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3月の週末はいつも催花雨 今週も来週も

饒村曜気象予報士
令和3年(2021年)3月14日の東京・靖国神社の桜(写真:ウェザーマップ提供)

晴れの日が続く一週間

 北陸と北日本では雲が広がり所々で雨や雪が降りましたが、その他の地方は概ね晴れた令和3年(2021年)3月14日の日曜日になりました。

 週明けの3月15日の月曜日は、東シナ海に中心を持つ高気圧が日本付近を覆い、日本の南へ中心を移す見込みです(図1)。

図1 予想天気図(3月15日9時の予想)
図1 予想天気図(3月15日9時の予想)

 春に、早く咲けと花をせきたてるように降る雨のことを「催花雨」といいます。

 週末を中心に降っている3月の雨は、冷たい冬の雨ではなく、春らしい温かい雨で、まさに「催花雨」です。

 雨が降った後、広島(3月11日)・福岡(3月12日)・東京と長崎と松江(3月14日)など、さくらの開花発表が続いています(タイトル写真参照)。

 今冬は、何度か強い寒気が南下したものの、2月は気温が高めに経過したため、記録的に早い開花となっています。

 昭和28年(1953年)の統計開始以降、広島と福岡、長崎、松江は最も早く、東京は昨年と並んで最早タイです。

 東京・靖国神社の桜の開花は、近年早まる傾向にあり、平年値である3月26日より9年連続で早い開花となっています(図2)。

図2 東京・靖国神社の桜の開花(昭和28年(1953年)の統計開始以降)
図2 東京・靖国神社の桜の開花(昭和28年(1953年)の統計開始以降)

 週初めの3月15日の月曜日は、北日本は午前中を中心に雲が広がっていますが、広い範囲で晴れ、最高気温は全国的に4月上旬から中旬なみに上昇する見込です。

 そして、今週は晴れて気温が高い日が続く予報ですので、各地から桜の開花の便りがとどきそうです。

 密を避けて花をもとめて散策するのに適した一週間になりそうです。

東京の土曜日

 低気圧と高気圧が交互に日本列島を通過することが続いていますが、周期的に、また週末には雨の予想です。

 令和3年(2021年)3月の東京の降水量をみると、土曜日は6日、13日ともに雨ですが、水曜日と木曜日には0.5ミリ以上の雨が降っていません(図3)。

図3 令和3年(2021年)3月の東京の雨量(黒丸は日雨量が0.5ミリ以上の日)
図3 令和3年(2021年)3月の東京の雨量(黒丸は日雨量が0.5ミリ以上の日)

 ウェザーマップの16日先までの天気予報によれば、3月20日の土曜日と、21日の日曜日、27日の土曜日には傘マーク(雨)があります。

 降水の有無の信頼度は、5段階で一番高いAか3番目に高いCですので、週末は雨ということは、3月後半も続きそうです(図4)。

図4 東京の16日先までの天気予報
図4 東京の16日先までの天気予報

 また、水曜日と木曜日は、お日様マーク(晴れ)と白雲マーク(雨の可能性が少ない曇り)です。

 黒雲マーク(雨の可能性がある曇り)もありませんし、降水の有無の信頼度はAですので、週の半ばを中心に晴れるという傾向も続きそうです。

 この傾向は東京だけではなく、東日本から西日本でもみられます。

 地域によって、金曜日だったり、日曜日だったりしますが、週末を中心に雨が降る予報には変わりがありません。

 これは、高気圧の中心が日本列島の南よりを進むからですが、高気圧の影響が及ばない北日本では、週末を中心に雨か雪、週半ばは雲が多い天気が続く予報です。

週末は大荒れの可能性

 今週末の雨は、日本海から北日本を低気圧が発達しながら通過することによる雨です(図5)。

図5 コンピュータによる気圧と6時間降水量の予想(気圧は3月20日9時、降水量は20日3時から9時の6時間予想)
図5 コンピュータによる気圧と6時間降水量の予想(気圧は3月20日9時、降水量は20日3時から9時の6時間予想)

 「催花雨」という風流なイメージの雨ではなく、各地で雨や風が強まり、荒れた天気になるおそれがあります。

 週末に散策を計画されている方は、最新の気象情報に注意してください。

タイトル写真の出典:ウェザーマップ撮影・提供。

図1の出典:気象庁ホームページ

図2、図3の出典:気象庁ホームページをもとに筆者作成。

図4、図5の出典:ウェザーマップ提供。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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