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36日ぶりに健在が確認された金正恩総書記! 明日の軍事パレードでは何を見せ、何を語る?

辺真一ジャーナリスト・コリア・レポート編集長
朝鮮労働党中央軍事委員会拡大会議に出席した金正恩総書記(労働新聞から)

 北朝鮮の国営通信「朝鮮中央通信」は今朝、朝鮮労働党中央軍事委員会の拡大会議が開かれ、「金正恩(キム・ジョンウン)党総書記が指導した」と伝えていた。

 金正恩総書記は元旦に少年団大会に出席した少年団員らと記念写真を撮って以来、36日間も動静が伝えられていなかった。日本や韓国など普通の国では国のトップの動静が1か月以上も伝えられないことはまずあり得ないが、北朝鮮だけは例外だ。1か月以上の動静不明は決して異例でも、珍しいことでもない。過去に何度もあった。

 例えば、2014年には40日間も、最近では一昨年の2021年に10月11日にミサイルなどが展示された国防発展展覧会に出席した後、11月15日に現地指導のため三淵院市を訪れるまで35日間も姿を消していた。

 長期間不在となると、健康不安説が流れてくるのが常である。例えば、2020年4月は11日に平壌で開催された党政治局会議を最後に消息が伝えられず、12日の最高人民会議を欠席し、さらに祖父・金日成主席の誕生日である15日に錦繍山太陽宮殿を初めて参拝しなかったことから大騒ぎとなり、韓国では「重篤説」「脳死説」が流れる有様だった。

 この時は動静不明からおよそ3週間目となる5月1日に平安南道順川市にある肥料工場の完工式に出席したことで健康不安説は払拭されたが、今年も1月17日に開催された最高人民会議(日本の国会にあたる)に現れなかったこと、また党中央委員第8期第7次全員会議拡大会議の2月下旬開催を決定した2月5日の党第8期第13次政治局会議も欠席したことから韓国では金総書記の動静に注目が集まっていた。しかし、過去のデーターをみると、金総書記の最高人民会議の欠席も政治局会議の欠席も決して異例ではない。

 金正恩政権(2012年~)になって最高人民会議は計16回開かれているが、金総書記はそのうち7回も欠席している。また、党政治局会議も2021年10月31日の党第8期第4次政治局会議には姿を現さず、昨年6月7日の党第8期第9次政治局会議も欠席し、組織担当の趙甬元(チョ・ヨンウォン)書記(政治局常務委員)が「政治局の委任」により司会を担当していた。

 それでも韓国当局あるいは韓国のメディアが毎度「何か異変があったのでは」と関心を払うのは当然のことである。今回も持病の痛風が再発し、歩行が困難なのかもしれない、昨年「新型コロナウイルス」とみられる「原因不明の発熱」に侵されたことで再び拡大しつつある「コロナ」の感染を恐れて、外部との接触を避けているのかもしれない、あるいは新年の宮殿参拝で随行者らは全員オーバーやコートを脱いでいたのに唯一金総書記だけが分厚いオーバーを着ていたことから厳冬で外出を控えているかもしれない等々の憶測が流れていた。

 これ以外にも、ダイエット中の可能性も想定されていた。一部には食糧危機とは無縁だった開城市でも餓死者が発生していることから庶民の不満を逸らすため肥満体の金総書記が無理に痩せようとしているのではないかとの穿った憶測も流れていた。

 まだ記憶に新しいが、金総書記が一昨年9月9日の建国73周年閲兵式(軍事パレード)に姿を現した時は全体的に頬の肉が縮み、顎のラインも少し露出し、超スリムになっていた。当時韓国の国家情報院(NSP)は「20kg程度減量したようだ」と分析し、「激痩せは病気でなく、減量による」と結論付けていた。トレーニングや薬物療法、食事療法も含め健康のためダイエットに取り組んだ成果が表れたとの分析が一般的だった。ところが、その後、リバウンドし、昨年9月にはNSPは「体重が再び140kgに迫っている」と国会情報委員会で報告していた。

 今朝、配信された金総書記の顔写真を見る限り、足の状態は定かではないが、血色も良く、健康そのものだ。ダイエットした気配もなかった。

 どちらにせよ、明日(8日)人民軍創建75周年閲兵式が行われれば、演説するのは確実となった。

 金正恩政権下で閲兵式は延べ11回開かれているが、このうち5回は自ら演説を行っているが、5回のうち2回は人民軍健軍70周年と昨年4月に行われた人民革命軍創建90周年での演説であった。

 直近の人民革命軍創建90周年閲兵式での演説では「我々は継続して強くならなければならない。我が国家が保有する核武力を猛スピードで一層強化するための措置を取る」と述べ、さらに「いかなる勢力であれ、我が国の根本利益を侵奪しようとするならば」との条件付きながらも核の先制使用を公言していた。

朝鮮労働党軍事委員会拡大会議(朝鮮中央通信から)
朝鮮労働党軍事委員会拡大会議(朝鮮中央通信から)

 昨日の朝鮮労働党中央軍事委員会の拡大会議で人民軍の作戦戦闘訓練を拡大強化し、戦争準備態勢を完備することが決定されたことから明日の閲兵式ではパレードでお披露目される兵器のみならず金総書記の肉声も注目されるであろう。

 直近の4回の閲兵式のうち、夜9時に始まった人民革命軍創建90周年以外は3回とも深夜0時にスタートしている。早ければ、明日未明(0時)にも行われるかもしれない

 なお、閲兵式の模様は2017年4月15日の金主席生誕105周年まではすべて生中継されていたが、2018年からは編集され、その日の午後もしくは翌日に録画放送されるようになった。

(参考資料:金正恩政権が8日の軍創建日に12回目の軍事パレードを計画! 直近4回を徹底検証!)

ジャーナリスト・コリア・レポート編集長

東京生まれ。明治学院大学英文科卒、新聞記者を経て1982年朝鮮問題専門誌「コリア・レポート」創刊。86年 評論家活動。98年ラジオ「アジアニュース」キャスター。03年 沖縄大学客員教授、海上保安庁政策アドバイザー(~15年3月)を歴任。外国人特派員協会、日本ペンクラブ会員。「もしも南北統一したら」(最新著)をはじめ「表裏の朝鮮半島」「韓国人と上手につきあう法」「韓国経済ハンドブック」「北朝鮮100の新常識」「金正恩の北朝鮮と日本」「世界が一目置く日本人」「大統領を殺す国 韓国」「在日の涙」「北朝鮮と日本人」(アントニオ猪木との共著)「真赤な韓国」(武藤正敏元駐韓日本大使との共著)など著書25冊

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