学校がPTA会費や私費に頼るのは、なぜマズイ? 「お金の出どころ」はどう違うのか

お金の出どころはどうせ同じ…、ではないのです(写真:アフロ)

 日本の多くの学校がPTA会費に頼っている問題については、先日の記事でも指摘したとおりです。しかし、そもそもなぜ、学校がPTA会費に頼るのはよくないのでしょうか。

 「公費も、私費(学校徴収金)も、PTA会費も、どうせお金の出どころは保護者なんだから、同じでしょ?」とお思いの方もいるかもしれません。

 しかし実際のところ、PTA会費は、私費とも公費ともまったく別ものであり、お金の出どころも一致していません。そのことを、解説しておきたいと思います。

*まずPTA会費は私費(学校徴収金)ではない

 現状多くの学校、校長先生は、PTA会費を、私費(「学校徴収金」「保護者負担金」とも呼ぶ/学級費や修学旅行費等、学校が保護者から集めるお金全般)の一つとして認識しています。

 しかし本来、PTA会費というのは、学校とは別の「PTA」という団体が集める会費であり、学校が集める「私費」とは異なるものです。

 「どっちも保護者が払うんだから、同じでしょ?」と思われやすいのですが、そうではないのです。PTAは任意加入の団体ですから、保護者全員が払うとは限りません。

 PTA会費は、あくまでPTAに加入している人が払うものですから、私費とは出どころが(全部は)一致しないのです。

 ときどき「学校で必要なものに使うんだから、PTA会費を払わない(=PTAに入らない)人はズルい」とか「だからPTAの任意加入を認めるべきでない」という声を聞きますが、それは発想が逆です。

 PTAはもともと、入らない人がいて当たり前の任意加入団体ですから、その会費を、学校でどうしても必要な費用にあてている現状に、そもそも問題があるのです。(念のため添えておくと、PTAには強制加入させる法的根拠がないので、誰に認められるまでもなくもともと任意加入です)

 「寄付としてなら、かまわないじゃないか」という見方もありますが、前回も指摘したとおり、強制加入のPTAで集めたお金をつかったら「寄付」とは呼べませんし、学校にどうしても必要なものを「寄付」することは、地方財政法に違反します。

*本来は公費をあてるべきもの

 ではそういった学校が必要な費用については、PTA会費ではなく、私費として学校が集めれば、問題は解決するのでしょうか? 

 たしかに、私費で集めたほうが、まだいいとは思います。そうすれば少なくとも「PTA会費を払わない(=PTAに入らない)人はズルい」といった本末転倒な声は、出にくくなるでしょう。

 しかし、本来は私費も、できるだけ減らしていかなければいけないものです。

 憲法は「義務教育無償」をうたっています。学校に必要なお金は本来、公費でまかなっていく必要があります。

 「公費にしたって、出どころはどのみち保護者が払う税金なんだから、同じでは?」と思われるかもしれませんが、そんなことはありません。

 公費は税金ですから、私費とは異なり、その学校に子どもを通わせる保護者(子育て世帯)だけでなく、社会全体から集めたお金があてられることになります。するとつまり、保護者の負担は軽くなります。

 子どもは社会で育てるものであることを考えると、子育て世帯だけで負担を背負いこむようなやり方は、できるだけやめたほうがいいでしょう。

 また、学校に必要なお金を公費でまかなえば、出どころは税金ですから、各世帯は所得に応じて負担することになります。

 しかし、PTA会費や私費でそれを集めてしまうと、大金持ちの世帯も、所得が中くらいの世帯も、低い世帯も、一律に同じ金額を支払うことになり、負担感にとても大きな差が出ます。(*1)

 学校で必要なお金は、PTA会費に頼るのをやめること。できるだけ私費でまかなうのをやめて、公費をあてること。

 戦後からずっといわれてきたことではありますが、これを改めて、常識化する必要があると思います。

  • 1 就学援助がつかえる費目もありますが、自治体によって出たり出なかったりする費目もありますし、金額も異なります
  • 「公費」「私費」の区分(いろいろと微妙です)については、説明を省きました。興味のある方は、下記参考資料をご覧ください

<参考資料>

『保護者負担金がよくわかる本』保護者負担金研究会編著 学事出版

『本当の学校事務の話をしよう』柳澤靖明著 太郎次郎社エディタス