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韓国国民の70%が「GSOMIA破棄中断」を評価! 世論調査で判明!

辺真一ジャーナリスト・コリア・レポート編集長
GSOMIA破棄中断決定後に開催された日韓外相会談(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

 GSOMIA(日韓軍事情報包括保護協定)の破棄を中断した文在寅大統領の「決断」に関する最初の世論調査結果が昨日(25日)出た。

 韓国の世論調査会社「コリア・リサーチ」が放送会社「MBC」の委託を受け、23日から24日に掛けて全国の有権者約1千人を対象に行った調査によると、文大統領の決断を70.7%が「良い決定」と評価した。「評価しない」は17.5%で、国民の大半が条件付きの破棄中断への支持を表明した。

 「コリア・リサーチ」は今月初旬(8~9日)にも「MBC」の委託を受け、調査を実施しているが、その時は「予定通り破棄すべき」が52.1%、「破棄すべきではない」が37.5%となっていた。

(参考資料:日本人も、韓国人も「GSOMIA破棄はやむなし」!両国民とも政府を支持!)

 また、破棄中断決定前の別の調査(「リアルメーター」)でも「破棄すべき」が51%で、「破棄すべきではない」が29%と、「破棄すべき」が言わば「民意(世論)」となっていただけに逆転現象となった。

 今回の政府の決定に文政権の支持層である「参与連帯」や日本製品不買運動を主導している「安倍糾弾市民行動」などの社会・市民団体、それに労働組合などが「中断すべきではない」と抗議の声を上げているが、文政権の支持層では意外にも67.8%が決定を評価していた。また、皮肉なことに文大統領の弾劾を叫んでいる保守層でも74.5%が「良い決定」との評価だった。

(参考資料:「米国の圧力に屈した」!文政権のGSOMIA破棄中断に支持層が猛反発!)

 文政権の破棄中断決定は日本の輸出規制解除が条件付きと韓国民は受け止めているが、日本が韓国の期待に応えない場合は、53%が「終了(破棄)すべき」との意見だった。輸出規制とは別個に安保協力のために「維持すべき」(41.5%)を約12ポイント上回った。

 日本にとって気掛かりの、現在韓国で展開されている日本製品不買運動については「日本が態度を変更するまで当分の間継続すべき」が77.6%、「日韓関係改善のため中断すべき」が20.3%と、「継続すべき」が国民の3分の2以上を占めた。

 文政権は米国の圧力によって破棄中断を選択せざるを得なかったと一般的に受け止められているが、米国がGSOMIAに絡めて要求している在韓米軍負担額の膨大な増額要求については「受け入れるべきではない」が83.2%と、大多数の国民は文政権に米国の要求を拒否するよう求めている。「米韓同盟を考慮して受け入れるべき」は僅か11.4%しかなかった。

 また、米国が圧力の手段として持ち出したとされる在韓米軍(2万8千500人)の削減については「削減しても良い」が55.2%と、過半数以上の国民は米国が望むならば、削減も止むを得ないとみていることがわかったが、それでも北朝鮮の脅威に対処するうえでも「削減を防ぐべき」も40.1%もあった。

 調査では周辺国の指導者の好感度についても聞いているが、1位が「トランプ大統領」で17%、続いて「習近平主席」と「プーチン大統領」がそれぞれ5.5%。4位は「金正恩委員長」(2.7%)で、最下位は「安倍総理」。1%に満たない0.8%だった。ちなみに「誰もいない」が最も多く、68.4%。

 なお、今回は文大統領の支持度については調査が行われなかったが、「リアルメーター」の11月第2週での調査では「支持」47.8%、「不支持」48.6%と拮抗していたが、「評価する」と同様に「支持する」が上回れば、文政権は、当面は混乱を回避できそうだ。

 これから「リアルメーター」や「韓国ギャラップ」などの世論調査結果が相次いで発表されると思われるが、何よりも文大統領の支持率が注目される。

ジャーナリスト・コリア・レポート編集長

東京生まれ。明治学院大学英文科卒、新聞記者を経て1982年朝鮮問題専門誌「コリア・レポート」創刊。86年 評論家活動。98年ラジオ「アジアニュース」キャスター。03年 沖縄大学客員教授、海上保安庁政策アドバイザー(~15年3月)を歴任。外国人特派員協会、日本ペンクラブ会員。「もしも南北統一したら」(最新著)をはじめ「表裏の朝鮮半島」「韓国人と上手につきあう法」「韓国経済ハンドブック」「北朝鮮100の新常識」「金正恩の北朝鮮と日本」「世界が一目置く日本人」「大統領を殺す国 韓国」「在日の涙」「北朝鮮と日本人」(アントニオ猪木との共著)「真赤な韓国」(武藤正敏元駐韓日本大使との共著)など著書25冊

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