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強い寒気のあとの南岸低気圧通過で太平洋側も雪、その後は今冬一番を上回る寒気が南下で大雪に警戒

饒村曜気象予報士
寒気南下を示す日本海北部の筋状の雲と東シナ海の前線による雲(12月16日15時)

強い寒気の南下

 令和4年(2022年)12月14日から強い寒気が南下し、西高東低の冬型の気圧配置が強まって北日本では暴風雪となり、大雪の所がありました。

 また、西日本の日本海側でも初雪を観測しました(表)。

表 令和4年(2022年)の初雪
表 令和4年(2022年)の初雪

 全国的に冷え込み、16日は最低気温が氷点下の冬日は、全国で気温を観測して915地点のうち575地点(約63パーセント)と今冬最多となり、最高気温が氷点下の真冬日も228地点(約25パーセント)と今冬最多となりました(図1)。

図1 夏日と冬日、真冬日の観測地点数の推移(10月16日~12月16日)
図1 夏日と冬日、真冬日の観測地点数の推移(10月16日~12月16日)

 しかし、この寒気は西日本上空から後退し、寒気の南下を示す筋状の雲も日本海北部だけとなり、東シナ海には前線に伴う雨雲がではじめています(タイトル画像参照)。

南岸低気圧

 12月17日の土曜日は、東シナ海の前線上に、低気圧が発生し、本州の南岸を通過する見込みです(図2)。

図2 予想天気図(左は12月17日9時の予想、右は18日9時の予想)
図2 予想天気図(左は12月17日9時の予想、右は18日9時の予想)

 このため、南西諸島は一日を通して雨が降り、西日本では雨や雪が降り、夜には雷を伴う所もあるでしょう。

 また、東日本の太平洋側は午後を中心に、内陸部では雪が降り、沿岸部では雨が降って雪の混じる所もありそうです。

 関東では、宇都宮と水戸で初雪を観測していますが、その他の地方でも初雪を観測するかもしれません。

 一方、北陸や北日本では、日本海で発生する低気圧が東北地方を通過する見込みで、雪や雨の降る所が多く、所により雷を伴って激しく降る所もあるでしょう。

今冬一番の寒気の南下

 12月18日の日曜日は、2つの低気圧が日本の東海上で発達し、日本付近は西高東低の気圧配置となり、これまでよりさらに強い寒気が西日本を中心に流れ込む見込みです。

 雪が降る目安として、上空約1500メートルの気温が-6度というものがあります。

 この上空約1500メートルで-6度以下という領域は、日本海西部から西日本に大きく南下してくる見込みです。

 西日本をすっぽりとおおっていますので、九州・四国から初雪の便りがとどくかもしれません(図3)。

図3 上空1500メートルの気温予想(12月18日9時の予想)
図3 上空1500メートルの気温予想(12月18日9時の予想)

 西日本を含めた広い範囲で雪となり、雪にあまり慣れていない西日本の平地でも雪が積もる可能性がありますので、積雪や路面の凍結による交通障害に十分ご注意ください。

 等圧線の間隔が狭く、北日本や北陸では雪・風ともに強まって、荒れた天気となりそうですので、気象情報の入手に努め、暴風、高波、猛ふぶきや吹きだまりによる交通障害に警戒してください。

大雪情報とともに気温情報も

 大雪が降ったときの行動は、量だけでなく、積雪の状態にも大きな影響をあたえますので、降雪量の予報だけでなく、気温の情報(これまでの変化や予報)も合わせて考える必要があります。

 強い寒気が南下する時は、一日の気温変化が、夜明け前に一番低く、昼過ぎに一番高いとは限りませんので、気温の時系列予報を利用する必要があります

 同じ降雪量でも、気温が低い時のサラサラした雪より、気温が0度付近と高いときのベタベタした雪のほうが、雪かき時に腰を痛めない配慮がより必要です。

 また、融けた雪が再び凍ってアイスバーンになると、転倒事故や交通事故が急増しますし、水分を多く含んで重たい雪がふる場合は、架線に張り付いて重みで架線切断がおき、停電の可能性が高くなります。

図4 12月17日3時から20日3時までの72時間予想降雪量
図4 12月17日3時から20日3時までの72時間予想降雪量

 12月17日3時から20日3時までの72時間予想降雪量は東北から北陸の日本海側の山沿いでは1メートルを超える見込みです。

 しかも、冬の初めの地表面付近があまり冷えていないときの大雪ですので、ベタベタした雪の所が多いと思われますので、より警戒・注意が必要です。

タイトル画像、図3、図4の出典:ウェザーマップ提供。

図1、表の出典:ウェザーマップ提供資料をもとに筆者作成。

図2の出典:気象庁ホームページ。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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