Yahoo!ニュース

大型で非常に強い台風11号が6日(火)未明に九州接近、その後日本海を北上

饒村曜気象予報士
台風11号の雲(9月5日3時)

多良間島空港

 令和4年(2022年)9月3日の夜遅く、台風11号は沖縄県宮古列島を通過し、南シナ海に入っています。

 宮古列島の多良間島にある多良間空港では、23時10分に風速が3.4メートルとなり、それまで吹いていた15メートル以上の東よりの風が弱まっています(図1)。

図1 多良間空港の台風11号通過時の風と気温の変化
図1 多良間空港の台風11号通過時の風と気温の変化

 そして、その後は、25メートル以上の西よりの強い風が吹いています。

 台風11号は、多良間島の真上を通過し、多良間空港は台風の眼に中に入ったと思われます。

 台風11号は、東シナ海をやや発達しながら北上し、次第に進路を東よりに変えて、6日には九州へ接近し、その後日本海を北北東に進む見込みです(図2)。

図2 台風11号の進路予報と海面水温(9月5日3時)
図2 台風11号の進路予報と海面水温(9月5日3時)

 台風の進路予報は最新の情報をお使いください

 台風11号が進んでいる東シナ海の海面水温は、台風が発達する目安とされる27度くらで、台風が急速に勢力を落とすとは考えられません。

 中国地方と九州北部地方では6日にかけ、暴風に厳重に警戒してください。

 また、九州地方では5日から6日にかけてうねりを伴った高波に厳重に警戒してください。

 さらに、西日本や沖縄地方では、土砂災害、低い土地の浸水、河川の増水や氾濫に厳重に警戒してください。

台風の大きさと強さ

 台風の発達期は、最大風速が次第に強くなり、強風域の半径も次第に大きくなります。

 最盛期を過ぎると、最大風速は弱まるものの、強風域の大きさはあまり変化せず、逆に大きくなる台風もあります(図3)。

図3 台風の大きさと強さの変化(左は台風11号の場合、右はモデル台風の場合)
図3 台風の大きさと強さの変化(左は台風11号の場合、右はモデル台風の場合)

 台風11号は、強風域の範囲が広がらず、最大風速だけがどんどん増加し、猛烈な台風にまで発達しました。その後、最大風速が弱まりましたが、強風域の範囲が広がってきました。

 今後、温帯低気圧に変わると、強風域の範囲はもっと広がります。

 このような台風11号の強さと大きさの変化は、モデル的な台風と少し違っていますが、珍しくはありません。

暴風域に入る確率

 台風11号による暴風域に入る確率をみると、長崎県下五島では5日夜遅く~6日未明に値が一番高く100パーセントとなっています。

 また、長崎県下対馬では6日明け方に値が一番高く100パーセントとなっています(図4)。

図4 長崎県下五島と下対馬、島根県出雲地区が暴風域に入る確率(9月5日3時)
図4 長崎県下五島と下対馬、島根県出雲地区が暴風域に入る確率(9月5日3時)

 九州北部に台風11号が接近するのは9月5日の夜、中国地方に台風が最も接近するのは6日の朝です。台風対策は、5日の昼間のうちにお願いします。

 暴風域に入る確率は、刻々と変わりますので、最新の情報をお使いください

秋雨前線

 警戒すべきは、台風周辺だけではありません。

 秋雨前線が日本海から北海道にのびています(図5)。

図5 予想天気図(9月5日21時の予想)
図5 予想天気図(9月5日21時の予想)

 前線に向かって太平洋高気圧の縁を回る暖かく湿った空気や台風からの暖かく湿った空気が流れ込むため、西日本から東日本、北日本では、大気の状態が非常に不安定となる見込みです。

 積乱雲が発達し、所により猛烈な雨が降る恐れがあります。

 台風11号から離れている地方でも、天気の急変には注意して下さい。

タイトル画像、図2の出典:ウェザーマップ提供。

図1の出典:ウェザーマップ資料をもとに筆者作成。

図3の出典:ウェザーマップ提供資料をもとに筆者作成。

図4、図5の出典:気象庁ホームページ。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

饒村曜の最近の記事