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ナメクジの味は最高だった! 「ハリー・ポッターと秘密の部屋」、メイン3人の懐かしい言葉を改めて

斉藤博昭映画ジャーナリスト
「ハリー・ポッターと秘密の部屋」完成時の会見で(写真:ロイター/アフロ)

大ヒットシリーズの2作目、『ハリー・ポッターと秘密の部屋』が、1月19日の金曜ロードショーで放映される。

『秘密の部屋』の公開は、2002年の11月。ちょうど1年前の第1作『賢者の石』では、メインキャストの3人、ダニエル・ラドクリフ、エマ・ワトソン、ルパート・グリントがあまりに初々しかったが、この2作目ではすっかり世界に馴染み、公開直前に行われたイギリス、ロンドンでの会見でも少しリラックスした受け答えができるようになっていた。より率直に、素直に、自分の言葉で語った彼らを、改めて振り返ってみたい。

ハリー役/ダニエル・ラドクリフ

ーー『賢者の石』によって人生がどう変わったのか?

「僕の人生は驚くほど変わってない。もちろん街で声をかけられることも増えたけど、それってクールな経験だよね? 基本的には同年代の子供たちと同じ日常を送ってるよ。男の子同士で遊んで、グダグダと時間を過ごす。ピザ食べるパーティーなんかでね」

ーー前作よりもアクションは大変だった?

「すべてのスタントを自分でこなしたわけじゃないけど、車にぶら下がってるシーンは、実際に僕がやってるよ。地上から10mくらいの高さで宙に浮いてたんだ。クライミングや剣術のトレーニングもした。秘密の部屋の“顔”の上のシーンでは、つかまってるだけで苦労した。撮影中にいちばん興奮したのは、スネイプとロックハートの決闘シーン。見守りながらテンションが上がったな」

ハーマイオニー役/エマ・ワトソン

ーー撮影を振り返って、どんな思い出が?

「ハーマイオニーがベラベラとよくしゃべるシーンが、とにかく大変だった。今となっては、どんなセリフだったのかも覚えてないくらい。撮影中は毎日、仕事とは別に最低でも3時間、多いときは5時間の授業を受けて、それで学校の勉強に遅れないようにしていたの。学校に戻って、友達に会い、大事な試験の準備もできてホッとしたわ」

ーーハーマイオニーと自身の違いは?

「ハーマイオニーはボッシー(何でも自分で仕切りたがる)だけど、私は友達の気持ちを推し量るタイプ。それに彼女は本の虫で勉強好き。私はスポーツやアートの方に興味がある」

ロン役/ルパート・グリント

ーー最も大変だったシーンは?

「クモのシーン! 僕はクモが大嫌いなんだ。撮影に使われた巨大なクモはゴム製だったけど、それでもダメ。本当に怖かった。でも映像を観たら、クールに怖いシーンになってて良かったかな」

ーーでは逆に楽しんだシーンは?

「ロンがナメクジを食べるシーン。いろんなナメクジを食べては吐き出すんだけど、チョコレート味、ペパーミント味、オレンジ味、レモン味……とあって、じつはどれも美味しかったから」

2002年12月、プロデューサーのデヴィッド・ヘイマンとともに来日したダニエル・ラドクリフ
2002年12月、プロデューサーのデヴィッド・ヘイマンとともに来日したダニエル・ラドクリフ写真:ロイター/アフロ

その後、公開が始まってから、ダニエル・ラドクリフが来日を果たし、日本のメディアでは大きな話題となった。

「シリーズ2作での経験は、俳優としての僕を開眼させてくれた。今後やってみたいのは『シンプソンズ』の声優」と来日時に語っていたラドクリフ。音楽への興味について熱く話すようにもなっていた。

「姿を隠せる魔法が使えたら、面倒なことから抜け出して、ロックコンサートへ行ってみたい。とにかく僕はパンク・バンドのサウンド、そしてパンクの精神が好きで、セックス・ピストルズ、ダムド、ストラングラーズ、クラッシュなんかを聴いているよ」

2024年の今、34歳になったダニエル・ラドクリフのパンク精神は健在。映画「Weird: The Al Yankovic Story」では、マイケル・ジャクソンのパロディソング「Eat It」などで知られる、奇才ミュージシャン、アル・ヤンコビックの役で怪演をみせたばかり。そのラドクリフ、およびルパート・グリントは一児の父となった。彼らは俳優として地道に活動を続けているが、エマ・ワトソンは、2019年の『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』以後、俳優業はほぼ休止状態にある。

当時のピュアなコメント、そして、あれから21年を経た現在の彼らの姿を重ねながら、『ハリー・ポッターと秘密の部屋』を観れば、ある種、スペシャルな感慨に浸ることもできるだろう。

2024年1月のエミー賞授賞式で。モデルとなったアル・ヤンコビックとともに
2024年1月のエミー賞授賞式で。モデルとなったアル・ヤンコビックとともに写真:ロイター/アフロ

2023年、出演作「ノック 終末の訪問者」の上映会で
2023年、出演作「ノック 終末の訪問者」の上映会で写真:REX/アフロ

映画ジャーナリスト

1997年にフリーとなり、映画専門のライター、インタビュアーとして活躍。おもな執筆媒体は、シネマトゥデイ、Safari、ヤングマガジン、クーリエ・ジャポン、スクリーン、キネマ旬報、映画秘宝、VOGUE、シネコンウォーカー、MOVIE WALKER PRESS、スカパー!、GQ JAPAN、 CINEMORE、BANGER!!!、劇場用パンフレットなど。日本映画ペンクラブ会員。全米の映画賞、クリティックス・チョイス・アワード(CCA)に投票する同会員。コロンビアのカルタヘナ国際映画祭、釜山国際映画祭では審査員も経験。「リリーのすべて」(早川書房刊)など翻訳も手がける。

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