

桜井 重いです。「岡山の人に失礼」と言われたら、私もそうだと思うし、自分で納得したことは一度もないのは、知っておいていただきたいです(笑)。

撮影/河野英喜
撮影/河野英喜

お芝居は思いやりだとわかりました

――今、演技で課題にしていることはありますか?

桜井 観ている人に伝わるお芝居は課題だと思います。「こう演じれば伝わる」という正解はないので、ずっと考え続けないことですよね。

――逆に、演技に関して、何か目覚めたようなこともありますか?

桜井 デビューした頃に比べて、やっと業界用語は覚えてきました(笑)。パンナップとか尻ボールドとか、最初は「何を言っているんだろう?」と思ってましたけど、さすがに5年経ってわかるようになりました。演技では、前に「受け身がヘタだね」と言われたことがあって。どっちかというと自分でワッと行っちゃうので、「お芝居は思いやりだよ」と教わってから、向き合う相手のことを意識して考えるようになりました。

――それはいつ頃からですか?

桜井 最近ですかね。最初の頃は自分のことで頭がいっぱいになりがちでした。掛け合いをしている中で、自分の台詞を言おう言おうとするのでなく、2人の空間で相手を想って伝えるようになったのが、変化と言えば変化です。

――『マイルノビッチ』の撮影は昨年、緊急事態宣言で一度中断したそうですが、自粛期間に見つめ直したこともありますか?

桜井 2ヵ月近くお仕事が完全にストップして、本当に再開するか不安でした。それまではコンスタントにお仕事をやらせていただいて、休みも次の仕事の準備をしていたのが、その2ヵ月は次が決まってなくて、何をしたらいいかもわからなくて。そのとき、自分から仕事を取ったら何もやりたいことがないと、気づけたのが一番大きかったかもしれません。

――その分、撮影再開後は新たな気持ちで取り組めたり?

桜井 求めてもらえる場所が自分にある幸せを、改めて感じました。

撮影/河野英喜
撮影/河野英喜

セルフプロデュース力を磨いていきたい

――今年は年女ですが、どんな1年にしていきますか?

桜井 セルフプロデュース力を磨くのが目標です。毎年言ってる気もしますけど(笑)、今はSNSで自分で発信しないとやっていけないじゃないですか。今まで応援してくれる方は男性がメインでしたけど、女性にももっと応援していただきたくて。そのためにファッションやメイクとか、女性層の興味を引くものにどんどんトライして、発信していけたらと思っています。

――YouTubeでいろいろやっていますよね。

桜井 でも、最近クラブハウスをニュースで知って見るようになりましたけど、新しいSNSがどんどん出てきて、全然追い付けません(笑)。ツイッター、インスタ、TikTok……。それにSUGARとか17 LIVEとかアプリも溢れていて、どれを使ったらいいのか。

――日奈子さんくらいの若い世代でも、そこは戸惑いがあるんですね。

桜井 全部やるのは無理でも、新しいものには積極的に乗っていかないと、どんどん遅れていっちゃう世の中だから、しがみついていきたいです(笑)。あと、24歳になるので、大人の女性としての知識、教養、品を意識して、生活しようと思います。「もう若くないんだぞ」と自分をより引き締めながら、ひとつひとつのお仕事に真摯に向き合う姿勢は、これからも忘れずにやっていきたです。

撮影/河野英喜
撮影/河野英喜

Profile

桜井日奈子(さくらい・ひなこ)

1997年4月2日生まれ、岡山県出身。

2014年に『岡山美少女・美人コンテスト』にて美少女グランプリを受賞。2016年に女優デビュー。主な出演作はドラマ『僕の初恋をキミに捧ぐ』、『ヤヌスの鏡』、『ふろがーる!』、映画『ママレード・ボーイ』、『ういらぶ。』、『殺さない彼と死なない彼女』など。『沼にハマってきいてみた』(NHK Eテレ)でレギュラーMC。ミュージカル『17 AGAIN』(5月16日~6月6日/東京建物Brillia HALLほか)に出演。

Huluオリジナル『マイルノビッチ』

Huluで独占配信(全8話)

公式HP https://www.hulu.jp/static/mairunovich/

(C)HJホールディングス
(C)HJホールディングス

『マイルノビッチ』で大友花恋が自身と真逆のアマゾネス女子の役

https://news.yahoo.co.jp/byline/saitotakashi/20210211-00221832/

芸能ライター/編集者

埼玉県朝霞市出身。オリコンで雑誌『weekly oricon』、『月刊De-view』編集部などを経てフリーライター&編集者に。女優、アイドル、声優のインタビューや評論をエンタメサイトや雑誌で執筆中。監修本に『アイドル冬の時代 今こそ振り返るその光と影』『女性声優アーティストディスクガイド』(シンコーミュージック刊)など。取材・執筆の『井上喜久子17才です「おいおい!」』、『勝平大百科 50キャラで見る僕の声優史』、『90歳現役声優 元気をつくる「声」の話』(イマジカインフォス刊)が発売中。

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