低気圧と高気圧が交互に通過 低気圧通過後の寒気南下は11日(土)は弱いが、13日(月)はやや強い
低気圧と高気圧が交互に通過
令和5年(2023年)は、3月に入ると、低気圧と高気圧が交互に通過する春の天気図となってきました(タイトル画像参照)。
2月までの西高東低の冬型の気圧配置が多かった天気図とは様変わりです。
今冬の特徴として、冬型の気圧配置は強さの割には長続きしないということがあげられます。
今冬一番の強い寒気が南下したのは、1月下旬で、1月25日には真冬日を観測したのが502地点(約55パーセント)と、全国の半数以上の地点で、気温が一日中氷点下という、冷凍庫の中の状態でした。
また、冬日を観測したのが869地点(約95パーセント)と、南西諸島以外は全ての観測地点で冬日でした。
2月に入ると、強い寒気の南下は北日本どまりで、南岸低気圧が短い周期で通過するようになってきました。
南岸低気圧が通過するときは、暖気が入りますので、真冬日や冬日を観測した地点数が減少し、その後の寒気の南下で増加するという変化をします。
バレンタインの頃(2月14日頃)に南下してきたバレンタイン寒波によって増えましたが、真冬日や冬日の観測地点数は、減少傾向です。
真冬日の減少傾向は、冬日の減少傾向が著しく、朝晩は氷点下になって冬日にはなるものの、日中は気温が0度以上にあがって真冬日ではなくなる観測地点が増えていることを示しています(図1)。
3月10日は、前線を伴った低気圧が北海道付近を通過するため近畿や東~北日本の広い範囲で雨が降るでしょう(図2)。
低気圧に向かって下層に暖湿気流が入って大気が不安定となります。落雷や竜巻などの激しい突風、降ひょうに注意が必要です。
寒気の目安として上空約5500メートルの気温が使われますが、春先は、真冬の時と違って、地上付近の気温が高くなっていますので、この温度以上に大気が不安定となり、積乱雲が発達します。
真冬では、上空約5500メートルで-36度というのが強い寒気の目安ですが、地上付近が0度であれば、上下の温度差は36度です。
3月10日に通過する低気圧では、上空約5500メートルで-24度以下という寒気ですので、真冬の寒気に比べれば強いものではありません(図3)。
しかし、地上付近が20度くらいという、季節外れの暖かさとなっていますので、上下の温度差は44度もあります。
この上下の大きな温度差によって、大気の状態が非常に不安定となり、積乱雲が発達しやすくなっています。
落雷や竜巻などの突風、降ひょうや短時間強雨に注意してください。
暖かい日が続く
低気圧が接近する時は南から暖気が北上して気温が上昇し、通過後に高気圧が接近するときは北から寒気が南下して気温が下降しますので、一般的には春は気温差が大きい季節です。
ただ、10日の低気圧通過後の寒気南下は弱く、この時季としては気温が高い日が続く見込みです。
また、12日(日)から13日(月)に通過する低気圧の通過後に南下してくる寒気はやや強いものですが、これで今の時季らしい寒気です(図4)。
東京の低気圧通過後の11日(土)の最高気温は、低気圧の通過前より大きく下がりませんが、次の低気圧が通過した週明けには低気圧の通過前に比べて大きく下がります(図5)。
ただ、下がっても平年並みです。それ以外の日は平年より高くなり、20度近くになる日が多そうです。
最低気温は連日10度前後の日が続き、先月までのときおり最低気温が氷点下という冬日になっていた時とは様変わりです。
また、北日本では、3月に入ってから季節はずれの暖かさとなっており、札幌では寒気の南下によって気温が下がった時でも、最高気温は平年より高くなっています(図6)。
最低気温も平年より高い0度前後の日が続く見込みで、降水現象があれば雪ではなく、雨で降る温度となっています。
早まるさくらの開花
3月に入ってから気温が高めに推移しているという傾向は、全国的で、特に東京などの東日本、札幌などの北日本で顕著です。
このため、今年のさくらは、平年より早いところが多く、記録的に早いところもありそうです。
ウェザーマップが発表したさくら(ソメイヨシノ)の開花で一番早いのは、3月16日(木)の東京と福岡です(図7)。
ただ、3月17日の埼玉県熊谷、18日の横浜、甲府、名古屋、広島が開花予想となっています。
混戦の一番乗りを制するカギは、今週末からの気温が握っています。
タイトル画像、図7の出典:ウェザーマップ提供。
図1の出典:ウェザーマップ提供資料をもとに筆者作成。
図2の出典:気象庁ホームページ。
図3、図4の出典:ウェザーマップ提供資料に筆者加筆。
図5、図6の出典:気象庁ホームページとウェザーマップ提供資料をもとに筆者作成。