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ようやく「光の春」から「暖かい春」到来へ

饒村曜気象予報士
手を繋いで散策する日本人親子(写真:アフロ)

寒暖差の大きかった2月

 令和2年から3年(2020年から2021年)の冬は、前年の暖冬から一変し、寒冬となっています。

 日本付近のジェット気流が大きく蛇行し、この蛇行にのって北極付近の強い寒気が、周期的に日本付近へ南下しているからで、これまで6回強い寒気が南下しています。

 1回目は12月14日頃から、2回目は年末年始頃、3回目は1月7日頃から、4回目は1月16日頃から、5回目は1月29日頃から、6回目は2月17日頃からです。

 そして、強い寒気が南下するたびに、各地の冬日(最低気温が0度未満)と真冬日(最高気温が0度未満)の観測地点数が増加しました(図1)。

図1 各地の冬日と真冬日の観測地点数の推移
図1 各地の冬日と真冬日の観測地点数の推移

 ただ、5回目と6回目は短い周期で寒気南下と暖気北上が繰り返すものでした。

 寒冬といっても、2月は寒暖差が大きく、春を思わせる日も混じっていました。

暖かい日が続く今週以降

 令和3年(2021年)3月10日は、寒冷前線が通過したあと、大きな移動性高気圧に覆われる見込みです(図2)。

図2 予想天気図(3月10日9時の予想)
図2 予想天気図(3月10日9時の予想)

 このため、北海道と東北北部では雲が多く、所々で雪が降り、最高気温は前日より低くなる見込みです。

 しかし、その他の地方は晴れて最高気温が前日より高くなるところが多くなる見込みです(図3)。

図3 3月10日の天気予報(数字は最高気温と前日差)
図3 3月10日の天気予報(数字は最高気温と前日差)

 北日本まで南下していた上空の寒気は日本の東海上に去り、しばらくは次の寒気が南下してこない見込みです。

 図4は、令和3年(2021年)2月1日以降の福岡・東京・仙台における最高気温の推移です。

図4 福岡・東京・仙台の最高気温の推移(令和3年(2021年)2月以降、3月10日から16日は気象庁の予報、3月17日から25日はウェザーマップの予報)
図4 福岡・東京・仙台の最高気温の推移(令和3年(2021年)2月以降、3月10日から16日は気象庁の予報、3月17日から25日はウェザーマップの予報)

 2月から3月上旬にかけては、3地点とも、短い周期で暖かい日と寒い日が繰り返されていますが、3月中旬以降は気温の低い日がなくなります。

 桜などが咲き始め、密を避けて散策するには心地よい季節が到来しました。

 札幌も、気温の変化傾向は福岡・東京・仙台と同じです。

 3月中旬以降は、最高気温は5度を上回り、最低気温も氷点下5度を上回るようになる見込みで、北日本も春の足音が近づいてきました(図5)。

図5 札幌の最高気温と最低気温の推移(令和3年(2021年)2月以降、3月10日から16日は気象庁の予報、3月17日から25日はウェザーマップの予報)
図5 札幌の最高気温と最低気温の推移(令和3年(2021年)2月以降、3月10日から16日は気象庁の予報、3月17日から25日はウェザーマップの予報)

 2月に入ると、日の出が早くなり、日の入りが遅くなり、光を強く感じられるようになってきました。

 「光の春」になったのですが、気温はまだ低い日も多く、春を感じる暖かさではありませんでした。

 しかし、これからは「暖かい春」になります。

 寒かった冬もほぼ終わりですが、密を避けることで新型コロナウィルス禍も終わりにしたいと思います。

図1の出典:ウェザーマップ資料をもとに筆者作成。

図2の出典:気象庁ホームページ。

図3の出典:ウェザーマップ提供。

図4、図5の出典:気象庁とウェザーマップ資料をもとに筆者作成。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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