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W杯を控えたラグビー日本代表が北米遠征より帰国 「PNCは網走合宿のようなもの」(ジョーンズHC) 

斉藤健仁スポーツライター
取材陣の質問に答えるジョーンズHC(撮影:斉藤健仁)

8月6日、午後、ラグビー日本代表が、1勝3敗と4位で終えたパシフィック・ネーションズカップ(PNC)終えて成田空港に帰国し、日本代表を率いるエディー・ジョーンズHC(ヘッドコーチ)が取材陣に対応した。

まず、3日のトンガ代表戦後にジョーンズHCが取材拒否した件に関して、わざわざ成田空港に来た稲垣純一・日本代表チームディレクターが「現地ではいろいろご心配をおかけしましたが、これからエディー・ジョーンズHCはすべての取材に答えていきますので、引き続き宜しくお願いします」と陳謝した。

続いてジョーンズHC本人は、その理由を聞かれ「ワールドカップ(W杯)では、スティーブ(・ボーズウィックFWコーチ)が会見に応じないといけないときがあるかもしれないので、良い練習でした」と冗談を言いながらも、「もう終わったことなので」と、それ以上詳しく説明することはなかった。

その後、ジョーンズHCはいつも通り、取材陣の質問に答えた。

PNC結果

7月18日 ○日本代表20-6(前半11-3)カナダ代表(アメリカ・サンノゼ)

7月24日 ●日本代表18-23(前半11-9)アメリカ代表(アメリカ・サクラメント)

7月29日 ●日本代表22-27(前半9-24) フィジー代表(カナダ・トロント)

3位~4位順位決定戦

8月3日 ●日本代表 20-31(前半11-16) トンガ代表(カナダ・バーナビー)

PNCは「改善点が浮き彫りになった」大会

――1勝3敗で終わったPNCの総括は?

ジョーンズHC 良い大会でした。(W杯に向けた)選手のセレクションにもフォーカスを行い、非常に多くのことを学べて、改善点が浮き彫りになりました。 

9月19日のW杯の初戦までに、正しく選手をセレクションし、選手の理解度を上げたい。スーパーラグビーから戻って来た選手や長期のケガから復帰した選手もいます。あまり一緒にプレーしていない選手が多かったことが、最後の2試合(フィジー代表戦とトンガ代表戦)で露骨に出たと思います。チームの理解力が良くなかったですが、それは自然なことだと思います。

ブレイクダウンで勢いが付けられないとき、そしてトンガ代表のようにフィジカルで激しいチームと戦い、さらに接点で(相手が優位にプレーすることを)レフリーが許してしまう場合、他の方法でテンポを上げる方法を見つけないといけない。

――トンガ代表戦の後半は、BKが良いように思いましたが。

ジョーンズHC (BKは)新しいメンバーが入ってきたことで、互いの動きの理解力があまり良くなかった。トンガ代表戦の後半が、というよりも、大会を通じて精度は高くなかった。

PNCの間は移動もありましたし、ほとんどトレーニングができなかった。8月の3試合(世界選抜戦とウルグアイ代表と2試合)は、すべてはW杯で何をやるべきかに焦点を当てます。

――PNCでケガした選手の状態は?

ジョーンズHC (良くなるまで)PR稲垣(啓太)は3週間くらい、FLブロディー(マイケル・ブロードハースト)、CTB田村(優)も2~3週間くらいかかるでしょう。

LO真壁(伸弥)は予定通りウルグアイ代表戦で起用します。ナキ(NO8アマナキ・レレィ・マフィ)、CTBマレ・サウはW杯に向けて調整しています。CTB(クレイグ・)ウイングはトンガ代表戦でケガから戻って来て素晴らしいプレーをしました。ケガ人が出ているので、(7日に発表する)第4次日本代表候補は、少し多めに発表します。

――8月15日(@東京・秩父宮)で対戦する世界選抜のメンバーが発表されました。

ジョーンズHC ファンタスティックです! ただ、国内での3試合はまったくフォーカスしません。W杯のための準備をします。PNCは網走(※)で合宿しているのと同じような感覚です。網走で何本勝っても、トップリーグで勝てるわけではありませんから。

※網走はトップリーグ所属するほとんどのチームが毎年、夏合宿を行っている

――スーパーラグビー組が戻って来てチームのマインドセット(心構え)は変わりましたか?

ジョーンズHC まだですが、上がってきています。違いをもたらしています。ただ、いろいろ模索していることもあります。フミ(SH田中史朗)がスーパーラグビーから戻って来ました。世界有数の9番ですが、10番とのコンビネーションやFWとの合わせ方を理解しないといけない。試合を重ねることで合っていくことですが、時間がかかります。

――W杯に向けての課題は?

ジョーンズHC まだディフェンスで不安要素が残ります。体重の多いチームに苦戦しています。乗り越える方法を見つけなければならない。それをするためには、ラインスピードを上げて、(1人目が)良いチョップタックルに入って、2人目が必死にコンタクトする。それを継続して行わないといけないですが、80分できていない。それを行うのが次の世界選抜戦です。

ラグビー日本代表今後の予定

8月15日(土)日本代表対世界選抜(東京・秩父宮)

8月22日(土)日本代表対ウルグアイ代表(福岡・レベスタ)

8月29日(土)日本代表対ウルグアイ代表(東京・秩父宮)

※上記3試合は「リポビタンDチャレンジマッチ2015」として行われる

9月5日(土)日本代表対ジョージア(グルジア)代表(イングランド・グロスター)

ラグビーワールドカップ2015

9月19日(土)第1戦・日本代表対南アフリカ代表(イングランド・ブライトン)

9月23日(水)第2戦・日本代表対スコットランド代表(イングランド・グロスター) 

10月3日(土)第3戦・日本代表対サモア代表(イングランド・ミルトンキーンズ)

10月11日(日)第4戦・日本代表対アメリカ代表(イングランド・グロスター)

※予選プールBで上位2チーム以内に入ると決勝トーナメント(=ベスト8)進出

スポーツライター

ラグビーとサッカーを中心に新聞、雑誌、Web等で執筆。大学(西洋史学専攻)卒業後、印刷会社を経てスポーツライターに。サッカーは「ピッチ外」、ラグビーは「ピッチ内」を中心に取材(エディージャパン全57試合を現地取材)。「高校生スポーツ」「Rugby Japan 365」の記者も務める。「ラグビー『観戦力』が高まる」「ラグビーは頭脳が9割」「高校ラグビーは頭脳が9割」「日本ラグビーの戦術・システムを教えましょう」(4冊とも東邦出版)「世界のサッカー愛称のひみつ」(光文社)「世界最強のGK論」(出版芸術社)など著書多数。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。1975年生まれ。

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