自衛隊が新しく配備を進めようとしている「スタンドオフミサイル」とは、敵の対空ミサイルの射程外から攻撃できる射程の長いミサイル(対艦ないし対地)とされています。

 ここで重要な部分は「敵の対空ミサイルの射程外から攻撃する」という部分です。

スタンドオフミサイル(Standoff missile)

○ 敵の対空ミサイルの射程外から攻撃する

× 敵の攻撃ミサイルの射程外から攻撃する

 スタンドオフミサイルのことを「敵の攻撃ミサイルの射程外から攻撃する」と誤解されている方が意外なほど多いので(メディアの記事にも時折見掛けます)、注意が必要です。

防衛省:令和元年度 政策評価書(事前の事業評価)「ASM-3(改)」別紙より
防衛省:令和元年度 政策評価書(事前の事業評価)「ASM-3(改)」別紙より

 防衛省の資料でもASM-3超音速対艦ミサイルの射程延伸型「ASM-3(改)」について、敵艦艇群の「今後配備される対空火器の射程」よりも外から攻撃できるスタンドオフミサイル化が射程延伸の改良の理由であると説明されています。

 これは中国海軍艦艇の艦対空ミサイルの射程が近い将来大幅に長く伸びることが予想されるので、対応した射程の空対艦ミサイルが必要だという要求です。つまり敵国基地への攻撃が目的ではありません。敵の対空兵器の射程を上回る攻撃兵器が無ければ、発射母機である戦闘攻撃機は敵艦へ接近しての肉薄攻撃を強いられるので、攻撃成功確率は低くなり、自身が生きて帰って来れる確率も大幅に下がってしまうからです。

 もしも敵国基地への攻撃が容易になるので長距離スタンドオフ兵器の保有は認められないとした場合、敵国基地への攻撃ではない自衛戦闘の場合に置いても、例えるならば銃で武装した相手に槍で戦えと言っているのに近いのです。敵国装備の近代化を考慮するとこの選択は難しいでしょう。

 自衛隊が必要としているスタンドオフミサイルは対艦および対地の攻撃用ミサイル両方です。対艦用が主な用途で、対地用は守るべき島嶼が敵に奪われた後で奪還する際に使用します。

【関連】自衛隊が長射程の巡航ミサイルを必要とする背景、盾と矛の競争

自衛隊が導入を計画しているスタンドオフミサイル

外国製(全て亜音速)

  • JSM ・・・空対艦ミサイル、ノルウェー製
  • LRASM ・・・空対艦ミサイル、アメリカ製
  • JASSM-ER ・・・空対地ミサイル、アメリカ製

日本製

  • ASM-3改 ・・・開発完了間近(超音速)
  • 12式地対艦誘導弾射程延伸型 ・・・開発予定(亜音速)
  • 島嶼防衛用新対艦誘導弾・・・研究中(亜音速)
  • 島嶼防衛用高速滑空弾・・・開発予定(超音速~極超音速グライダー)
  • 極超音速誘導弾・・・研究中(極超音速スクラムジェット)