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この土日は子供の水難事故に要警戒 何に気を付けたらよいでしょうか

斎藤秀俊水難学者/工学者 長岡技術科学大学大学院教授
川遊びは水深膝下までで楽しみましょう(筆者撮影)

 この土日は子供の水難事故に要警戒です。今年に入ってから本日6月24日までに重大事故に巻き込まれた子供の数は全国で13人です。これから8月いっぱいまで事故防止のために何を気を付ければよいでしょうか。

気を付けること

1.平日は親に無断で水辺に近づかないと言って聞かせる

2.休日は親子ともどもむやみに川に近づかない

3.水遊びは、水深膝下までで楽しむ

警報級のひどさ

 このシーズンの水難事故は警報級のひどさです。4月からの中学生以下の子供の水難事故のうち重大な結果となった事故を一覧に示します。

4月 5日火曜日 宮城県栗原市ため池 小学1年男児

4月11日月曜日 大阪府枚方市ため池 小学男児

4月12日火曜日 福岡県行橋市河川 小学1年女児

4月16日土曜日 広島県広島市河川 保育園男児

5月10日火曜日 青森県弘前市ため池 中学男子

5月12日木曜日 福岡県久留米市河川 小学4年女児

5月19日木曜日 広島県三次市河川 中学2年女子

5月28日土曜日 埼玉県加須市用水路 4歳男児

6月 5日日曜日 京都府伏見区河川 小学6年男児

6月18日土曜日 石川県白山市用水路 小学男児

6月19日日曜日 東京都日野市河川 中学男子、中学男子

6月19日日曜日 広島市安佐北区河川 中学男子

平日は親に無断で水辺に近づかないと言って聞かせる

 全国的に毎日暑い日が続いています。気温が25度を超えると水難事故は急激に増えます。子供同士が集まれば、どうしても涼しそうな水辺を目指してしまうからです。

 5月中旬までは平日の事故が多く、放課後に単独で、あるいは友達同士で川やため池に釣りなどに出かけて水難事故に遭遇しています。このところのコロナ感染防止策の緩和も要因にあげられるのでしょうか。子供同士が集まり屋外で遊ぶ機会が増えたかもしれません。

 おうちの方はぜひ、「親に無断で水辺に近づかない」と言って聞かせてください。当然「友達と釣りに行っていい?」と聞かれても、答えは「ダメ」です。

休日は親子ともどもむやみに川に近づかない

 5月下旬から、土日の重大な水難事故が毎週のようにニュースになっています。用水路や河川が現場です。特にたまたま出かけた先の用水路で子供が落ちた(白山市)というように、日頃からあまり馴染みのない水辺での事故が目立ってきました。

 またあまりにも気温が高くなってくると、どうしても川の中に入ってしまいます。浅く見えても深いのが川です。そういった川の深さに気が付かずに。気づいた時には戻るに戻れない状況になって沈みます(日野市)。

 「親が一緒だから、川に行っても大丈夫」は、全く根拠がありません。大人が水難事故の発生原因に精通しているはずはなく、一旦事故が発生すれば親子ともども犠牲になりかねません。

 だから、休日は親子ともどもむやみに川に近づかないようにします。

【参考】川が「おいで、おいで」と手招きする だから水難事故は繰り返す その原因を専門家が解説 戻れずに溺れる動画を視聴できます

水遊びは、水深膝下までで楽しむ

 とはいっても、親子の思いでづくりにやはり暑い日は水辺で活動を楽しみたいもの。釣りに行く時には、親子全員で救命胴衣を着用しましょう。万が一の転落事故でも呼吸を確保し、救助を待つことができます。

 救命胴衣がなかった場合、最終手段は「ういてまて」です。動画Iのように背浮きになって呼吸を確保し救助を待ちます。陸の上の人は「ういてまて」と声をかけて、すぐに119番(消防)して現場に救助隊を呼びます。

動画I 最終手段はういてまて(筆者撮影 1分18秒)

 こういう事故に遭わないためにも、水遊びは水深膝下までで楽しみましょう。なぜかと言うと、人は腰より深い川で簡単に流されます。膝から腰までは要注意です。膝下の深さであれば、たとえ転倒しても流されることがありません。

 親子で遊ぶ時にはお子さんの膝下までの水深で遊び、少し深い方に行ってしまったら、腰に至る前に元の膝下までの深さに戻ります。次の動画IIを参考にしてください。

動画II 川遊びは膝下までの水深で(筆者撮影 1分13秒)

さいごに

 この土日から、8月いっぱいまで土日の水難事故のシーズンになります。暑い日の入水は膝下までにとどめてぜひ家族の思い出作りをしてください。

水難学者/工学者 長岡技術科学大学大学院教授

ういてまて。救助技術がどんなに優れていても、要救助者が浮いて呼吸を確保できなければ水難からの生還は難しい。要救助側の命を守る考え方が「ういてまて」です。浮き輪を使おうが救命胴衣を着装してようが単純な背浮きであろうが、浮いて呼吸を確保し救助を待てた人が水難事故から生還できます。水難学者であると同時に工学者(材料工学)です。水難事故・偽装事件の解析実績多数。風呂から海まで水や雪氷にまつわる事故・事件、津波大雨災害、船舶事故、工学的要素があればなおさらのこのような話題を実験・現場第一主義に徹し提供していきます。オーサー大賞2021受賞。講演会・取材承ります。連絡先 jimu@uitemate.jp

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