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「北朝鮮の核攻撃で米国人の90%が死亡」―元CIA長官の衝撃警告

辺真一ジャーナリスト・コリア・レポート編集長
米国が1953年4月にネバタ実験場で行った核実験

北朝鮮の新たな核実験と初の大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射の動きが注目される中、「北朝鮮が核兵器を完成させれば、米国人の90%が殺害される」とクリントン政権下でCIA長官を務めていた人物の発言が飛び出した。

(参考資料:北朝鮮の6度目の核実験の「Xデー」は?)

この元CIA長官(1993年2月~1995年1月)はトランプ大統領当選後の政権引き継ぎ委員会で外交安保担当参謀を務めたことで知られるトランプ大統領のアドバイザーの一人、ジェームス・ウルジー氏。同氏は米議会専門誌「ザ・ヒル」への寄稿文(3月29日付)で米国民に次のような警告を発していた。

――(米国の)一部官吏らによって北朝鮮は核兵器で米本土を打撃できる能力をまだ持ってない、北朝鮮は核弾頭の小型化技術や米国を狙った大陸間弾道ミサイル(ICBM)の大気圏再突入技術開発を完成していないとの誤った安堵感や認識を米国人に与えてしまった。米本土は北朝鮮が核兵器技術を完成していない以上、安全だとする神話は間違っている。

――北朝鮮のような核兵器と長距離弾道ミサイルを開発した国ならば核弾頭小型化や大気圏再突入技術は簡単に克服できる。マスコミや公職者らがこれまでこうした事実を無視、あるいは軽視したのは、おそらくどの歴代政権も在任中に北朝鮮を実在する脅威として認めたくないからである。

――米前高官らは2015年に北朝鮮を高高度EMP(電磁波爆弾)に特化した小型核兵器を衛星で飛ばせる国であるとみなすべきであった。米国人の90%が命を落とすかもしれない核電磁パルスを使用する可能性に対応しなければならない。

――北朝鮮はミサイルだけでなく、船舶、航空機を利用して、核攻撃も断行できる。偽の国籍旗を掲げた貨物に原子爆弾を忍ばせるとか、保安が脆弱なメキシコとの国境一帯でテロリストを雇用し、「9.11テロ」式自殺核爆弾作戦を行う手もある。このシナリオならば、ニューヨーク、ニューオリンズ、ロサンゼルス、サンフランシスコ、又はメキシコとの国境都市は危険にさらされることになる。

――広島に投下された核爆弾と同一の10キロトン(1キロトン=TNT1000トン)程度の原子爆弾なら約20万人が命を落とすが、北朝鮮はすでに20~30キロトンと推定される核兵器を実験しているのでニューヨークなど対都市で数百万人が死亡する。

――北朝鮮の核兵器を過小評価してはならず、核兵器まで動員した対北朝鮮先制攻撃体制を備えるべきである。

トランプ大統領は米歴代政権がこれまで取ってきた対北政策を「恥辱的で、賢明でない」と批判し、オバマ前政権の戦略的忍耐政策は「終わった」と公言しているが、ウルジー氏の助言に影響されているようだ。

最近のツイッターで「北朝鮮は非常に悪い行動をしている。数年間にわたって米国を弄んできた」と北朝鮮を批判しているトランプ大統領は私的な席で「北朝鮮は全世界の脅威となっている。北朝鮮は世界の問題だ。北朝鮮を直ちに処理しなければならない」とまで断言している。

ウルジー元長官は寄稿文の中で「2015年に北朝鮮を高高度EMP(電磁波爆弾)に特化した小型核兵器を衛星で飛ばせる国であるとみなすべきであった」と述べているが、「地雷事件」で緊張が高まっていた2015年8月15日、北朝鮮は国防委員会スポークスマン声明で「世界が知らない近代的な最先端攻撃」を備えていることを明らかにした。

北朝鮮の核兵器保有はすでに知られている事実だ。従って、この「最先端攻撃」が核兵器によるものでないことは自明である。ということは、「最先端攻撃」がもしかすると、EMP爆弾の可能性も考えられる。

EMP(Electro Magnetic Pulse)は高高度核爆発や雷などによって発生するパルス状の電磁波のことである。スーパーEMP爆弾は爆発した時にそのような超強力EMPが生じるよう特別に考案された武器で、攻撃目標地域のすべての電気、電子装備を延焼させ、電力網や通信・電算網を無力化させてしまう電子爆弾である

米情報局(CIA)で核兵器専門家として勤務していたピーター・フライ博士が「北朝鮮はスーパーEMP爆弾を開発した可能性がある」と今から4年前に語っていた。

ウルジー氏も2014年3月23日に米下院軍事委員会の聴聞会に提出した書面で「ロシア人が2004年に『頭脳輸出』で北朝鮮がEMP武器を開発するのを手伝っていた。北朝鮮のような不良国家がEMP弾に必要な主要構成要素を確保することでロシアや中国に間もなく追いつくだろう」と予言していた。

北朝鮮のEMP兵器に関してはトランプ政権下で国家安全補佐官に内定したマイケル・フリンも昨年6月に下院外交・軍事委員会で「北朝鮮はイランと核兵器だけでなく、EMP兵器についても専門知識を共有してきた」と証言しており、また米共和党は昨年7月に作成した党綱領及び政策で「北朝鮮は核ミサイルを保有し、核兵器を使用したEMP攻撃が(米国にとって)脅威となっている」と警告していた。

(参考資料:韓国情報当局がシミュレーションした「朝鮮人民軍EMP(電磁波)攻撃シナリオ」

なお、韓国国防部では北朝鮮がEMP弾を開発推進している可能性はあるが、技術の取得には至ってないとみなしている。その根拠は「EMP弾は技術が先進技術なので北朝鮮がそれを開発できるレベルには達してない」というものであった。

しかし、金正恩委員長は2015年7月27日の戦争勝利(停戦)記念日での演説で「もはや米国は我々にとっては脅威でも恐怖の対象でもない。むしろ我々のほうが米国への大きな脅威、恐怖になっているのが今日の現実である」と述べ、さらに3か月後の労働党創建70周年記念式典(10月10日)でも「我々の革命武装力は米帝が望むいかなる形態の戦争にも全て相手にできる」と豪語していた。

この強気の発言の根拠が米国人の90%に被害をあたることのできるEMP弾を手にしたからなのかもしれない。

(参考資料:今度の北朝鮮の核実験は連発! これが最後!?

ジャーナリスト・コリア・レポート編集長

東京生まれ。明治学院大学英文科卒、新聞記者を経て1982年朝鮮問題専門誌「コリア・レポート」創刊。86年 評論家活動。98年ラジオ「アジアニュース」キャスター。03年 沖縄大学客員教授、海上保安庁政策アドバイザー(~15年3月)を歴任。外国人特派員協会、日本ペンクラブ会員。「もしも南北統一したら」(最新著)をはじめ「表裏の朝鮮半島」「韓国人と上手につきあう法」「韓国経済ハンドブック」「北朝鮮100の新常識」「金正恩の北朝鮮と日本」「世界が一目置く日本人」「大統領を殺す国 韓国」「在日の涙」「北朝鮮と日本人」(アントニオ猪木との共著)「真赤な韓国」(武藤正敏元駐韓日本大使との共著)など著書25冊

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