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発達した台風12号が知事選挙投票日の沖縄へ接近 台風北東の雲渦にも注意

饒村曜気象予報士
台風12号の雲(左)と、その北東にある雲の渦巻(右)(9月8日15時)

東北南部や東・西日本に雲が広がる

 北日本を高気圧が通過しますので、週末にかけ、北海道は晴れますが、気圧が低くなっている東北南部や東・西日本にかけては、湿った空気の流入によって大気が不安定となっています(図1)。

図1 予想天気図(9月9日9時の予想)
図1 予想天気図(9月9日9時の予想)

 このため、北海道を除いて雲が広がりやすく、雨が降るところもある見込みです。雨の範囲は狭くなっても、降る場所では雷を伴って降り方が強まる可能性がありますので、局地的豪雨に注意が必要です。

台風12号

 9月8日(木)9時にフィリピンの東で発生した台風12号は、発達しながら北上を続け、11日(日)~12日(月)頃にかけて沖縄に接近する可能性があります(図2)。

図2 台風12号の進路予報と海面水温(9月9日0時)
図2 台風12号の進路予報と海面水温(9月9日0時)

 台風の進路予報は、最新のものをお使いください

 沖縄は次第に風が強まり、波が高くなりますが、進行速度がゆっくりのため、影響が長引く可能性があります。

 しかも、台風が発達する目安の海面水温27度を上回る、30度以上の海域をゆっくり進むため、台風は最大風速40メートルの強い台風にまで発達する見込みです。

 なお、沖縄県が台風12号の暴風域に入る確率は、宮古島で11日の夜のはじめ頃から12日の夜のはじめ頃まで、丸一日以上で6パーセントと、この期間で一番高くなっています(図3)。

図3 宮古島と沖縄本島南部が暴風域に入る確率
図3 宮古島と沖縄本島南部が暴風域に入る確率

 また、沖縄本島南部では、12日の明け方から13日の未明までが3パーセントと一番高くなっています。

 これらは、台風12号から離れているために確率は低い値であるものの、長期間にわたって暴風域に入る可能性があることを示しています。

 しかも、9月11日は、沖縄県知事選の投票日で、台風12号によって投票率が変わるかもしれません。

 ただ、台風12号が接近しても県民の選択が変わらなかったという知事選になって欲しいと思います。

台風12号の北東の雲渦

 日本の南海上は、広い範囲で気圧が低くなっており、この中で熱帯低気圧ができたり消えてたりしています。

 沖縄に接近する台風12号も、その中の熱帯低気圧の一つでした。

 その台風12号の北東に雲の渦があります(タイトル画像参照)。

 現時点では熱帯低気圧になっていませんが、これから熱帯低気圧となり、台風にまで発達する可能があります。

 もし、台風になれば、台風13号です。

 台風12号より日本に近い所での発生ですので、発生して北上すれば、すぐに影響が出てくるかもしれません。

 この渦にも注意が必要です。

タイトル画像の出典:ウェザーマップ提供資料をもとに筆者加筆。

図1の出典:気象庁ホームページ。

図2の出典:ウェザーマップ提供。

図3の出典:気象庁ホームページをもとに筆者作成。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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