台風21号が小笠原へ

 日本海北部には発達中の低気圧があって北東に進んでおり、この低気圧に伴う寒冷前線が西日本から東日本を通過中です(図1)。

図1 地上天気図(11月30日21時)
図1 地上天気図(11月30日21時)

 この低気圧と寒冷前線が通過後は、北から強い寒気が南下する見込みで、黄海にはすでに寒気の南下を示す筋状の雲がでています(タイトル画像参照)。

 一方、フィリピンの東海上には11月30日(火)9時に、マリアナ諸島で発生した台風21号に伴う円形の雲があります。

 台風21号は、12月1日(水)3時現在、フィリピンの東海上にあって中心気圧は992ヘクトパスカルですが、海面水温が台風発達の目安とされる27度を上回る29度以上の海域を進みますので、次第に発達する見込みです。

 台風21号は、次第に向きを北から北東に変え、12月3日(金)3時には970ヘクトパスカルの強い台風になる見込みです(図2)。

図2 台風21号の進路予報(12月1日3時)
図2 台風21号の進路予報(12月1日3時)

 台風21号に関する情報は最新のものをお使いください

 気象庁では、暴風域(最大風速25メートル以上の風が吹いている範囲)に入る確率を、3時間毎に入る確率と24時間以内に入る確率を発表しています。

 これによると、小笠原諸島では、暴風域に入る確率は、12月4日(土)未明には3時間に17パーセントと高くなっています(図3)。

図3 小笠原諸島が暴風域に入る確率(12月1日3時の予想)
図3 小笠原諸島が暴風域に入る確率(12月1日3時の予想)

 また、12月5日(日)3時までの24時間以内に暴風域に入る確率と、12月6日(月)3時までの24時間以内に暴風域に入る確率は、ともに37パーセントもあります。

 台風の接近と共に、これらの確率の数値は大きくなることが想定されますので、小笠原諸島では、週末にかけて台風の接近に注意・警戒してください。

伊豆諸島および小笠原諸島への接近数

 台風の接近は、台風の中心が気象官署等から300キロ以内に入った場合をさします。

 平成3年(1991年)から令和2年(2020年)の30年間の平均値を平年値といいますが、台風の日本への接近数の平年値は11.7個です。

 月別には、8月と9月が一番多く、次いで7月で、10月は4番目です。

 しかし、伊豆諸島および小笠原諸島に接近した台風数となると、一番多いのは9月の1.5個、次いで、10月の1.3個と、季節が進んでからの接近が多くなります(図4)。

図4 月別の日本への台風接近数と伊豆諸島・小笠原諸島への接近数
図4 月別の日本への台風接近数と伊豆諸島・小笠原諸島への接近数

 平成15年(2003年)12月1日に台風21号が伊豆諸島・小笠原諸島に接近したように、12月も30年に1回くらい接近していますが、10年に1回以上接近する月は、4月~11月です。

 伊豆諸島・小笠原諸島の台風シーズンは、4月~11月と、他の地方に比べて長くなっています。

 昭和26年(1951年)以降、伊豆諸島・小笠原諸島への接近数が一番多かったのは、昭和43年(1968年)の10個、少なかったのは昭和48年(1973年)の1個です(図5)。

図5 伊豆諸島・小笠原諸島への年間台風接近数
図5 伊豆諸島・小笠原諸島への年間台風接近数

 令和3年(2021年)も、5月に台風5号が、8月に台風10号が、10月に台風16号と台風20号が接近していますので、台風21号が接近すると5個目となり、これまでの平均と同じ接近数になります。

ヘクトパスカルの採用は29年前の12月1日

 地図で等高度線が混んでいる場所は傾斜がきつくて川の流れが速いように、天気図で気圧の等しい所を結んだ線(等圧線)が混んでいる場所では、強い風が吹いています。

 数字そのものである絶対値ではではなく、周囲との差が重要なのですが、発達した台風や低気圧では、中心の気圧の差が大きいほど強い風が吹きます。

 「気圧が低いほど強い風が吹くので厳重な警戒」ということになりますので、台風接近時などには中心気圧が報じられ、その単位であるヘクトパスカルという言葉をよく耳にします。

 このヘクトパスカルという単位が採用されたのは、今から29年前、平成4年(1992年)12月1日です。

 圧力の国際単位系での表示は、「パスカルの原理」に名を残すブレーズ・パスカルにちなんで、パスカル(pascal、記号はPa)となっています。

 1パスカルは、1平方メートルの面積につき1ニュートンの力が作用する圧力のことです。

 気象学では世界中で長い間にわたって気圧はミリバール(mb)使っていましたので、国際単位系が導入された後も、慣習的な圧力の数値がそのまま使えるように、パスカルの100倍(ヘクト)ということで、ヘクトパスカル(hPa)を使用しています。

 平成4年(1992年)の東京の気圧は11月30日24時が1026.4ミリバールで、1時間後の12月1日1時には1026.0ヘクトパスカルでした。

 パスカルをそのまま採用していたら、12月1日1時の東京の気圧は10万2600パスカルということになります。

 2つの低気圧が日本海と日本の南岸を挟むように通過するという、いわゆる「二つ玉低気圧」によって、全国的に雨模様の日の気圧の単位変更でした。

タイトル画像、図2の出典:ウェザーマップ提供。

図1の出典:気象庁ホームページに加筆。

図3の出典:気象庁ホームページ。

図4、図5の出典:気象庁ホームページをもとに筆者作成。