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ラグビー・トップリーガーの出身別大学ランキング! 3位は東海大、2位は明治大、1位はやはり?

斉藤健仁スポーツライター
リコーFL松橋(明大)にタックルするサントリーCTB中村(帝京大)撮影:斉藤健仁

いよいよ2月20日(土)からラグビーのトップリーグ(TL)が始まる。来年から新リーグが始まるため、現在のフォーマットでは最後のシーズンを迎える。16チームがホワイトとレッドのカンファレンスに分かれて総当たり戦を行い、その後、下部リーグ上位4チームも加えて20チームのプレーオフトーナメントを戦い、5月23日(日)に優勝が決まる。

現在のフォーマットではトップリーグは16チーム所属しており、1チームには50人前後の選手が登録し合計800人弱の選手がいる。それでは一番トップリーグを輩出している大学はどこになるのか? トップリーガーの出身別ランキングを作ってみた。

◇やはりV9の帝京大出身者が最多となった!

おそらく2017年度まで大学選手権で9連覇を達成していた帝京大(関東対抗戦A)、近年、大学選手権を制した天理大(関西Aリーグ)、早稲田大、明治大(ともに関東対抗戦A)、リーグ戦の強豪である東海大や流通経済大あたりが上位に来るとだろうと予想していた。

それでは実際にはどうなのか集計してみると下記の通りとなった。今年度こそ天理大が36大会ぶりに関西勢として大学選手権を制したものの、やはり「西低東高」となり、上位の8大学中6つが関東の大学で、特に関東対抗戦Aのチームが並んだ。

帝京大出身者は75人おり、クボタスピアーズ以外の各チームにまんべんなく輩出している。2部にあたるトップチャレンジの9チームにも40人の選手を送り出しており、「帝京大の選手は体ができており即戦力」(某チームのスカウト担当)というのも納得である。

◇トップリーガー・出身別大学ランキング

1位 帝京大 75人

2位 明治大 65人

3位 東海大 42人

4位 筑波大 39人

5位 早稲田大 38人

6位 天理大 27人

7位 流通経済大 22人

8位 同志社大 21人

9位 慶應義塾大 20人

9位 法政大 20人

9位 立命館大 20人

◇上位には関東対抗戦のチームが並んだ

2位には毎年、有力高校の選手が多く入部し4年連続大学選手権でベスト4に進出している明治大、3位は関東リーグ戦3連覇中の東海大が入った。明治大は、選手は全員が寮生活で、個々の選手のポテンシャルはもちろんのこと、近年、練習やコーチング環境が良いことも多くのトップリーグやトップチャレンジのチームに選手を輩出している要因となっている。

東海大は部員数が多く、そのほとんどが体育学部に在籍していることも影響しているはずだ。東海大の木村季由監督が「長くプレーを続けてくれるのが一番嬉しい」と話していた通り、トップリーグに多くの選手を送り出している。

特に日本代表キャプテンのFLリーチ マイケル(東芝)の代は社会人10年目にあたるが、PR三上正貴、FB豊島翔平(ともに東芝)、HO木津武士(日野)、FL/NO8前川鐘平(神戸製鋼)、WTB鶴田諒(当時はSH/NTTコミュニケーションズ)、CTB森川海斗(Honda)らといまだに現役選手が多い。

そして4位には少し意外だったが筑波大が入った。筑波大学は他の強豪大学と比べると部員は半数くらいだが、その多くは体育学群出身であり、社会人でも競技を続けて、息の長い選手も多い。5位は昨年度の大学選手権で優勝した早稲田大、6位は今年度の大学王者・天理大、7位はリーグ戦の強豪のひとつ流通経済大、8位は「関西の雄」同志社大と続いた。

◇神戸製鋼は流通経済大出身選手が最多に

それではホワイトカンファレンスからチーム別を見ていこう。連覇を狙う神戸製鋼コベルコスティーラーズは、関西の大学ではなく流通経済大学出身者が7人でトップとなった。特にFW第一列にはPR中島イシレリを筆頭に3人OBがいる。また京都産業大出身者も4人と多かった。

