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感染者も死亡者も日本より少ないのに四苦八苦の韓国の感染状況

辺真一ジャーナリスト・コリア・レポート編集長
新型コロナウイルス感染関連の韓国中央災難対策本部(出所:同対策本部)

 韓国は新型コロナウイルスの感染者が5月4日に8人、5日に3人、6日に2人と著しく減少し、終息の兆しが見えたこともあって5月6日から日本に先駆けて外出や集会の自粛要請を解除していた。

 これにより通常の日常生活を取り戻すかにみえたが、気が緩んだのか8日にソウル市内のクラブで集団感染が発生してからは状況が一変し、一喜一憂の日々が続いている。

 韓国防疫対策本部が本日(22日)午前10時に発表した昨日の韓国の新規感染者は20人。一昨日よりも8人増えていた。これにより韓国の全感染者数は1万1142人(日本:1万6094人)、死亡者264人(日本:798人)に達した。

 新規感染者20人のうち9人は空港での検閲で確認された海外からの入国者だが、11人は国内で発生している。

 地域別をみると、ソウルの梨泰院クラブ関連事例でソウル1人、首都圏の京畿道6人、同じく首都圏の仁川1人、そして慶尚北道2人、慶尚南道1人となっている。仁川は梨泰院のクラブを訪れた学園講師から端を発し、4次感染に拡大し、学園受講生を含め延べすでに27人の感染が確認されている。

(参考資料:感染者ゼロだった首都・ソウルが恐れる「大邱集団感染」の再現

 韓国は集団感染が発生(5月8日)するまでの10日間は、3日の13人を除いて一桁で推移していたが、8日は12人と増え、以後9日から10日の2日間は34人、35人と30人台まで急増した。

 それでも11日から14日は27人、26人、29人、27人と30人を割り、15日から18日は19人、13人、15人、13人と再び10人台まで下がったことで安堵感が漂ったが、高校3年生の登校が始まった19日に32人と再び増加し、また不安が高まっていた。

 ところが、20日に12人と一気に20人も減少したことで今朝の結果が期待されていたが、また20人台に逆戻りしていた。増えては減り、減っては増えるという繰り返しに四苦八苦しているのが韓国の実情である。

 緊急事態宣言を解除しつつある日本と比較すると、直近の1週間の累計では韓国の感染者は日本よりも少ない。日本はこの1週間、50人(15日)、57人(16日)、26人(17日)、31人(18日)、27人(19日)、39人(20日)、37人(21日)と計267人と、韓国(124人)よりも倍以上も多い。それでも韓国は不安が尽きないようだ。

 韓国当局は梨泰院のクラスター発生で延べ7万7000件のPCR検査を実施したが、その結果、22日午前0時現在、207人の感染が確認されている。これら梨泰院絡みの感染者が地方にも波及していることから各市・道では梨泰院のクラブなど感染場所を訪れた人を中心に集団検査を実施することにしている。

 PCR検査は4月26日から5月7日までの11日間で延べ5万件程度(一日平均4千件程度)しか行われてなかったが、5月10日から5月21日に掛けては13万8532件も行っていた。

 中央災難対策本部では梨泰院のクラスターがクラブ、飲み屋、カラオケ店など地域社会で散発的に発生しているとして、学校周辺のカラオケ店、インタネットカフェなど感染リスクの高い施設の利用を自制するよう要請している。

(参考資料:規制を解除し、日常生活に戻る韓国の「生活防疫新方針」

ジャーナリスト・コリア・レポート編集長

東京生まれ。明治学院大学英文科卒、新聞記者を経て1982年朝鮮問題専門誌「コリア・レポート」創刊。86年 評論家活動。98年ラジオ「アジアニュース」キャスター。03年 沖縄大学客員教授、海上保安庁政策アドバイザー(~15年3月)を歴任。外国人特派員協会、日本ペンクラブ会員。「もしも南北統一したら」(最新著)をはじめ「表裏の朝鮮半島」「韓国人と上手につきあう法」「韓国経済ハンドブック」「北朝鮮100の新常識」「金正恩の北朝鮮と日本」「世界が一目置く日本人」「大統領を殺す国 韓国」「在日の涙」「北朝鮮と日本人」(アントニオ猪木との共著)「真赤な韓国」(武藤正敏元駐韓日本大使との共著)など著書25冊

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