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今週の金曜の関東地方は再度の南岸低気圧で雪の可能性

饒村曜気象予報士
日本列島を横断中の低気圧の地上天気図と衛星画像(令和6年3月5日15時)

再び南岸低気圧の通過

 令和6年(2024年)3月5日は、東シナ海で発生した低気圧が東進するため、西日本では低気圧に向かって暖気が入って雨が降り、九州や四国では雷を伴って激しく降った所もありました(タイトル画像)。

 東日本も次第に雨や雪が降り、山沿いを中心に雪の降る所があり、また、北日本の日本海側や東北南部では雪や雨の降る所がありました。

 関東北部では24時間で20センチ以上降雪があった所がありますし、埼玉県や東京23区西部でも1センチ以上の降雪となっています(図1)。

図1 解析24時間降雪量(3月6日1時までの24時間降雪量の推計)
図1 解析24時間降雪量(3月6日1時までの24時間降雪量の推計)

 関東甲信地方では、6日昼過ぎにかけて、山沿いや山地を中心に大雪となる所があり、特に長野県では、警報級の大雪となる所がある見込みです。積雪による交通障害や路面の凍結に警戒・注意してください。

 3月5日は、二十四節気の啓蟄で、この頃の雷は、冬眠していた地中の虫たちが雷鳴に驚いて目覚めるという意味から「虫出しの雷」とも呼ばれています。

 啓蟄が終わると春分となり、春真っ盛りとなります。

 この低気圧が通過後、上空に寒気が南下してくるため天気が持ち直しますが、寒気が南下しているところに、東海沖で次の南岸低気圧が発生する見込みです。

 3月7日の予想天気図では、東海沖で等圧線が膨らんでおり、ここで低気圧が発生し、関東の南岸を東進する見込みです(図2のクエスチョンマーク付近)。

図2 予想天気図(3月7日9時の予想)
図2 予想天気図(3月7日9時の予想)

 今週前半の南岸低気圧でほぼ全国的に雨か雪が降ったあと、いったん天気が回復しますが、いま、週後半は関東地方で平地でも雨か雪の見込みです(図3)。

図3 雨雪判別予想(3月8日6時の予想)
図3 雨雪判別予想(3月8日6時の予想)

 週前半の南岸低気圧と比べて降水の範囲が狭いのですが、寒気がより南下しているため、関東平野部でも、みぞれや雪が降る可能性があります。

今冬の東京の最高気温と最低気温の推移

 今冬の東京は、令和5年(2023年)12月上旬までは極端に気温が高い日もあったのですが、冬至(12月22日)寒波以降は、それまでの極端に気温が高い日はなくなったものの、気温は高めに推移していました。

 しかし、令和6年(2024年)2月中旬になると季節外れの暖かさとなり、2月20日に23.7度と、2月としては記録的な暖かさとなりましたが、その後気温が急降下しました(図4)。

図4 東京の最高気温と最低気温の推移(3月6日~12日は気象庁の予報、3月13日~21日はウェザーマップの予報)
図4 東京の最高気温と最低気温の推移(3月6日~12日は気象庁の予報、3月13日~21日はウェザーマップの予報)

 2月23日の天皇誕生日を含む三連休の気温は平年より低くなりましたが、三連休後は、ほぼ平年並みに戻っています。

 しかし、今週は、南岸低気圧の通過と、その後寒気の南下で最高気温は大きく低下しています。

 ただ、来週は最高気温、最低気温ともに平年より高くなる見込みです。

 気温の変化が大きい日々が続きますので、気象情報を利用し、こまめな服装調節などで体調維持に努めてください。

タイトル画像の出典、図1、図3の出典:ウェザーマップ提供。

図2の出典:気象庁ホームページに筆者加筆。

図4の出典:気象庁ホームページとウェザーマップ提供資料をもとに筆者作成。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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