悲願の初優勝を狙うヤマハ発動機ジュビロは長い間、清宮克幸(現アドバイザー)、堀川隆延(現監督)の早稲田大出身者がコーチングをしており、FB五郎丸歩、SH矢富勇毅らベテラン選手が元気なこともあり早稲田大出身者が6人で最多、2位は法政大出身者で5人だった。

優勝候補の一つパナソニックワイルドナイツは帝京大出身者8人と最多だが、2位はコーチを派遣するなど交流し地域的に近い大東文化大出身者が7人で2位となった。リコーブラックラムズは同じ世田谷に練習場を構える明治大出身者が6人、帝京大出身者が6人と同数でトップだった。

NECグリーンロケッツは帝京大出身が7人だったが、練習場のある千葉・柏市に地域的に近い筑波大、流通経済大出身者が4人ずついる。キヤノンイーグルスは明治大、立命館大出身者が5人ずつで最多だが、HO庭井祐輔、LO宇佐美和彦、FL嶋田直人の3人は立命館大の同期にあたる。

日野レッドドルフィンズは地域的に近い明治大出身者が7人、NTTドコモレッドハリケーンズは明治大出身が7人で最多だが大阪のチームだけに2位は関西の立命館大出身者が6人いる。

◇サントリーは明治大出身者が9人と一大勢力に

それでは、レッドカンファレンスをみていこう。王者奪還を狙うサントリーサンゴリアスは、地域的にも近く、OBである田中澄憲監督が明治大を指導していることなどの影響もあり、明治大OBが9人と一大勢力となっている。

トヨタ自動車ヴェルブリッツは帝京大出身者が9人で最多だ。FL/LO姫野和樹(今年はNZのハイランダーズに挑戦している)を筆頭に、前指揮官であるジェイク・ホワイトHC(トップリーグ)が「帝京大の選手は優勝を知っている」と積極的にリクルートしていた影響もあるはずだ。

クボタスピアーズはCTB立川理道ら天理大出身者が7人で1位、同志社大出身者が6人で2位と関東のチームにしてはめずらしく関西の大学出身者が多い。大阪が本社の会社であり、同志社大の指揮官をクボタOBの山神孝志氏が務めていた影響もあるだろう。

NTTコミュニケーションズシャイニングアークスは各強豪大学の選手がまんべんなくいるが、WTB山田章仁を筆頭に慶應義塾大選手が4人と多い。Honda HEATは明治大出身者が7人と最多であり、東芝は帝京大&東海大出身者が5人で最多だ。宗像サニックスブルースは大阪体育大出身者が4人、三菱重工相模原ダイナボアーズは早稲田大出身者が5人で最多となった。

◇来年から新リーグが始まる。「西低東高」は崩れるか?

あらためて、トップリーグの出身大学別ランキングをみると、やはり関東の強豪大学に進学し活躍することがトップリーガーになる近道であることがわかる。そのため、高校ラグビー界は「西高東低」だが、有力な高校生は関東の大学に進学する流れが続いていた。

ただ今年度、天理大が優勝したことで「西低東高い」のバランスも崩れてくる可能性も出てくるだろう。また来年から始まる新リーグは地域密着が求められるため、地元出身の選手や、ホストエリアやそれに近い大学の選手を積極的に採用するチームも出てくるはずだ。

スポーツライター

ラグビーとサッカーを中心に新聞、雑誌、Web等で執筆。大学(西洋史学専攻)卒業後、印刷会社を経てスポーツライターに。サッカーは「ピッチ外」、ラグビーは「ピッチ内」を中心に取材(エディージャパン全57試合を現地取材)。「高校生スポーツ」「Rugby Japan 365」の記者も務める。「ラグビー『観戦力』が高まる」「ラグビーは頭脳が9割」「高校ラグビーは頭脳が9割」「日本ラグビーの戦術・システムを教えましょう」(4冊とも東邦出版)「世界のサッカー愛称のひみつ」(光文社)「世界最強のGK論」(出版芸術社)など著書多数。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。1975年生まれ。

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