SM-3ブロック2A迎撃実験、2回目の失敗。計画が遅延した場合の日本と欧州の影響

防衛省よりSM-3ブロック2A(写真は以前の飛行試験のもの)

 1月31日にハワイで行われたSM-3ブロック2A迎撃ミサイルを用いた実験「FTM-29」が失敗に終わりました。米ミサイル防衛局は原因についてまだ把握できていないとしています。日米共同開発のSM-3ブロック2Aは3回の迎撃試験で2回失敗しており、前回の失敗は人為的な操作ミスによるものでミサイル自体の問題ではありませんでしたが、今回の失敗原因の内容次第では計画に遅延が生じる可能性があります。SM-3ブロック2Aは現行型のSM-3ブロック1A、SM-3ブロック1Bと比べてミサイルの直径が拡大され迎撃弾頭も大型化し、改良型とされていますが実質的にほとんど別物といってよく、迎撃能力は2倍以上と推定されています。

現行生産型SM-3ブロック1B

 自衛隊は次期新型イージス艦(2021年竣工予定)とイージスアショア(2023年竣工予定)にSM-3ブロック2Aの搭載を予定していますが、もし計画が遅延して実戦配備が間に合わない場合は現行生産型のSM-3ブロック1Bを代替として調達することになるでしょう。北朝鮮のノドン準中距離弾道ミサイル(射程1200km前後)が相手ならSM-3ブロック1Bでも十分に対処する事が可能です。ただしノドンより大型の弾道ミサイルを用いてロフテッド軌道(山なりの極端に高い弾道で迎撃機会が制限される)やディプレスト軌道(低い弾道により短い時間で着弾する奇襲攻撃用)を用いた攻撃を仕掛けられると、SM-3ブロック1Bでの迎撃は不可能ではありませんが余裕が大きく削られてしまう為に十分ではありません。(※なお誤解される事が多いのですが、ロフテッド軌道であっても弾道ミサイルは着弾する為に当然低い高度まで降りて来るので、降りてきた時を狙えば迎撃は可能。

欧州MDのイージスアショア

 もしSM-3ブロック2Aの配備が遅延した場合、日本よりも影響が大きいのは欧州MDの方になります。欧州MDはイランが将来的に保有する可能性がある射程4000~5000kmの中距離弾道ミサイルを想定しており、SM-3ブロック2Aの能力が前提となっています。ルーマニアのデベセルとポーランドのレジコボの2箇所にイージスショアを配備する計画で、現状では暫定的にSM-3ブロック1Bを配備していますが能力的に不足気味で、フランス西部やスペインはカバー範囲外であり、イージス艦による補助が必要となっています。仮想敵国と自国の間に海がある日本はイージス艦が主でイージスアショアは従といった役割ですが、内陸の欧州ではイージスアショアが主でイージス艦が従という役割を持たされています。

 なお現状ではイランは政治的に欧米を刺激しないように射程2000km以上の弾道ミサイルの開発試験を控えており、当面は急ぐ必要はありません。しかしイランの弾道ミサイル技術は高く、将来的に国際政治情勢が変化した場合はごく短期間で長距離弾道ミサイルを開発してしまう事が懸念されています。