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ロシアが警告射撃の映像を公開。遠すぎて英駆逐艦は気付かず

JSF軍事/生き物ライター
ロシア連邦保安庁FSB(ФСБ)の公開動画よりキャプチャ。説明書きは筆者が追記

 6月24日(モスクワ時間)にロシア連邦保安庁FSBは、前日に行われた黒海で英駆逐艦「ディフェンダー」に対しFSBの巡視船が「警告射撃」する様子の動画を公開しました。しかし・・・

ロシア連邦保安庁FSB(ФСБ)の公開動画よりキャプチャ。説明書きは筆者が追記
ロシア連邦保安庁FSB(ФСБ)の公開動画よりキャプチャ。説明書きは筆者が追記

 FSB巡視船は英駆逐艦が水平線付近で豆粒のように小さく見えるほど遠くから射撃しており、発砲している30mm機関砲AK-630では全く届きません。イギリス側が「警告射撃とは認識していない。ロシア艦艇は離れた場所で演習でもしていたのでは?」という反応をしたのは無理もありません。

 巡視船の低い視点(海面から高さ10m前後)から見ても水平線までの距離は12kmくらいあります。しかし機関砲の有効射程は数kmしかありません。警告射撃として相手に気付かせるには発砲炎を見せたり海面に機関砲弾を撃ち込んで水柱を上げる必要がありますが、この距離では見えないし届きません。遠くで小さな発砲音がしているくらいしか分からないでしょう。

参考写真:1993年8月25日アメリカ海軍撮影、ソ連製30mm6砲身回転式機関砲AK-630
参考写真:1993年8月25日アメリカ海軍撮影、ソ連製30mm6砲身回転式機関砲AK-630

 なお同じ日に行ったとされるロシア海軍黒海艦隊に所属するSu-24攻撃機からの「警告爆撃」については、まだ映像の公開は行われていません。

【関連】黒海でロシア軍が英駆逐艦に警告爆撃。英側は否定(2021年6月23日)

軍事/生き物ライター

弾道ミサイル防衛、極超音速兵器、無人戦闘兵器、オスプレイなど、ニュースに良く出る最新の軍事的なテーマに付いて解説を行っています。

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