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コロナで休校中でもPTAクラス役員を決める意味 なぜ「例年通り」に進めてしまうのか

大塚玲子ライター
入学式は短縮したのに、そのあと役員決めをしたPTAも少なくない(写真:GYRO PHOTOGRAPHY/アフロイメージマート)

 PTAクラス役員決め(委員決め)の季節ですが、今年はコロナ禍です。いまも全国の約6割の学校で休校が続いていますから、さすがにクラス役員決めも見送ったはず。と思っていましたが、どうもそういうPTAばかりではないようです。

 ヤフー・データソリューションの提供データによると、2020年4月6~12日の間に「PTA」というワードと組み合わせて検索された語は、「コロナ」に続いて「役員決め」がダントツの多さでした(その次が「入らない」「断る理由」)。

「PTA」と一緒に検索された語(出典:ヤフー・データソリューション)
「PTA」と一緒に検索された語(出典:ヤフー・データソリューション)
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 再開している学校も4割はあるので、そういったPTAではクラス役員決めが例年通り行われることも考えられます。しかし「休校措置が続いているのに、役員決めが行われた」というPTAも、どうやら少なからずあるようです。

 関西のある公立小学校のPTA会長は、こんなふうに話します。

 「先日教頭先生が、『接触機会を減らすため入学式の時間を短縮したのに、そのあとで保護者を残してPTAの委員決めをやった学校がある。それってどうなのかな』とぼやいていました。この状況でPTAの集まりを、それも新入生の親に対して行うって、なんじゃそりゃ、と思います」

 筆者も同様の感想です。休校が続く地域では「3密を避け、感染の機会を減らそう」と特に言われているはずなのに、そんななかでなぜ今、保護者を集めて役員決めをするのか? PTAの“病み”を感じるところです。

*ひとつだけお願いしたいこと

 PTAクラス役員決めでは、じゃんけんやクジ引き、免除の儀式などがよく行われ、毎年泣く人が出てきました。まともな状況ではありません。少しでもマシにしたいと思い、筆者は例年この時期、さまざまな記事を発信してきました。

 今年は見送るつもりでしたが、やはり一つだけ書いておきます。役員決めに参加する方は、どうかこれだけ、お願いできないでしょうか。

 それは「自分がされていやなことは、人にしない」ということです。

 もし「じゃんけんやクジ引きで役員に当たるのは、いやだ」と思うのなら、他の人だって当たったらいやでしょう。だったら、やるなら「やる」、やらないなら「やらない」と決めて、じゃんけんやクジ引きへの参加をやめられないでしょうか。

 「そんなことをしたら、仕方なく引き受ける人がかわいそうだ」という気持ちもわかるのですが、だったら自分が引き受けるのが道理では。「自分以外の誰かが当たればいい」というのは、「自分がされていやなことを人にしている」状態ではないでしょうか。

 そもそも、各クラスまたは学年から「必ず何人出す」という仕組みが間違いなのです。本当は、参加希望者を募る形(手挙げ方式、プロジェクト制)に変える必要がありますが(そういうPTAも徐々に増えています)、残念ながらまだ「必ず何人」方式のPTAの方は、どうか少し、考えてみてもらえないでしょうか。

 クラス役員決めの進行をする役員さんや先生方にも、お願いしたいことです。

*「例年通り」にならざるを得ない理由

 最後に「なぜ今、休校中の学校でまでPTAクラス役員決めが行われるのか」ということを、改めて考えてみました。おそらく答えは「毎年やっているから」。これが最大ではないかと思います。

 言い換えれば「PTAは、団体や活動の目的がはっきりしないから」ということ。もし目的がはっきりしている団体なら、クラス役員決めが不要不急であることはすぐわかるでしょう。判断基準がないから「前年通り」にならざるを得ないのではないでしょうか。

 PTAの存在目的は、じつは意外と、人によって考えが異なります。

 PTAは行政から「社会教育関係団体」と位置付けられているので、保護者(や教職員)が共に学ぶことこそが目的であり、子どものための活動ではない(大人のための活動)、という考えの人もいる一方で、いやいやPTAは「子どものため」の団体であって、子どもたちがお世話になる学校に金や労力を差し出すものだ、と思っている人もいる。あるいは、このどちらの考えでもない、という人もいるでしょう。

 ともあれ、どんな目的にせよ、目的が会員に意識されている団体であれば、いまこの時期に役員決めをしなければならない理由はないし、むしろ保護者を集めることは慎んだほうがよい、ということは、容易に判断できるはずです。

 目的がないから、あるいは会員に意識されていないから、こういった特殊な状況においても思考停止のまま「前年通り」に活動してしまう。それが今年、休校中の学校においてまで、PTAクラス役員決めが行われた一番の理由ではないかと思うのです。

ライター

主なテーマは「保護者と学校の関係(PTA等)」と「いろんな形の家族」。著書は『さよなら、理不尽PTA!』『ルポ 定形外家族』『PTAをけっこうラクにたのしくする本』『オトナ婚です、わたしたち』ほか。共著は『子どもの人権をまもるために』など。ひとり親。定形外かぞく(家族のダイバーシティ)代表。ohj@ニフティドットコム

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