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大きな気温差・強風・乾燥・花粉症 「木の芽時(このめどき)」は心が動きやすい

饒村曜気象予報士
グリーンリーフパターン、春の新芽イラスト(提供:イメージマート)

移動性高気圧の通過

 令和6年3月16日の日本列島は、大きな移動性高気圧が通過する見込みです(図1)。

図1 予想天気図(左は3月16日9時、右は3月17日9時の予想)
図1 予想天気図(左は3月16日9時、右は3月17日9時の予想)

 このため、北日本や南西諸島で雲が多いものの、全国的に晴れる所が多い見込みです。

 最高気温は平年より高い所が多く、東海から西日本では20度を超えて4月中旬の気温となる所もあるでしょう(図2)。

図2 予想最高気温(3月16日9時の予想)
図2 予想最高気温(3月16日9時の予想)

 春は、朝晩は冷えても、強まってきた日差しで日中の気温があがり、1日の気温差(K)が大きくなる傾向があります。

 また、低気圧が発達しやすいために強風(K)が吹くことがあります。

 気温が低いためあまり感じませんが、すでに日差しが強くなっています。冬の弱い陽光になれた肌は、まだ紫外線の害に抵抗する準備が充分に整っていないので紫外線の影響による被害が出やすくなっています。

 気温が高い夏は長時間にわたって屋外で過ごすことは警戒しますが、気温が低い春は長時間にわたって太陽の光を浴びがちです。

 空気が乾燥(K)している春は、夏よりも紫外線に警戒が必要なのです。

 さらに、杉などの花粉が飛び出すようになるので、花粉症(K)が蔓延します。

 注意すべきKが多い春ですが、3月から4月にかけての季節は、「木の芽時(このめどき:K)」とも呼ばれます。

心が動きやすい「木の芽時」

 「木の芽時」は、木の芽や虫たちが動き出す季節ですが、昔から「木の芽時は心が動きやすい」と言われています。

 「木の芽時は心が動きやすい」という理由は、木々の美しさと自然の厳しさをみせる自然界の要因と、暖かくなって情緒不安定となりがちな心理的要因、実際に体が変調をきたす身体的な要因など、春は心を動かすいろいろな要因が重なっているためではないでしょうか。

 春は、「草木の芽が張るの意」とも言われ、古くから木の芽立ちの美しさや生命力を賞賛している言葉の多い季節であると同時に、「春愁」、「春傷」、「春恨」といった春を悲しむ言葉も多い季節です。

 春はいろいろなことで体調を崩しやすい季節でもありますので、気象情報に注意して衣服調節をするなど、健康管理に注意し、いつもよりゆっくり休みながら体調を整え、来るべき夏に備えてください。

図1の出典:気象庁ホームページ。

図2の出典:ウェザーマップ提供。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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