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週明けは南岸低気圧により関東地方で大雪の可能性 地球温暖化でも大雪被害が減らない理由とは

饒村曜気象予報士
大雪の丸の内仲通り(写真:イメージマート)

週明けの南岸低気圧

 週明けの2月5日(月)は、西日本から東日本の南岸を低気圧が東進する見込みです(図1)。

図1 予想天気図(2月5日9時の予想)
図1 予想天気図(2月5日9時の予想)

 このため、南西諸島や西日本~東海の広い範囲で雨が降る見込みです。

 関東や東日本の日本海側でも雲が多く、南岸低気圧の東進に伴って午後は雨や雪となる見込みです。また、北日本の日本海側は雲が多く雪の降る所がありますが、太平洋側は概ね晴れるでしょう。

 低気圧が少し暖気を持ち込みますので、最高気温が平年並みか平年より低い西日本~東海は雨で降るとみられます。

 しかし、寒気が入っていて最高気温が平年よりかなり低い関東地方では、みぞれや雪で降り始め、夜には本格的な雪となる見込みです(図2)。

図2 雨雪判別図(左は2月5日13時の予想、右は2月6日0時の予想)
図2 雨雪判別図(左は2月5日13時の予想、右は2月6日0時の予想)

 降雪量は、東京23区で3センチ程度と考えられますが、山沿いではもっと多く、寒気がもう少し強ければさらなる降雪のおそれがあります(図3)。

図3 2月5日3時から6日3時までの24時間降雪量
図3 2月5日3時から6日3時までの24時間降雪量

 従って、2月5日(月)の帰宅時間帯には広い範囲で積雪しているおそれがありますので、ノーマルタイヤでの車の走行は控え、内陸など大雪が予想されている地域は車内にスコップを積んでおくなどの備えが必要です(図4)。

図4 大雪時の注意点
図4 大雪時の注意点

 また、交通機関が乱れる可能性もあるため早めの帰宅や、テレワークの活用、予定の見直しなどの対策も必要です。

 翌6日(火)の朝の通勤通学は、雪が止んでいる可能性が高いのですが、路面が凍結しており、歩行中の転倒や交通機関の乱れには注意が必要です。

今冬の寒波

 令和5年(2023年)12月22日(冬至)の頃に西日本を中心に南下してきた寒波(冬至寒波)では、福岡では最高気温が12月21日に3.7度、22日に4.3度と、平年の最低気温をも下回る厳しい寒さでした。

 12月22日に全国で最高気温が0度を下回った真冬日を観測したのは264地点(気温を観測している全国914地点の約29パーセント)、最低気温が0度を下回った冬日は774地点(約85パーセント)もありました(図5)。

図5 真冬日、冬日、夏日の観測地点数の推移(2023年12月1日~2024年2月7日、2月5日以降は予報)
図5 真冬日、冬日、夏日の観測地点数の推移(2023年12月1日~2024年2月7日、2月5日以降は予報)

 1月中旬や、1月下旬にも寒波が南下してきましたが、冬至寒波に比べると、冬日や真冬日のピークが小さく、冬至寒波には及ばなかったといえるでしょう。

 2月に入ると、真冬日の観測地点数が200地点を超える日があり、北日本は厳しい寒さが続いていますが、冬日を観測する地点は大きく減ってきており、東日本から西日本の寒さが少し和らいできたことを示しています。

 また、沖縄地方を中心に、最高気温が25度以上の夏日が観測されるようになってきました。

 今冬の東京都心の最高気温と最低気温の推移をみると、12月の中旬までは、平年よりかなり高い気温を観測する日が多く、12月15日に最高気温20.2度、翌16日に最高気温21.1度を観測し、12月としては異例の連続20度超えでした(図6)。

図6 東京の最高気温と最低気温の推移(2月5日以降はウェザーマップの予報)
図6 東京の最高気温と最低気温の推移(2月5日以降はウェザーマップの予報)

 しかし、冬至(12月20日)頃に南下してきた冬至寒波以降、極端な高温の日はなくなっています。

 とはいえ、平年より高い日が多く、下がって平年並みでした。

 2月5日~6日に南岸低気圧が通過するときの関東地方は、東京の最高気温が5~6度など、北東からの寒気が流入して気温が上がらない日です。

 今冬一番の寒い日となるかもしれません。

 このため、大雪が懸念されているわけです。

 ただ、一年で一番寒い時期は過ぎ、日々の最高気温や最低気温の平年値は徐々に上がり始めています。

 来週は、この上がり始めた平年値より高い日が続く見込みです。

地球温暖化というけれど

 地球温暖化が進んでいるといっても、地球は、寒い年と暖かい年を繰り返しながら、次第に暖かくなります(図7)。

図7 気候の変化の説明図
図7 気候の変化の説明図

 このとき、図7の状態1から状態2に移るとき、状態1と状態2が混在する遷移期間があります。この遷移期間においては、図中のa年のように、状態1から見ると高温な気候でも、状態2から見るとそれほど高温な気候でもないことになります。

 現在、地球温暖化に向かう遷移期間にあるので、気温差が極端に思える年が時々現れても不思議ではないと考える人もいます。

 降雪量も同じです。地球温暖化が進んだ場合、東京などの太平洋側の地方では雪が雨に変わって降雪量が減りますが、年によっては降雪量が増える年もあります。

 加えて、地球温暖化が進み、大雪が降る地方でも雪が少ない年が多くなると、生活様式が変わるでしょうから、少しの雪でも雪害が発生するようになります。

 例えば、雪の多い北陸地方の冬は、すべての車がスノータイヤを装着していると言っても良いのですが、降雪が減少すると、首都圏のようにスノータイヤを装着しない車も増え、結果として、少しの降雪でも道路は大渋滞し、事故が多発するということにもなりかねません。

 地球温暖化が進んでいるといっても、しばらくは大雪に警戒が必要です。

図1の出典:気象庁ホームページ。

図2、図3、図4、図5の出典:ウェザーマップ提供。

図6の出典:ウェザーマップ提供資料をもとに筆者作成。

図7の出典:饒村曜(平成26年(2014年))、天気と気象100・一生付き合う自然現象を本格解説、オーム社。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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