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小笠原諸島への4月の台風接近は10年に1度、1号か3号

饒村曜気象予報士
予想天気図(4月15日9時の予想)

台風1号の北上

 令和4年(2022年)4月8日9時にカロリン諸島で発生した台風1号は、北西進しながら発達し、フィリピンの東で、12日9時には大型で強い勢力に、13日21時には大型で非常に強い勢力になりました。

 その後向きを北東に変え、15日朝から昼過ぎにかけて小笠原諸島に最も接近する見込みです(図1)。

図1 台風1号の進路予報(4月15日0時)と衛星による雲
図1 台風1号の進路予報(4月15日0時)と衛星による雲

 台風情報など、台風に関する情報は最新のものをお使いください

 小笠原諸島では15日は暴風や高波、土砂災害に厳重に警戒し、低い土地の浸水、河川の増水に注意・警戒してください。

小笠原諸島への4月の台風接近

 気象庁では、「台風の接近」を、台風の中心が国内のいずれかの気象官署から300 キロ以内に入った場合とし、昭和26年(1951年)以降の台風に関する統計を行っています。

 小笠原諸島の気象官署は、父島測候所だけですので、小笠原諸島に台風接近ということは、父島に台風接近ということと同じです。

 平年(平成3年(1991年)から令和2年(2020年)の平均)の台風接近数は5.4個で、一番多く接近しているのは8月と9月です。

 しかし、伊豆諸島、小笠原諸島への接近数が一番多いのは9月と、季節が少し進んでからの接近が多くなっています(表)。

表 伊豆諸島、小笠原諸島への台風接近数の平年値
表 伊豆諸島、小笠原諸島への台風接近数の平年値

 そして、父島で観測した最大風速の1位は平成9年(1997年)10月22日の31.8メートル、最大瞬間風速の1位は昭和61年(1986年)9月28日の59.7メートルなど、主に9月~10月の台風接近で観測しています。

 昭和26年(1951年)以降、1~3月に台風が小笠原諸島に接近したことはなく、4月に接近したのは、令和4年(2022年)の台風1号を含めて8個(ほぼ10年に1個)です。

昭和34年(1959年)4月23日 台風3号

昭和46年(1971年)4月19日 台風3号

昭和51年(1976年)4月14日 台風3号

平成 9年(1997年)4月22日 台風1号

平成11年(1999年)4月28日 台風1号

平成16年(2004年)4月15日 台風1号

平成17年(2005年)4月27日 台風3号

令和 4年(2022年)4月15日 台風1号

 偶然ですが、小笠原諸島に接近する台風の台風番号は、1号か3号です。

 ただ、これまでの7個の台風は、あまり発達することなく接近し、小笠原諸島付近から東進しています。

 令和4年(2020年)の台風1号は、発達した状態で接近し、日本の東海上を北上しているという意味で、これまでにないタイプの台風です。

 4月として記録的な風が吹くかもしれません。

停滞前線

 本州南岸には、前線が停滞していますので、北海道では晴れの天気が続いていますが、西日本から東北にかけての広い範囲で雲が多い状態が続いており、15日の東日本や東北では、1日を通して雨の降りやすい天気となる見込みです(タイトル画像参照)。

 関東や東北では14日に引き続き、この時季としては気温が低くなり、肌寒い状態となりますので服装選びにお気をつけください。

 平年並みの気温になるのは今週末以降の見込みです。

 ただ、東北から西日本の太平洋側では、台風1号からのうねりがはいってきますので、海辺では注意が必要です(図2)。

図2 台風1号に伴う波の予想(4月16日6時)
図2 台風1号に伴う波の予想(4月16日6時)

タイトル画像の出典:気象庁ホームページ。

図1、図2の出典:ウェザーマップ提供。

表の出典:気象庁ホームページをもとに筆者作成。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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