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シリア空爆の次は北朝鮮!?

辺真一ジャーナリスト・コリア・レポート編集長
朝鮮半島有事の際に北朝鮮を空爆するB-52戦略爆撃機

トランプ大統領がシリアへの空爆にゴーサインを出した。攻撃はシリアの空軍基地に定的され、地中海に待機していた艦船から巡行ミサイル60発を撃ち込んで、破壊した。

攻撃に踏み切った理由は、一にも二にもシリアのアサド政権が反政府派勢力を駆逐するため化学兵器を使用したというものだ。「ニューヨーク・タイムズ」も「化学兵器使用の対抗措置」と報じていた。

「化学兵器で民間人を殺害したのは人類に対するこの上ない冒涜であり、無垢の子供や幼児らを殺害したのは一線を越えた」ことが理由のようだ。

シリアへの攻撃のもう一つの理由としてトランプ大統領は「化学兵器の拡散と使用を阻止、抑止することは米国の安全保障にとり死活的に重要である」と強調していた。

また、「シリアのアサド大統領の態度を変えさせようとする過去の試みは全て失敗し、そのせいで地域の不安定化が進んだ。我々は前政権から悲劇的な外交政策の災難を引き継いだ」とも述べていた。

米国のこうした理屈や事情を米国にとって「問題児」である北朝鮮にそのまま当てはめれば、次の攻撃対象は北朝鮮と言うことになる。

(参考資料:ベールに覆われた米韓連合軍の恐るべき「5015作戦計画」

トランプ大統領は「北朝鮮は直ぐに処理しなければならない」との問題意識を持っているが、その理由は主に2つあげられる。一つは、本人曰く「北朝鮮が全世界の脅威であり、世界の問題である」からだ。

もう一つは、北朝鮮が核実験と米国を標的にした大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射をちらつかせ、米国を威嚇していることにある。実験であれ、なんであれ、核拡散とICBMの発射を阻止することは「米国の安全保障にとり死活的に重要である」ことに変わりはない。

トランプ大統領はオバマ前大統領がシリア問題を放置してきたことを問題にしているが、北朝鮮問題でも同じく歴代政権の無策を批判している。特にオバマ政権の戦略的忍耐政策は「北朝鮮を止められなかった」と酷評したうえで「北朝鮮は大きな問題である。北朝鮮の核問題を解決するのは私の責任である」(4日のヨルダン国王との会談後の会見で)と、解決の意志を鮮明にしていた。

また、米国のシリア攻撃に先立つ6日、ティラーソン米国務長官は滞在先のフロリダ州で化学兵器の使用が疑われるアサド政権に対し「明らかにロシアは責任を果たしてこなかった」と、プーチン政権への不満を露わにしていたが、ロシアを中国に置き換えれば、中国の習近平政権もまた北朝鮮の核実験とミサイル発射問題で責任を果たしてこなかったことになる。

トランプ大統領は「中国が北朝鮮問題を解決しないならば、我々がやる」(2日のファイナンシャル・タイムズ)から「中国が北朝鮮に圧力を加えないならば、独自に行動する準備ができている」(米中首脳会談場に移動する機上で)と、あらゆる手段を講じてでも単独で北朝鮮の核・ミサイル開発を阻止することを明らかにした。

(参考資料:有事の際の米韓連合軍の「地上から平壌を完全に消す作戦」

トランプ大統領は安倍総理との電話会談で北朝鮮問題について「すべてのオプションがテープルにある」と言ったそうだが、トランプ政権で初代国防長官になるはずだったジャック・キーン元陸参謀長次長はテーブルにはすべてのオプションではなく「先制攻撃だけがテーブルに残っている唯一のオプションである」と言っていた。

トランプ大統領の参謀であるジョン・ハイテン戦略司令官は4日の上院軍事委員会で「軍人としての私の任務は大統領に軍事オプションに関する情報を提供し、常時軍事オプションに備えることだ」と語っていた。

さて、次は北朝鮮を叩くのだろうか?

(参考資料:北朝鮮に対する米軍の先制攻撃はいつでも可能な状態

ジャーナリスト・コリア・レポート編集長

東京生まれ。明治学院大学英文科卒、新聞記者を経て1982年朝鮮問題専門誌「コリア・レポート」創刊。86年 評論家活動。98年ラジオ「アジアニュース」キャスター。03年 沖縄大学客員教授、海上保安庁政策アドバイザー(~15年3月)を歴任。外国人特派員協会、日本ペンクラブ会員。「もしも南北統一したら」(最新著)をはじめ「表裏の朝鮮半島」「韓国人と上手につきあう法」「韓国経済ハンドブック」「北朝鮮100の新常識」「金正恩の北朝鮮と日本」「世界が一目置く日本人」「大統領を殺す国 韓国」「在日の涙」「北朝鮮と日本人」(アントニオ猪木との共著)「真赤な韓国」(武藤正敏元駐韓日本大使との共著)など著書25冊

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