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北朝鮮が核実験を強行すれば、「金正恩斬首作戦」が再浮上!?

辺真一ジャーナリスト・コリア・レポート編集長
米第2歩兵師団の地下坑道捜索・占領訓練(米第2歩兵師団ツイターから)

 米韓両国は北朝鮮が弾道ミサイルを8発発射したことへの「対抗措置」として昨日(6日)、同じ数のミサイルを日本海に向けて発射してみせたが、本日もF-15,F-16戦闘機を動員し、米韓合同演習をやるようだ。演習は非公開ではなく、終了後直ちに公開し、北朝鮮に「核実験をやれば、ただではおかない」との警告を発するようだ。

 それでも北朝鮮が米国の警告を無視し、さらなるミサイルの発射や核実験を強行した場合には沖縄に配備されている世界最強のステルス機である「F―22」や「F―35」を、またグアムに4機駐留している「B―1B」戦略爆撃機を急派し、北朝鮮を軍事的に締め付ける構えである。

 核実験後の朝鮮半島の状況は軍事衝突一歩手前まで突き進んだ2017年の状況への回帰となるが、米韓両国はこうした事態に備え、全面戦争を回避し、核・ミサイルを除去する手段の一つである「金正恩斬首作戦」を復活させ、そのための訓練を早くから実施していた。

 その訓練の一環として、駐韓米陸軍第2歩兵師団は2か月前の4月に有事時に地下にある北朝鮮の司令部を打撃するための訓練を行っていた。北朝鮮には全国いたるところに地下バンカー、坑道があるからだ。

 第2歩兵師団のツイッターには「Ready First兵力が地下施設で訓練を行った」との一言が記され、具体的な訓練の時期、場所、目的などについては明らかにされていなかったが、4月23日に公開された写真を見ると、師団将兵らは特殊防毒マスクと防護服を着用したまま地下坑道に侵入し、捜索訓練を実施していた。

 駐韓米軍が地下坑道訓練写真を外部に公開するのは2017年3月以来、実に5年ぶりのことである。当時、米第2師団は京畿道義政府所在駐韓米軍基地「キャンプスタンリー」訓練所で地下に隠れている敵を掃討する訓練を行っていた。「Ready First」は米陸軍第1機甲師団1機甲旅団戦闘団として最近、駐韓米軍に循環配置されたばかりである。

 また、先月には米空軍基地で韓国軍特殊任務旅団が浸透用輸送機MC―130Kを利用し、米軍特殊部隊と共同訓練を実施していた。韓国の特殊任務旅団が米軍特殊部と共に米国の基地で合同訓練をやるのはこれが初めてである。

米軍基地滑走路で並んで駐機している米韓の特殊部隊用輸送機(米空軍基地HPから)
米軍基地滑走路で並んで駐機している米韓の特殊部隊用輸送機(米空軍基地HPから)

 この特殊任務旅団は有事時に敵の指揮部に深く浸透し「斬首作戦」を遂行し、核施設を掌握する任務を遂行するため2017年に特殊戦司令部の要員らで創設された部隊であり、そのモデルとなっているのが「人狩りマシン」で知られるネイビーシールズ「チーム6」である。

 ネイビーシールズ「チーム6」の正式名称は米海軍特殊戦研究開発団(NSWDG)である。略して「DEVGRU」とも呼ばれている。

 航空機や潜水艦で敵地後方に侵入し、要人暗殺や敵施設への破壊工作などを行う。パナマのノリエガ将軍の捕獲作戦(1989年)、隠れ場所に潜んでいたサダム・フセイン大統領を奇襲攻撃した「Big One Operation作戦」(2003年)などで知られるが、特に2011年にイスラマバード郊外のアボタバードにある邸宅でビン・ラーディンの隠れ場を奇襲し、殺害したことでその名を一躍世界に轟かせた。

 ネイバーシールズやデルタフォースなど特殊部隊専用の訓練施設として知られている米ミズーリ州のローズ・クランス州空軍基地内の航空輸送戦術訓練センター(AATTC)で行われた米韓合同特殊任務訓練にはアカンソ州のダマスカスにあるリトルロック空軍基地とテキサス州のダイエス区軍基地から派遣された米側の要員らが訓練に参加していた。

 実際に米空軍のホームページには韓国のMC―130K輸送機と米軍のMC―130輸送送機が滑走路に並んでいる写真が公開されていた。MC-130輸送機は熱追跡ミサイル回避機能のある赤外線地形回避レーダーと衛生位置確認システム(GPS)など特殊戦装備を搭載し、悪天候の中でも75m以下の低高度で浸透が可能である。

 米朝が一触即発の状態にあった2017年、当時トランプ大統領は北朝鮮政策を再検討した際に金総書記の殺害を真剣に検討していた。

 この年の4月7日、米NBC「ナイトリーニュース」は米軍高官と情報機関の話として「米国家安全保障会議(NSC)がトランプ大統領に3つの対北朝鮮政策オプションを提示した」と報じていたが、「オプション2」がまさに「金正恩除去作戦」であった。

 米本土を狙った北朝鮮のICBM発射実験に危機感を深めていたトランプ政権にとって国連安保理による制裁、圧力が功を奏しない場合の最後の手段は「外科手術」(武力行使)しか残されていなかったが、外科手術には出血(返り血)が避けられないため「次善策」として浮上したのが「金正恩除去作戦」であった。

 実際にCIA長官から国務長官となったポンペオ氏はこの年の7月26日、コロラド州で開かれた安全保障フォーラムで「秘密工作を含む多様な作戦を検討している」と述べ、「金正恩除去作戦」の存在を隠さなかった。ちなみに作戦遂行の際の指揮は韓国特戦団司令官が執り、米特殊部隊は韓国軍の指揮下に入ることになっていた。

 バイデン大統領が「金正恩暗殺命令」を下せば、偵察・情報収集機や偵察衛星、レーダーなど監視・追跡ネットワークを総動員し、金総書記の動静を追跡、捕捉し、居場所が確認されれば、斬首部隊を北朝鮮に送り込み、暗殺を企てるという「オプション2」がホワイトハウスで再検討されるかもしれない。

ジャーナリスト・コリア・レポート編集長

東京生まれ。明治学院大学英文科卒、新聞記者を経て1982年朝鮮問題専門誌「コリア・レポート」創刊。86年 評論家活動。98年ラジオ「アジアニュース」キャスター。03年 沖縄大学客員教授、海上保安庁政策アドバイザー(~15年3月)を歴任。外国人特派員協会、日本ペンクラブ会員。「もしも南北統一したら」(最新著)をはじめ「表裏の朝鮮半島」「韓国人と上手につきあう法」「韓国経済ハンドブック」「北朝鮮100の新常識」「金正恩の北朝鮮と日本」「世界が一目置く日本人」「大統領を殺す国 韓国」「在日の涙」「北朝鮮と日本人」(アントニオ猪木との共著)「真赤な韓国」(武藤正敏元駐韓日本大使との共著)など著書25冊

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