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今週は爽やかな晴天も、来週は台風2号の南西諸島接近と停滞前線活発化による大雨の可能性

饒村曜気象予報士
日本列島の広がる晴天域とグアム島付近の台風2号の雲(5月24日15時)

大きな移動性高気圧

 令和5年(2023年)5月24日の日本列島は、大きな移動性高気圧に覆われ、一部地域でにわか雨の所があったものの、全国的には晴れる所が多くなっています(タイトル画像参照)。

 北からのさわやかな空気が流入していますので、気温は平年並みか平年より低く、ここ最近の中では比較的過ごしやすい陽気となりました。

 5月12日には全国で気温を観測している915地点のうち712地点(約78パーセント)で最高気温が25度以上の夏日となるなど、5月として記録的な暑さとなっていましたが、5月24日の夏日は156地点(約17パーセント)でした(図1)。

図1 真夏日・夏日と冬日の観測地点数の推移(令和5年3月1日~5月24日)
図1 真夏日・夏日と冬日の観測地点数の推移(令和5年3月1日~5月24日)

 そして、朝晩は冷え込み、最低気温が氷点下という冬日を観測したのが28地点(約3パーセント)ありました。

 5月25日も、大きな移動性高気圧に覆われ、さわやかな晴天が続く見込みです(図2)。

 図2 予想天気図(5月25日9時の予想)
図2 予想天気図(5月25日9時の予想)

 ただ、移動性高気圧が少し東へ移動することから西~東日本や南西諸島では、晴れ間はあるものの雲が広がりやすいでしょう。近畿や東海、甲信では午後になるとにわか雨の所がありそうです。北日本は概ね晴れるでしょう。

 しばらく爽快な晴天が続く見込みですが、来週は週明けから天気は一変して雨の日が多くなり、蒸し暑くなる所が多くなる見込みです(図3)

図3 各地の10日間予報(ウェザーマップによる予報)
図3 各地の10日間予報(ウェザーマップによる予報)

 これは、現在マリアナ諸島にある台風2号と関係があります。

台風2号が猛烈な台風に発達

 台風2号は、5月24日15時頃、非常に強い勢力でグアム島付近を通過し、マリアナ諸島からフィリピンの東へ進む見込みですが、この海域は、例年に比べて海面水温がかなり高く、30度以上になっています。

 このため、台風2号はフィリピンの東で、中心気圧905ヘクトパスカル、最大風速55メートル、最大瞬間風速80メートルの猛烈な台風に発達する見込みです(図4)。

図4 台風の進路予報(5月25日0時の予報)
図4 台風の進路予報(5月25日0時の予報)

 そして、来週の週明け、5月29日には沖縄県先島諸島に接近し、沖縄地方が暴風域に入る可能性があります。

 気象庁の台風進路予報は5日先までですが、筆者が昔調べた統計的調査では、5月の台風は、今年の台風2号より緯度で5度位南を進むものが多いのですが、それでも、フィリピンの東海上から北上して南西諸島に接近し、その後日本の南海上を東進する台風があります(図5)。

図5 5月の台風の平均経路
図5 5月の台風の平均経路

 つまり、台風2号が沖縄県先島諸島に接近した後の来週は、日本の南海上を東進する恐れがあります。

 また、来週は、日本付近で前線が停滞する予報となっていますので、台風接近によって前線が刺激され、大雨となる可能性もあります。

 来週は、雨の降り方によっては、西日本から東日本の太平洋側の地方で、平年より早い梅雨入りの可能性があります(表)。

表 令和5年(2023年)の梅雨入り
表 令和5年(2023年)の梅雨入り

 平年より早い梅雨入りですが、記録的に早いというわけではありません。

 そろそろ、本格的な梅雨の季節が始まります。

タイトル画像、図3、図4の出典:ウェザーマップ提供。

図1の出典:ウェザーマップ提供資料をもとに筆者作成。

図2、表の出典:気象庁ホームページ。

図5の出典:饒村曜・宮沢清治(昭和55年(1980年))、台風に関する諸統計、研究時報、気象庁。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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