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今週は4月並みの暖かさ続く、特に北日本は季節外れ 雪国では春を実感できる雪間草も

饒村曜気象予報士
雪解け(写真:イメージマート)

移動性高気圧と雪間草

 3月7日(火)は、日本付近は移動性高気圧に覆われ、東北南部~九州の広い範囲で概ね晴れる見込みです(図1)。

図1 予想天気図(3月7日9時の予想)
図1 予想天気図(3月7日9時の予想)

 高気圧が本州南岸を通過するため、この高気圧から離れている北海道~東北北部では雲が広がりやすく、所によりにわか雨やにわか雪があるでしょう。

 また、この高気圧の南側に位置する沖縄は、東よりの湿った空気が流入するため、晴れたり曇ったりとなるでしょう。

 最高気温は、沖縄は平年並みとなりますが、その他の地域は平年よりもかなり高くなる所が多い予想です。

 今冬の特徴として、冬型の気圧配置は強さの割には長続きしないということがあげられます。

 今冬一番の強い寒気が南下は、1月下旬で、1月25日には真冬日を観測したのが502地点(約55パーセント)と、全国の半数以上の地点で、気温が一日中氷点下という、冷凍庫の中の状態でした。

 また、冬日を観測したのが869地点(約95パーセント)と、南西諸島以外は全ての観測地点で冬日でした。

 2月に入ると、強い寒気の南下は北日本どまりで、南岸低気圧が短い周期で通過するようになってきました。

 南岸低気圧が通過するときは、暖気が入りますので、真冬日や冬日を観測した地点数が減少し、その後の寒気南下で増加するという変化をします。

 バレンタインの頃(2月14日頃)に南下してきたバレンタイン寒波によって増えましたが、真冬日や冬日の観測地点数は、減少傾向です。

 真冬日の減少傾向は、冬日の減少傾向が著しく、朝晩は氷点下になって冬日にはなるものの、日中は気温が0度以上にあがって真冬日ではなくなる観測地点が増えていることを示しています(図2)。

図2 全国の冬日、真冬日、夏日の観測地点数の推移
図2 全国の冬日、真冬日、夏日の観測地点数の推移

 一面を覆っていた雪が、春の暖かさで消えかかり黒々とした土が現れ、その土に萌え出た草を雪間草といいます。

 春の訪れを実感できる草ですが、北国でも雪間草を見ることができそうです。

今週は4月並みの暖かさ続く

 今週は晴れて日射が強く、ほぼ全国的に4月並みの暖かさが続く見込みです。

 春特有の現象ですが、朝晩と日中との気温差がかなり大きくなることから、服装でうまく調節し、体調管理に注意してください。

 東京では、3月8日(水)以降、最高気温が20度前後の日が多い予報となっています(図3)。

図3 東京の最高気温と最低気温の推移(3月7日~3月13日は気象庁、3月14日~22日はウェザーマップの予報)
図3 東京の最高気温と最低気温の推移(3月7日~3月13日は気象庁、3月14日~22日はウェザーマップの予報)

 植物の活動が活発になるとされる15度以上といわれていますので、さくらの開花は一気に進むと思われます。

 ウェザーマップのさくらの開花予報によると、東京の開花は3月16日と、福岡と並んで沖縄を除くと一番早くなっています(図4)。

図4 さくら開花前線の予想(ウェザーマップが3月6日に発表)
図4 さくら開花前線の予想(ウェザーマップが3月6日に発表)

 東京の最高気温は、さくらの開花頃に少し下がりますが、それでも平年より高い予想です。

 2月末から約1か月も平年より気温が高い状態が続く見込みですので、例年とは異なる季節感に戸惑うかたも多いと思います。

北日本の季節外れの暖かさ

 ほぼ全国的に暖かくなるのですが、北海道は向こう2週間、東北は向こう10日間程度は、暖かい空気に覆われやすいため気温が平年より高い日が多い見込みです。

 また、北日本では3月12日(日)ごろからの5日間ほどは、気温がかなり高くなる可能性があります。

 このため気象庁は、北海道と東北地方に「高温に関する早期天候情報」を発表し、農作物の管理に注意するよう呼びかけています(図5)。

図5 早期天候情報(平均気温)
図5 早期天候情報(平均気温)

 多雪地では、落雪やなだれ、急な雪解けに注意してください。

 札幌における最高気温と最低気温の推移をみると、今週は最高気温が10度前後まであがり、最低気温は平年の最高気温くらいになる見込みです(図6)。

図6 札幌の最高気温と最低気温の推移(3月7日~3月13日は気象庁、3月14日~22日はウェザーマップの予報)
図6 札幌の最高気温と最低気温の推移(3月7日~3月13日は気象庁、3月14日~22日はウェザーマップの予報)

 この気温が高い状態は4月も続く見込みで、さくらの開花は北海道でも平年よりかなり早く、札幌では4月23日と、ゴールデンウィーク前になりそうです。

図1の出典:気象庁ホームページ。

図2の出典:ウェザーマップ提供資料をもとに筆者作成。

図3、図6の出典:気象庁ホームページとウェザーマップ提供資料をもとに筆者作成。

図4、図5の出典:ウェザーマップ提供。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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