北朝鮮の対米交渉責任者らが「ハノイ会談」後に粛清、処刑?

ハノイ会談前の作戦会議(右から二人が金策略部長と金特別代表)(労働新聞から)

 米朝首脳会談を統括した党統一戦線部の金英哲部長と参謀格の金聖恵策略室長、そしてビーガン国務省北朝鮮担当特別代表のパートナーである金ヒョッチョル国務委員会対米特別代表らがベトナム・ハノイでの米朝首脳会談の失敗の責任を取らされ、全員粛清されたと、韓国のメディアが一斉に伝えている。

 韓国の4大紙の一紙、「東亜日報」は昨日付で内部消息筋の話として「粛清説」を以下のように伝えている。

 

 ▲金聖恵統一戦線部策略室長はハノイから帰国後調査を受け、政治犯収容所に送られた。

 ▲金聖恵室長と共にハノイでの首脳会談を前に訪米し、トランプ大統領に接見した朝鮮アジア太平洋平和員会の朴哲副委員長も家族とともに地方に追放された。

 ▲金ヒョッチョル対米特別代表も公式舞台から姿を消しているが、現在取り調べを受けている可能性が高い。

 ▲対米・対南外交の総轄者である金英哲統一戦線部部長は部長を解任された。

 ▲粛清されたのは統一戦線部の関係者だけでなく、国連駐在次席大使を務めた韓成烈次官を含む4人の外務省幹部らも処刑された。

 そして、本日付けの「朝鮮日報」は対北消息筋の話として以下のようにより詳細に報道をしている。

 ▲金英哲部長は慈江道(中国との国境に近い)で現在、革命家教育(強制労働と思想教育)を受けている。

 ▲金聖恵策略室長は政治犯収容所に送られた。

 ▲金ヒョッチョル特別代表は3月に他の4人の外交官と共に調査を受け、美林飛行場で処刑された。「米帝に抱き込まれ、首領に背信した」とのスパイ容疑が適用された。

 ▲処刑された外交官4人はベトナム駐在大使館の経済担当参事と2党書記官、及び外務省でベトナムを担当していた書記官らである。

 ▲ハノイ会談での金正恩委員長の通訳、申恵英も度重なる通訳ミスで「最高尊厳の権威を棄損させた」と罪で政治犯収容所送りとなった。

 ▲ハノイ会談以後、動静不明の妹の金与正党第一副部長(宣伝担当)は兄・金委員長の指示で目下、謹慎中にある。

 「粛清説」の裏付けとしてなのか、朝鮮日報は今朝の「労働新聞」の2面に載った記事にある「面前では首領を支えているふりして、後ろでは別のことを考えている。こうした者らは審判を免れない」という箇所をクローズアップさせ、「2013年の張成沢処刑の翌日に使われた『審判』と同床異夢の表現が再び登場した」との小見出しを掲げ、粛清説を補完していた。。

 「朝鮮日報」はこの記事をベースに「ベトナム会談決裂後の問責粛清が完了したか、あるいは現在も進行している」可能性を分析しているが、その根拠として「過去にも李英鎬軍総参謀長や張成沢党行政部長らの粛清の際に似たような表現を官営メディアに登場させ、自らの行為を正当化してきた」ことを挙げていた。

 「労働新聞」の2面記事は「朝鮮日報」の言う「政論」ではなく、「論説」である。見出しは「良心は人間の道徳的風貌を規定する尺度」となっており、一般論として「良心」や「道徳」が強調されていた。

 「朝鮮日報」が取り上げた「問題の箇所」は正確には以下のようになっている。

 「面前では首領を支えているふりして、後ろでは別のことを考えている同床異夢は首領に対する道徳的義理を投げ捨てる反党的、反革命的利敵行為であり、こうした者は革命の厳しい審判を免れない。首領の構想と意図を実現するため自らの血と汗、命までを躊躇うことなく捧げる良心の人、義理の人が真の道徳的強者であり、真の革命家である」

東京生まれ。明治学院大学英文科卒、新聞記者を経て、フリー。1982年 朝鮮問題専門誌「コリア・レポート」創刊。86年 評論家活動開始。98年 ラジオ「アジアニュース」パーソナリティー 。03年 沖縄大学客員教授、海上保安庁政策アドバイザー(~15年3月)を歴任。外国人特派員協会、日本ペンクラブ会員。著書に「表裏の朝鮮半島」「韓国人と上手につきあう法」「北朝鮮100の新常識」「金正恩の北朝鮮と日本」「世界が一目置く日本人、残念な日本人」「大統領を殺す国 韓国」「在日の涙 間違いだらけの日韓関係」「北朝鮮と日本人」(アントニオ猪木との共著)「真赤な韓国」(武藤正敏元駐韓日本大使との共著)など25冊

有料ニュースの定期購読

「辺真一のマル秘レポート」サンプル記事
月額540円(初月無料)
月3、4回程度
テレビ、ラジオ、新聞、雑誌ではなかなか語ることのできない日本を取り巻く国際情勢、特に日中、日露、日韓、日朝関係を軸とするアジア情勢、さらには朝鮮半島の動向に関する知られざる情報を提供し、かつ日本の安全、平和の観点から論じます。

あわせて読みたい

Facebookコメント

表示

※本コメント機能はFacebook Ireland Limitedによって提供されており、この機能によって生じた損害に対してヤフー株式会社は一切の責任を負いません。

ニュースのその先に ドキュメンタリーで知る世界へ