30分ハーフの高校ラグビーで、後半ロスタイムは18分を超えた。それでもお互いに譲らず21-21でノーサイド。100回目を迎えた花園の歴史に刻まれる、忘れがたい激闘となった。

1月3日(土)、「花園」こと全国高校ラグビー大会の準決勝で、4試合目は近畿大会王者の東海大大阪仰星(大阪第1/優勝5回)と九州大会王者の東福岡(福岡第1/優勝6回)、この10年、高校ラグビー界を引っ張ってきた優勝候補同士が激突した。

◇先手は地元の仰星が取ったが……

地元の東海大大阪仰星(仰星)が先手を取る。自陣でボールを継続し、12分、最後はNO8倉橋歓太(3年)が抜け出してトライ(7-0)。その後も仰星が攻め続けるが、東福岡が守備で粘って失点を許さない。

すると後半29分、東福岡にチャンスが到来。FWで攻めた後、最後はCTB平翔太(2年)が抜け出してトライ。7-7の同点で折り返した。

後半は東福岡が先に主導権を握る。6分、スクラムから右に展開し、内に切れ込んだWTB川端航聖(3年)がトライ。さらに7分、相手のキックオフからカウンターを仕掛けて、左に展開しFB坂本公平(3年)が飛び込んで7-21とリードする。

ただ、東福岡に取っては、ファーストキッカーの坂本がこのトライで負傷交替してしまうことが大きく響くことになる。

優勝候補の仰星も意地を見せて14分、自陣で相手ボールをターンオーバーし、WTB大畑亮太(3年)が走りきってトライ。21分にはゴール前でFWにこだわってPR前川直哉(3年)が押さえて21-21の同点に追いつく。

23分、東福岡はPGのチャンスを得るが、負傷交替した坂本に替わって蹴ったCTB平が外してしまい21-21の同点のままロスタイムに突入する。

◇ロスタイム18分超の名勝負に

36分、東福岡がFWで近場を攻めた後に、右サイドのスペースにキックし、途中出場のFB西端玄汰(3年)が押さえたかに見えたが、その前に東海大大阪仰星の選手を妨害したという判定でノートライ。

東福岡は39分にPGのチャンスも得たが、ファーストキッカーが負傷していたためスクラムを選択。再び、FWでフェイズを重ねるが、仰星もディフェンスで粘り、ゴールラインを割らせない。

その後、仰星が敵陣に入って攻める時間もあったものの、ノックオンしてしまい48分05秒、21-21の引き分けでノーサイドを迎えた。両者の花園での通算成績は東福岡の4勝5敗1分となった。

規定により両キャプテンの抽選により、東福岡のLO永住健琉(3年)が「次回出場権あり」を引いて、東福岡が準決勝に駒を進めた。

◇「ノーサイドが先に来ていた」(仰星・近藤主将)

仰星の湯浅大智監督は「引き分けって、こんなことあるんですね! 大学のロスタイムでも見たことないですね。本当に彼らはすごい。これから、この経験から大きく成長していってくれると思います」と目を赤くしながら話した。

突破役として活躍を見せた東福岡のPR 本田啓(3年)は「技で取るのではなく、お互い力で取りに行くという展開で、試合をやっていてただただ楽しかったです! (負けたら)これで自分の高校ラグビー生活が終わると思えば体も勝手に動きました。タイトな試合になるとは思っていましたが、こんな展開になるとは思っていませんでした」と笑顔を見せた。

仰星のSO近藤翔耶主将は、試合終了したのが48分05秒だったことについて聞かれると「東福岡というスペシャルな、特別な相手なので、もっとやりたいと思いました。今までで一番長い後半だった。敵と味方ではなく、30人で試合しているというか、トライ取られるとか勝敗もありますが、一体感というかプレー中にノーサイドが先に来ていた気がします」と振り返った。

今シーズン、仰星はクラブの目標として「真の紺色とは何か?」を掲げていた。その答えを聞くと、涙を我慢して少し上を向いてから近藤主将は「(それは)全員で味方を考えてファイトし続けて、チャレンジし続けることを最後のプレーで見せることができたことです。もう同じチームでもやることはないが、(コロナ禍で)会場に来られなかった仲間たちに感謝して、(後輩たちには)仰星の根幹を見て、やってほしい」と気丈に話した。

◇「高校ラグビーっていいな」(東福岡・藤田監督)

準決勝に進出した東福岡の藤田雄一郞監督は「仰星さんのFWとうちのFWが本当に気持ちいいくらいやり合って、(ロスタイムは)何分ですか? 48分! 48分なんて見たことないです! 100回大会で、仰星と熱いゲームができて(準決勝に)抽選で行かせてもらうのは、清々しいというか、準々決勝で仰星と当たれて良かったな、高校ラグビーっていいなと思います」としみじみと話した。

さらに仰星の近藤主将のコメントを伝えると、藤田監督も「僕もそうだと思います。(お互いが)ノーサイドをしたくないというか、仰星と東福岡の友好関係というか、両校(の選手ともに)終わりたくないやろうなと……。

両監督、(僕も)湯浅大智監督も、あのときのゲームと監督をする限りは語り継がれると思います。仰星というチームとやれて本当に良かった。東福岡らしくないと言われるかもしれませんが、仰星と湯浅監督の思いも背負って次の京都成章に挑んでいきたい」と力を込めた。