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春一番になるかもしれない春の嵐と寒暖差が大きな一週間

饒村曜気象予報士
晴天域が広がってきた日本列島(3月2日15時の衛星画像(左)と地上天気図(右))

減ってきた真冬日と冬日

 令和4年(2022年)は、西高東低の冬型の気圧配置が続いて強い寒気が南下し、全国的に寒い日が続きました。

 2月21日は最高気温が氷点下を観測したのが気温を観測している914地点のうちの329地点(36パーセント)と、今年に入って2番目の多さでした(図1)。

図1 真冬日と冬日の観測地点数の推移
図1 真冬日と冬日の観測地点数の推移

 また、冬日は2月24日に776地点(85パーセント)と、これも今年に入って2番目の多さでした。

 このため、北日本から北陸では記録的な大雪となりました。

 しかし、2月末からは西高東低の冬型の気圧配置はゆるみ、寒気の南下が弱まったことから、真冬日や冬日を観測した地点数は大きく減少しています。

 3月3日のひな祭りの日も、日本海には寒気の南下を示す筋状の雲はほとんど見られません(タイトル画像参照)。

日本海で低気圧が発達

 3月4日は高気圧におおわれた北~東日本は概ね晴れますが、東シナ海で前線を伴った低気圧が発生し、南西諸島はくもりや雨、西日本も午後は雲が広がりにわか雨が降る見込みです(図2)。

図2 予想天気図(左は3月4日9時、右は3月5日9時の予想)
図2 予想天気図(左は3月4日9時、右は3月5日9時の予想)

 この低気圧は西日本の南海上を東進しますが、別の低気圧が日本海北部から沿海州を発達しながら東進しますので北日本を中心に広い範囲で強い風が吹く見込みです(図3)。

 また、西~東日本では南から暖気が入って気温が上昇し、東京の最高気温は18度と予想されています。

 関東甲信地方で「春一番」が吹くかもしれません。

 「春一番」の基準は地方により異なりますが、立春(今年は2月4日)から春分(今年は3月21日)までの間に日本海で低気圧が発達し、南寄りの風が強く吹いて気温が上昇することが目安です(表)。

表 各地方の「春一番」の基準
表 各地方の「春一番」の基準

 令和4年(2022年)は、2月15日に北陸地方で前年より5日早く春一番が吹きましたが、その他の地方ではまだ吹いていません。

 関東甲信地方は、東京都千代田区北の丸公園にある風速計で平均風速8メートル以上を観測したかどうかが基準です。

 房総半島の館山や、東京都大田区の羽田空港などで平均風速が8メートル以上の強い風が吹いていても、「春一番」にはなりません。

 春一番が吹いて暖かくなっても、低気圧や前線が通過した6日は、寒気が再び南下しますので、つかぬまの春の暖かさです。北日本や北陸では雪が強まるでしょう。

寒くなって平年並み

 各地の週間天気予報をみると、寒気が再び南下するといっても、一頃の寒さにはなりません(図4)。

図4 各地の週間天気予報(数字は最高気温)
図4 各地の週間天気予報(数字は最高気温)

 東京の最高気温の実況と予想を見ると、2月末からは、15度以上の暖かい日のあとに寒の戻りがあっても平年並みです(図5)。

図5 東京の最高気温と最低気温の推移(3月4日~10日は気象庁、3月11日~19日はウェザーマップの予報)
図5 東京の最高気温と最低気温の推移(3月4日~10日は気象庁、3月11日~19日はウェザーマップの予報)

 その平年並みも、一年で一番寒い1月下旬ころと比べると5度程度高くなっていますので、平年並みといっても一頃の寒さではありません。

 最低気温も同様です。

 平年より高い日が多く、寒の戻りで平年並みです。

 季節は着実に暖かい春に近づいています。

 ただ、早春の常として寒暖差が大きい日が続きますので、体調管理に気を付けてください。

タイトル画像、図1、図5の出典:気象庁ホームページとウェザーマップ提供資料をもとに筆者作成。

図2の出典:気象庁ホームページ。

図3、図4の出典:ウェザーマップ提供。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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