自民党の有志議員がドイツの首都ベルリン市ミッテ区の公有地に設置された慰安婦像の撤去を支持する声明を出したようだ。声明文は18日付で撤去方針のミッテ区長と区議会議長にメールで送られた模様だ。

 すでに加藤勝信官房長官が9月29日の記者会見で慰安婦像の設置について「政府としては撤去に向けてさまざまな関係者にアプローチしていきたい」と発言し、また茂木敏充外相も10月1日、ハイコ・マース・ドイツ外相とのテレビ会談で撤去への協力を求めていたことから自民党の「後方支援」は予想されていたこととは言え、アクションを起こすにはあまりにも遅すぎる感は否めない。

 ミッテ区にドイツ在住の韓国人団体「コリア協議会」が慰安増を設置したのが9月25日。ミッテ区のフォンダッセル区長が像に刻まれた碑文の内容を問題にしてミッテ区の名で「14日までに撤去せよ」との行政命令をしたのが10月8日。これに対して「コリア協議会」がベルリン行政裁判所に撤去命令の執行停止仮処分を申請したのが10月13日。受理され、撤去は保留となり、現在は裁判所の最終判断を待っているところである。

 この間、「コリア協議会」はドイツの女性、市民団体及び宗教界と提携し、シュレーダー元首相まで巻き込んでの撤去反対運動を展開していた。もちろん、日本も手をこまねいていたわけではなく、駐独日本大使館を通じて働きかける一方、10月21日には外務省のホームページに「慰安婦問題に関する我が国の対応」のドイツ語版を載せ、慰安婦問題に関する日本の立場、対応を伝えていた。

 ベルリン慰安婦像を巡る日韓の綱引きの最中、ミッテ区議会は11月5日に全体会議を開き、この問題を審議し、その結果、圧倒的多数で撤去を撤回し、「コリア協議会」の申請どおり来年8月14日までの設置を認める決議を採択してしまっている。全議員37人のうち撤去に賛成したのは中道右派のキリスト教民民主同盟と自由主義政党の自由民主党、それに極右政党「ドイツのための選択肢」の議員9人だけだった。従って、今頃になって自民党有志議員らが区に撤去方針を支持する声明を出してももはや後の祭りである。

(参考資料:ミッテ区議会が「ベルリンの慰安婦像」の撤去反対決議! 日本はロビー活動でなぜ勝てないのか!?

 それと、声明文は82人の国会議員の名で出されているが、日本の国会議員は衆参合わせて800人以上もいる。声明文に署名した議員が82人ならば、約10分の1である。それも、超党派ではなく、自民党単独である。自民党所属議員だけでも395人もいるのに4分の1にも満たない。この程度では影響力を行使するには限界がある。

 これに対して韓国はすでに一か月以上も早い先月14日には国会議員113人が連名で撤去に反対する書簡を駐独大使館に提出していた。

 韓国の国会議員は総数で300人なので3分1以上が撤去反対の声を上げていたことになる。最大野党の「国民の力」は加わらなかったものの「正義党」と「基本所得党」の所属議員らが与党「共に民主党」が作成した書簡に名を連ねていた。日本とは大違いである。その結果が、在韓ドイツ大使の「慰安婦像設置」の事実上の支持発言である。

 ミカエル・ライフェンシュトゥール大使は先週(11日)「聯合ニュース」とのインタビューで「政府はこの問題には介入できない」と断りながらも「ドイツでは表現、意見、芸術、文化の自由は非常に重要な問題である」と述べ、ドイツが表現、芸術の自由の観点からこの問題を捉えているとして、事実上韓国の立場を支持する発言を行っていた。

 ベルリン裁判所で審議中であるので司法の判断によっては撤去の可能性もまだ残されているが、日本の動きは後手後手に回っているような気がしてならない。

(参考資料:「ベルリンの慰安婦像撤去」を傍観する文在寅政権を突き上げる韓国の保守メディア