Yahoo!ニュース

今週の関東は、南岸低気圧通過で山沿いや山地で大雪の懸念、通過後南下した寒気で平野部でも雪の可能性

饒村曜気象予報士
雪の池袋(写真:イメージマート)

南岸低気圧の通過

 令和6年3月5日は、東シナ海から西日本にかけて前線が顕在化し、この前線上で低気圧が発生し、発達しながら東進する見込みです(図1)。

図1 予想天気図(左は3月5日9時の予想、右は3月6日9時の予想)
図1 予想天気図(左は3月5日9時の予想、右は3月6日9時の予想)

 この南岸低気圧によって、西日本では雨が降り、雷を伴って激しく降る所もある見込みです。

 上空約1500メートルで気温が氷点下6度以下というのが、平地で雪になる目安となっていますが、3月6日の南岸低気圧の場合は、この氷点下6度以下という寒気が、東北から関東北部まで南下してくる見込みです(図2)。

図2 上空約1500メートルの気温分布の予想(左:3月6日朝)と雨雪判別の予想(右:3月6日3時)
図2 上空約1500メートルの気温分布の予想(左:3月6日朝)と雨雪判別の予想(右:3月6日3時)

 このため、東北北部~北海道は日本海側で雪の降る所があり、東日本~東北南部も、雲が広がり、午後は山沿いや山地では雪や雨、平地では雨が降る見込みです。

 特に、関東甲信は、5日夜から6日にかけて、山沿いや山地を中心に大雪となる所がある見込みですので、積雪による交通障害や路面の凍結に注意・警戒してください。

 気象庁では、6日18時までに予想される降雪量を、いずれも多い所で、関東地方北部の山地で20~40センチ、関東地方北部の平地で5~10センチ、箱根から多摩地方や秩父地方にかけて5~10センチ、甲信地方で20~40センチと考え、警戒を呼び掛けています。

次の南岸低気圧

 各地の週間天気予報をみると、今週前半の南岸低気圧でほぼ全国的に雨か雪が降ったあと、いったん天気が回復しますが、週後半は関東地方で平地でも雨か雪の見込みです(図3)。

図3 各地の週間天気予報(数字は予想最高気温)
図3 各地の週間天気予報(数字は予想最高気温)

 これは、今週前半の南岸低気圧が通過した後、上空に寒気が南下してきたところに、東海沖で発生した低気圧が関東南岸を通過するためです。

 週後半の南岸低気圧は、週前半の南岸低気圧と比べて降水の範囲が狭いのですが、寒気がより南下しているため、関東平野部でも、みぞれや雪が降る可能性があります(図4)。

図4 雨雪判別予想(3月8日9時の予想)
図4 雨雪判別予想(3月8日9時の予想)

 寒気が予想より少し強くなると、雪の量が増えて交通機関が大混乱する懸念がありますので、3月8日の金曜日は、気象情報の入手に努め、早めの通勤・通学を心がけてください。

今冬の東京の最高気温と最低気温の推移

 今冬の東京は、令和5年(2023年)12月上旬までは極端に気温が高い日もあったのですが、冬至(12月22日)寒波以降は、それまでの極端に気温が高い日はなったものの、気温は高めに推移していました。

 しかし、令和6年(2024年)2月中旬になると季節外れの暖かさとなり、2月20日に23.7度と、2月としては記録的な暖かさとなりましたが、その後気温が急降下しました(図5)。

図5 東京の最高気温と最低気温の推移(3月5日~11日は気象庁の予報、3月12日~20日はウェザーマップの予報)
図5 東京の最高気温と最低気温の推移(3月5日~11日は気象庁の予報、3月12日~20日はウェザーマップの予報)

 2月23日の天の誕生日を含む三連休の気温は平年より低くなりましたが、三連休後は、ほぼ平年並みに戻っています。

 しかし、今週は、南岸低気圧の通過と、その後寒気のかなんかで最高気温は大きく低下し、3月8日の最高気温は5度の予報です。

 最低気温ではなく、最高気温が5度ですが、来週は最高気温、最低気温ともに上昇し、平年並みか、平年より高くなる見込みです。

 気温の変化が大きい日々が続きますので、気象情報を利用し、こまめな服装調節などで体調維持に努めてください。

図1の出典:気象庁ホームページ。

図2、図3、図4の出典:ウェザーマップ提供。

図5の出典:気象庁ホームページとウェザーマップ提供資料をもとに筆者作成。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

饒村曜の最近の記事