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各地から冬のたより 今回のような寒気南下時の最高・最低気温の予報は実感と合わなくなる

饒村曜気象予報士
冠雪の大雪山(写真:イメージマート)

本州南岸に前線が停滞

 今の時期としては強い寒気が本州南岸まで南下し、本州南岸には前線が停滞しています。

 北日本や北陸からは初冠雪の観測など、冬のたよりがとどいています(表1)。

表1 初冠雪の「平年」と「令和4~5年(2022~2023年)寒候年」
表1 初冠雪の「平年」と「令和4~5年(2022~2023年)寒候年」

 北海道の旭岳や利尻岳の初冠雪は、平年より遅かったものの、富士山や立山など多くの山では平年より早く、冬が早く訪れています。

 令和4年(2022年)は、6月から記録的な暑さとなり、9月の残暑も長かったことから、暑い夏の期間が長かった年といえるでしょう。

 ここへきて、冬の訪れが早いことや、気象庁の寒候期予報ではラニーニャ現象によって寒い冬になるとなっていることから、寒い冬の期間も長そうです。

 となると、日本は春夏秋冬という四季の国といわれていますが、秋と春が短くなって夏と冬の二季の国になっている感じがします。

 そして、西日本から北日本の広い範囲で雲が広がり、雨が続いている所が多くなっています。

 10月7日(金)も、四国や中国から東北にかけて雨が降り、前線に近い太平洋側では本降りの雨になる所もありそうです(図1)。

図1 予想天気図(10月7日9時の予想)
図1 予想天気図(10月7日9時の予想)

 気温は平年よりかなり低く、11月並み、場所によっては12月並みとなっており、秋を通り越して初冬の寒さと言えるでしょう。

 全国的な寒くて雨が多い状態は3連休が終わるまで続きますが、その後は再び気温が上がり、真夏日に近くなる所も多い見込みです。

 夏から冬への衣替えは、三連休あとのタイミングがよさそうです。

あすの最低気温と最高気温の予報

 今回のような寒気が南下しているときは、気象庁の発表する気温予報に大きな注意点があります。

 それは、あすの天気予報における最低気温は、「0時から6時までの間の最低気温(朝の最低気温と表現)」であり、最高気温は「6時から24時までの最高気温(日中の最高気温と表現)」ということです。

 一日の最低気温、一日の最高気温ではありません。

 あさって以降の最低気温と最高気温は、一日の最低気温、一日の最高気温ですので、あす予報だけが違っているのです。

 多くの場合、10月4日(火)のように、最低気温は明け方に観測され、最高気温は日中に観測されますので、特に問題はありません(図2)。

図2 東京の気温変化(10月4~5日)
図2 東京の気温変化(10月4~5日)

 しかし、10月5日(水)のように、強い寒気が南下をしている時の予報では、実感と合わなくなります。

 6時までの間での最低気温は22度位ですので、予報通りです。

 しかし、その後、夜遅くに向かって気温がどんどん下がり、5日の最低気温は夜遅くに観測された14.3度です。

 つまり、5日朝の最低気温は22度と発表され、実際22度と誤差0だったのですが、予報よりもかなり低くなったと感じた人が多かったと思います(表2)。

表2 東京のあすの最低気温とあすの最高気温の予報と観測値(10月4日から7日)
表2 東京のあすの最低気温とあすの最高気温の予報と観測値(10月4日から7日)

 10月6日(木)も同様です。

 前日の最低気温の予報が15度、実際の朝の最低気温が14度と、ほぼ一致していたのですが、日中は12度前後で、予報よりかなり低い日が続いたと感じた人が多かったと思います(図3)。

図3 東京の気温変化(10月6~9日)
図3 東京の気温変化(10月6~9日)

 10月7日(金)は、北東からの冷たい風が続くため、気温はほぼ横ばいで、一日を通して13度前後で推移しそうです。

 明け方に気温が一番低く、日中に気温が高くなるという、一般的な気温の日変化をするのは10月8日(土)になってからです。

寒暖差の激しい一週間

 東京の最高気温と最高気温の推移をみると、特に今が寒暖差が激しいことがわかると思います(図4)。

図4 東京の最高気温と最低気温の推移(10月7~13日は気象庁、14~22日はウェザーマップの予報)
図4 東京の最高気温と最低気温の推移(10月7~13日は気象庁、14~22日はウェザーマップの予報)

 10月4日の最高気温は、真夏日一歩手前の29.5度でしたが、6日は11月並の15度まで下がり、11日には再び真夏日一歩前の29度まであがるという大きな変化をします。

 現在は、ネットで調べれば、時系列で気温等が細かく予想されていますので、暖かい服装ででかけるなどの体調管理に、きめ細かい気象情報をお使いください。

図1の出典:気象庁ホームページ。

図2、表2の出典:ウェザーマップ提供資料をもとに筆者作成。

図3、図4の出典:気象庁ホームページとウェザーマップ提供資料をもとに筆者作成。

表1の出典:気象庁ホームページをもとに筆者作成。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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