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祖父母等にエアコンをつけるよう電話を 記録的に早い梅雨明けは太陽高度が高い時期の梅雨明けで特に警戒

饒村曜気象予報士
おじいちゃんおばあちゃんとネット電話をする女の子(写真:イメージマート)

記録的に早い梅雨明け

 令和4年(2022年)6月27日、気象庁は関東甲信、東海、九州南部の各地方の梅雨明けを発表しました(表)。

表 令和4年(2022年)の梅雨
表 令和4年(2022年)の梅雨

 梅雨の統計がある昭和26年(1951年)以降では、関東甲信地方は、平成30年(2018年)の6月29日を抜いて、最も早い梅雨明けとなりました。

 関東甲信地方は、「梅雨入りが早い年は梅雨明けが遅い」という傾向がありますが、令和4年(2022年)は梅雨入りが早く、梅雨明けも早かったということになります。

 また、東海地方は、昭和38年(1963年)に次ぐ二番目に早い梅雨明けでした。

 さらに、九州南部では、昭和30年(1955年)の6月24日に次ぐ早い記録でした。

 数日前から日本列島付近から梅雨前線が消え、晴れて気温が上昇していますので、今回の異常に早い梅雨明けも、毎年9月に行われている梅雨の見直しで、さらに数日早まる可能性があります。

 そして、近畿、中国、四国、九州北部も晴れの日が続く予報ですので、梅雨明けが相次ぐかもしれません(図1)。

【追記(6月28日11時30分)】

 気象庁は、6月28日11時に、近畿、中国、四国、九州北部、および北陸地方の梅雨明けを発表しました。いずれも、梅雨の統計がある昭和26年(1951年)以降、最も早い梅雨明けです。

 これで、梅雨に入っているのは、東北地方のみとなりました。

図1 各地の10日間予報(数字は最高気温)
図1 各地の10日間予報(数字は最高気温)

続く高温状態

 太陽高度が一年で一番高い夏至の頃(6月21日頃)は、太陽からの日射が一番強くなります。

 このため、日射を遮る雲がないと地上付近は高温になる傾向がありますが、多くの年は、梅雨の雲によって日射が遮られ、6月中は気温が極端には上がりません。

 しかし、令和4年(2022年)は、異常に早い梅雨明けによって、6月下旬から広い範囲で気温 が上昇し、記録的な暑さとなっています。

 太平洋高気圧の縁辺をまわるように暖かくて湿った空気が日本列島に流入し、晴れて強い日射があったことから、6月25日には群馬県伊勢崎市では最高気温が40.2度となりましたが、6月に40度を超したのは初めてです。

 さらに、東京では、最高気温35.4度を観測し、気象観測を始めた明治8年(1875年)以降、一年で最も早い猛暑日となりました。

 また、6月26日には最高気温が30度以上の真夏日は539地点(全国で気温を観測している914地点の約59パーセント)、最高気温が25度以上の夏日は856地点(約94パーセント)と、ともに今年最多でした(図2)。

図2 全国の夏日と真夏日、猛暑日の観測地点数の推移(令和4年(2022年)5月~6月)
図2 全国の夏日と真夏日、猛暑日の観測地点数の推移(令和4年(2022年)5月~6月)

 さらに、6月27日は真夏日、夏日は前日より少なかったものの、最高気温が35度以上の猛暑日は69地点(約8パーセント)と、今年最多でした。

 令和4年(2022年)の6月下旬は、異常な暑さが続いています。

祖父母等へ電話を

 近年の災害の大きな変化は、都市化、過疎化、高齢化、ネットワーク化という4つといわれています。

 ここで、ネットワーク化というのは、他の地域との結びつきが非常に増えてきたため、一部の地方でおきた災害でもその影響は全国に及ぶ例が出始めていることです。

 4つの大きな変化のうち、特に問題となっているのが高齢化です。

 最近の大きな災害における死者を、年齢別にみると、高齢者の割合が特に大きくなっています。

 テレビなどのマスメディアでは伝えきれない大量の情報が氾濫していますが、情報が必要なところに届いていないという現状があります。

 また、きめ細かい防災情報がインターネット等で提供されていますので、取りに行けば情報が入手できますが、取りに行く方法が意外と知られていません。

 また、取りにいっても情報が多すぎて使いこなせないという意見もあります。

 とはいえ、いろいろな問題があっても、自分の身を守るのに役立つ情報が、どこかにある時代になっています。

 積極的に情報をとりにゆき、それを役立てるのが大事であると思います。

 ただ、これらは、そもそもインターネット等を使いこなせない高齢者にとっては、非常に高いハードルです。

 そこで提案です。

 祖父母など、親しい高齢者の住んでいる場所の今回の暑さについて、インターネット等で調べ、電話をしてみてください。

 体が暑さになれていない段階での暑さという、祖父母でも過去に経験したことがない暑さであることから、エアコンをつけて体をいたわってほしいとの電話です。

 最新の道具を使って、自分のために調べてくれた孫からの電話は、うれしいと思いますし、夏休みなどで元気であえたときの楽しい話題になると思います。

図1の出典:ウェザーマップ提供。

図2の出典:ウェザーマップ提供資料をもとに筆者作成。

表の出典:気象庁ホームページ。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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