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台風5号の北上とともに沖縄付近を除いて北上する梅雨前線 遅れている沖縄の梅雨明け

饒村曜気象予報士
台風5号の雲(6月25日0時)

発達しながら北上中の台風5号

 日本の南海上を台風5号が北上中です。

 台風が発達する目安の海面水温が27度ですが、小笠原諸島付近に接近するまでは海面水温が27~29度の海域での北上です。

 このため、6月26日(土)には、中心気圧が985ヘクトパスカル、最大風速30メートルに発達し、暴風域を持つと予報されています(図1)。

図1 台風5号の進路予報(6月25日0時の予報)
図1 台風5号の進路予報(6月25日0時の予報)

 台風予報は最新のものをお使いください

 日本の南岸にある梅雨前線は、台風の北上とともに伊豆諸島付近のものは北上しますが、沖縄付近のものは停滞したままです(図2)。

図2 地上天気図(6月24日9時:左)と予想天気図(6月26日9時:右)
図2 地上天気図(6月24日9時:左)と予想天気図(6月26日9時:右)

 このため、東日本は、台風5号の接近前から活発化した梅雨前線の影響による雨に注意が必要です。

 また、沖縄地方は台風5号の北上とは関係なく、梅雨前線による雨が降りやすい状態が続きますが、西日本は梅雨の中休みが続き、上空に寒気が入っているときは局地的に雨が降るという天気になっています。

沖縄地方の梅雨明け

 沖縄地方の梅雨明けの平年値は6月21日で、最も早かったのは平成27年(2015年)の6月8日、最も遅かったのは令和元年(2019年)の7月10日です(表)。

表 沖縄の梅雨入りと梅雨明け
表 沖縄の梅雨入りと梅雨明け

 最も早い梅雨明けも、最も遅い梅雨明けも最近のことであることから、近年は沖縄地方の梅雨明けの変動が大きいと考えられます。

 令和3年(2021年)の沖縄地方は、梅雨明けの平年日である6月21日がすぎ、台風5号の北上によっても梅雨前線が北上しないことから、いつもの年より、かなり遅い梅雨明けになりそうです(図3)。

図3 沖縄地方の梅雨入りと梅雨明け(昭和26年(1951年)以降)
図3 沖縄地方の梅雨入りと梅雨明け(昭和26年(1951年)以降)

 ウェザーマップの16日先までの那覇の天気予報を見ると、7月1日まで傘マーク(雨)が続く予報です(図4)。

図4 那覇の16日先までの天気予報
図4 那覇の16日先までの天気予報

 また、黒雲マーク(雨の可能性がある曇り)が7月2日まで続く予報です。

 しかも、これらの多くは、降水の有無の信頼度が5段階で一番高いAの予報です。

 6月中の梅雨明けはなさそうです。

 ただ、7月2日以降は、お日様マーク(晴れ)が続き、3日以降は白雲マーク(雨の可能性が少ない曇り)が続きますので、沖縄地方の梅雨明けの遅い記録(7月10日)は更新しないと思われます。

 沖縄地方が梅雨明けすると、西日本から東日本は梅雨末期に入り、梅雨末期豪雨に警戒が必要となります。

タイトル画像、図1、図4の出典:ウェザーマップ提供。

図2の出典:気象庁ホームページ。

図3、表の出典:気象庁ホームページをもとに筆者作成。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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