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梅雨前線に向かって下層の暖湿気流入で大気不安定、加えて上層の寒気流入でさらに不安定

饒村曜気象予報士
大雨で河川が決壊して浸水する街(提供:イメージマート)

 今週の始めに沖縄近海にあった梅雨前線は、一気に日本海まで北上しました。

 このため、沖縄地方は6月25日に、鹿児島県奄美地方は6月26日に梅雨明けをし、その後は北上した梅雨前線に向かって下層の暖湿気が流入して北上しています。

表 令和5年(2023年)の梅雨
表 令和5年(2023年)の梅雨

 このため、蒸し暑くなり、熱中症に厳重な警戒が必要となってきました。

 6月27日に最高気温が30度以上の真夏日を観測したのは393地点(全国で気温を観測している915地点の約43パーセント)と、これまで一番だった5月17日の299地点(約33パーセント)を抜いて、一番暑い日となりました。

 また、大分県豊後大野市・犬飼で最高気温が35.7度、宮崎県美郷市・神門で最高気温が35.0度と、2地点で最高気温が35度以上の猛暑日を観測しました。

 猛暑日を観測したのは、今年4回目です。

【令和5年(2023年)の猛暑日】

5月17日 1地点

5月18日 6地点

6月18日 3地点

6月27日 2地点

 ただ、5月17日から18日の暑さは、湿度が低いときの暑さでした。

 6月27日以降の暑さは、湿度の高いときの暑さですので、数字の差以上に熱中症になりやすくなりますので、注意が必要です。

 一般的に、大気の下層に暖湿気が入っている時は、大気が不安定で、積乱雲が発達し、局地的な雷雨に注意が必要です。

 6月27日も、下層の暖湿気流入で局地的な雷雨がありました。

 また、上層に寒気が入っている場合も大気が不安定になります。

 6月28日は、下層の暖湿気流入と、上層の寒気流入が重なりますので、大気が非常に不安定になります。

 蒸し暑いという、熱中症に警戒が必要な暑さとともに、局地的な大雨にも警戒してください。

 最新の気象情報に注意してください。

表の出典:気象庁ホームページ。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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